血だまりの中で(仮名)

如月レイ

第1話

あなたは目を覚ますと窓一つない薄暗い部屋にいた。

目が慣れ始め、周りを見渡してみると磔にされた女性が目の前にいる。

体は幾つもの槍に貫かれており、傷口から足を伝い地面に血が滴っている。

一瞬は驚くあなたもすぐに冷静になり、恐る恐る観察をするだろう。

女性は既に息はないようだ。それは最近のことではない、あなたは死体が腐っていることがわかるだろう。

ここであなたは死体は新鮮なものではないのにも関わらず血は凝固せず滴り落ちていることに疑問を感じる。

そしてあなたは気づくだろう

滴り落ちたて出来た血だまりはここではない風景を映していることに。

それは中世ヨーロッパの街並み、人々が行き交う騒がしい景色がそこにあるだろう。

あなたはその血だまりに触れることでその景色の場所に行くことが出来る。


血だまりの中の世界に入る。

空は青く、人々の喧騒がうるさい。

あなたは大きな道にいるようでそこを色々な出店が並んでおり、様々な人が行き交っている。果物屋で買ったリンゴをかじる貴族、猫と遊ぶ子供、商品を運ぶ行商人、果てしなく続く道先までそんな光景が広がっていた。

しかしあなたが活動できる範囲は10m程度である。

見えない壁が四方を囲っている。周りの人々はそんな壁を気にせず通り抜ける。

その町の人々はあなたを認知しない、あなたは人々を触れる事が出来ない。

あなたはそんなことに疑問を持たないだろう。

しばらくすると事件が起きる。先ほどリンゴを食べていた貴族のような服装をした人間が惨たらしい断末魔を上げ倒れたのだ。あたりの人々は悲鳴を上げ、騒ぎ始める。周りの従者は果物屋の店主を問い詰めている。誰も冷静でない、だから誰も気づかないのだろう。

空は血のように赤く染まっていた。


そして場面が移り変わる。

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血だまりの中で(仮名) 如月レイ @kisaragi_rei

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