ドラゴンを三分で撃退する勇者はミミックにひっかかる

御剣ひかる

子供達も加わることもある

「『〇〇には三分以内にやらなければならいことがあった』って聞いて何か思いつく?」

「必ず、かの邪智暴虐のドラゴンを除かなければならぬと決意した」


 わたしの問いかけに旦那は即答した。


「どこのメロスだよ。ってか倒すのドラゴンかい。なんで三分以内?」

「うーん。勇者は今日、婚約者と新居の内見に行くからそれまでに戻って支度してを逆算すると、あと三分以内にドラゴンを倒さないといけない、とか」


 それで遅刻して怒る婚約者、わたしはイヤだと思いつつ。


「なんでそんな日にドラゴン倒しに行くかな」

「そこは邪智暴虐なドラゴンだからね。勇者が困って苦しむように、その日に襲撃をかけたんだよ」

「セコい邪智やなっ!」


 即つっこみ入れると旦那も笑う。

 ここでやり取りが終わることもあるが、さらに膨らむこともある。


「セコいけど賢いから、明らかに勇者の方が強いのを知ってるので嫌がらせとか。勇者が開ける宝箱にささくれを作っておいて手に怪我をさせたり」

「時間ないなら宝箱無視した方がいいのに勇者も強欲だな」

「婚約者の心を離さないでつなぎとめておくにはお金も必要だし、やっぱり宝箱があったらとりあえず開けるでしょ」


 どこの世界もせちがらいな。


「色々な魔法を使えて剣術も強いくせにミミックに引っかかりそうな勇者だ」

「そう。そしてパーティメンバーに呆れられつつ、しっかりと任務はこなす。パーティの僧侶がめがねをくいっとやりながら『この人はこれさえなければ非の打ちどころのない勇者なんですけれどね』とか言われる」


 あ、なんかイメージできてきた。


「愉快なパーティが出来上がりそう。なんだかんだで、しっかりぎりぎり三分以内にドラゴン倒しそうだね」

「でも勇者がドラゴン倒して帰って内見に行こうとしたら婚約者が浮気してて」

「いきなりドロドロ劇に!?」


 我が家の創作談義はたいていこんな感じ。

 これからもくだらないことから話を膨らませるお手伝い頼みますよ旦那さま。



(了)

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ドラゴンを三分で撃退する勇者はミミックにひっかかる 御剣ひかる @miturugihikaru

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