こびとのせかい

鼓乃 涼司(このりょうじ)

こびとのディエル

ランドリックははしっていたはずだ。

まだ15にたないおさなからだ懸命けんめいうごかしてはしっていた。

なにかからげたかったおぼえはあるのだけれどおもせない。


がつけばふかふかの毛布もうふのようにひろがった、ちいさなさろ毛玉けだまたちのうえねむっていた。

きたとたんに毛玉けだまたちが、ポポポポッとねてんでころがったのに、ランドリックは若草色わかくさいろをしぱしぱさせた。


「ん、、、」

「!」


すぐちかくでこえがした。よこだれる。

あわててくびをそちらにけると、ランドリックの両手りょうてなんとかてそうなぐらいの、ちいさい「ひと」がいた。


むらさきみじかかみにとがりみみ深青しんそうひとみみどり薄紫うすむらさき上下じょうげ首元くびもとなスカーフ。

とてもちいさいが、なんだかとてもカラフルだった。


「あ!おにいさんきた!」 


こびとはすこおどろき、けどすぐにほおをにっこりさせた。

まわりをねる毛玉けだまたちにされながらもしっかりって、すわったままのランドリックを見上みあげる。


はじめまして、ボクはディエル!おにいさんは?」

「ランドリック」

名前なまえ

あなたのことはポポムたちがつけてたんだよ?そとんでる人間にんげんだって」


ポポムとはどうやらたくさんいる毛玉けだまたちのことらしい。こびとが毛玉けだまひとつをランドリックにした。よくるとがついている。


それより、ランドリックはこびとの言葉ことば不安ふあんになった。


そと?じゃあここはどこ?

どうやったらかえれるの?」

「んー、わかんない」


ポポムをいたままくるりとまわったディエルは、少年しょうねんにとって、とても残念ざんねん言葉ことばかえした。


「だから、一緒いっしょさがしてあげる!」

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