眼鏡(グラス)と暮らす。
kie♪
眼鏡(グラス)と暮らす。
私は常時眼鏡を掛けている。コンタクトレンズやレーシックなど視力を矯正する方法は眼鏡以外にも幾つか存在するが眼鏡を掛けている。勿論これには理由があってレーシック手術は費用や持病の点から避けたいし、コンタクトレンズは近視と乱視があるのでソフトレンズではなかなか私の視力に合ったものが無いのと手入れが面倒な点でめんどくさがり屋の性格からもなるべくなら使いたくないのだ。その点眼鏡なら掛ければすぐに視力の補正が出来るし、1度気に入ったデザインで作ればそのフレームを長く使うことも出来る。度数も比較的細かく対応してもらえる(まあ、それでも私の場合は結構なレベルで目が悪いのでレンズは取り寄せてもらう必要が生じるのだが……)。値段も最近では手頃なものも多く、手入れもそんなに面倒ではないのでまさに私にピッタリな視力矯正方法なのだ。
そんな眼鏡生活になったのは小学校4年生の頃。視力検査で結果が悪かった人は裸眼で測定したときの視力が書かれた紙を貰ったような気がする。その紙の結果、私はなるべく早めに眼鏡を作ることが勧められていた。その紙を持って私は近所の眼科で処方箋を書いてもらうことになった。今なら簡易な視力検査が出来る設備が整っている眼鏡店も多いが当時は眼鏡を作る=まずは眼科で処方箋を発行してもらうために精密な視力検査や診察が必須だったのだ。
眼科では眼圧検査と視力検査が行われた。余談だが私は眼圧検査がどうも苦手なようだ。あの気球の写真を見つめていたら急にその写真がぼやけたかと思うとバシュッと目に空機を吹き付けられる感覚が未だに気持ち悪く感じる。
視力検査では調整用の眼鏡を掛けて検査をするのだが次々とレンズが入れ替えられたり足されたりしていく。そうして見えやすくなったところで検査が終了し、奥の診察室で先生と黒板の字が見えにくくないかとか話をしたり目の調子を診られたりする。それから待合室で暫く待っていると封筒に処方箋を入れたものを事務員のお姉さんから手渡された。
その封筒を持って今度は近所の眼鏡屋さんへ行く。そこには度が入っていない眼鏡のフレームがずらりと並べられている。その中から気になるものを何点か試着(服と違って実際には着ないから正しい表現ではないかもしれない)する。まあ、度が合っていないから本人はぼんやりとした状態で鏡越しに見るしかなくて事実似合うかどうかは店員さんや両親の判断に委ねざるを得なかったのだが。取り敢えず初めての眼鏡は薄いピンク色のフレーム無しのタイプに決まった。翌日その眼鏡を掛けて学校に行くとたちまち
「眼鏡作ったの? 掛けてみたいから貸して~」
とクラスの人気者になれた。他人の眼鏡を掛けたってよく見えないだろうけど子供たちの間では友人の眼鏡を借りて掛けるのが一種の遊びになり、目が悪い者同士ではどっちの方が度が強いかを張り合ったりもするのだった。それに眼鏡=賢そうに見えるということで私は眼鏡を作らなきゃいけないと分かったときはめそめそしていたにも関わらずすぐに眼鏡好きになった。
それから視力が変わるたびに随分と色々な眼鏡を作ってきた。因みに今掛けているのは数年前にJINSとポケモンがコラボして出したものだ。大好きなポケモン“ブースター”のフレームが元日から発売し、即日持って帰れるということで私はいそいそと正月の雰囲気が漂う中、最寄りの店舗に行った記憶がある。そこで視力検査をしてフレームも幸いまだ在庫があるということで年の初めからNEW眼鏡と洒落込むつもりだった。が……
「お客様すみませんがご使用される予定のレンズの方がちょっと取り寄せないといけないということになりまして……。眼鏡のお渡しまでにお日にちを10日ほど頂戴することになります」
店員さんが申し訳なさそうに告げる。それほど私の眼鏡は度が強いのか。まさかの即日持ち帰り不可という結果になった。目が悪いにもほどってものがある。実際に手元に届いたのがアプリで確認したら12日後だったらしい。
その後私はその眼鏡を当時習っていたヴァイオリンの先生に自慢げに見せ、彼もまた偶然ポケモンの眼鏡を掛けていたことに何故か感動した(その後「壊しちゃったのでコンタクトレンズにしました」と聞いたけど)。ときに眼鏡はシンパシーを育むのかもしれない。
これからも私は眼鏡と共に暮らしていくことになるのだろう。出来ることなら1日でも長く普通の眼鏡から老眼鏡に変わらないでほしいものだ。
眼鏡(グラス)と暮らす。 kie♪ @love_tea_violin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます