川とその底の黒い影
上面
川
誰も居ないように見えるこの夜の
「お姉さん、こんな夜中に何をやっているんだい?」
小舟が川岸に着くよりも先に
「これを沈めるかどうか悩んでいまして」
女は眼鏡ケースを持っていた。女曰く、昔ここで彼女の恋人が水死し(死体は見つからなかった)、恋人の眼鏡をこの川に沈めるかどうか今悩んでいるらしい。
「それならお姉さん、私が眼鏡を渡してきましょうか?」
沈めるではなく、渡す。水死した人間の霊が川底に沈殿している可能性は高いと
「よろしいのでしょうか?」
女から眼鏡ケースを受け取り、
また別の影へ
ようやく渡すべき影が見つかった。影に眼鏡ケースを渡すと、お返しとばかりに
潜ってから数分後に
「渡してきましたよ。あとこれはお相手からです」
それはプラチナの指輪だった。
「ありがとうございます」
プラチナの指輪は女の左手の薬指にピッタリとハマった。
川とその底の黒い影 上面 @zx3dxxx
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