怪談置き場
和田正雪
ポリープ
先日入院していた時に相部屋のおじさんから聞いた話です。おじさんのポリープ切除は無事に成功で、ポリープは幸いガンではなさそうということだったんですが、手術後恐ろしい体験をしたそうです。
手術は腰椎麻酔で下半身だけ感覚がなくなって、意識はあったらしいです。手術は滞りなく終わったのですが、執刀してくれた先生が「綺麗に取れましたよ」と見せてくれたのはグロテスクな肉でできたキノコのようなもので、おじさんは自分の身体にこんなものが生えていたのかと薄ら寒い気持ちになったそうです。
そして、その自分の身体から取り出された人肉キノコを先生はひょいと口に入れて、飲み込むと「良性だから大丈夫」と言うと、急に笑い出したというのです。周囲の看護師さん達も笑っていて、まるでいつもやっているちょっとした持ちネタのような反応とあわせて恐ろしい気持ちになったそうです。
麻酔で痺れていると、どんな恐怖を感じても身体が震えることもないのだということを知ったと苦笑いで話してくれました。おじさんは翌日、入院前よりもずっと憔悴した様子で退院していきました。
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