第2話【FWを】初めての天使召喚してみたwww【稼ぎたい】
「つまり、俺はダンジョンの管理者ってわけか…」
痛みとともに与えられた情報を整理する。
俺が触れた宝玉は、ダンジョンの心臓であった。
意味不明である。ダンジョンマスター?っていうらしいが…こんなのネットでも聞いたことないな。
ダンジョンの管理者になったなんて話、一度も聞いたことがないし…
「まあいいか…」
面白そうだし気にしないようにしよう。楽観的に行こう。悲観的になっても仕方ないのだ。
「宝玉に触れると…?おぉ、出た」
──────────────
DP︰10,000 DP
FW︰0
『召喚』『調整』『交換』
──────────────
脳内の情報に従い宝玉に触れると、ダンジョンメニューと呼ばれる半透明な板が目の前に現れた。これで色々とできるらしい。
つまり、ダンジョンを作るゲームのようなもののようだ。
「意外と面白そうだな?」
こういう自分だけの世界を作る箱庭ゲームは結構好みである。
多分将来的には困るときも来るだろうが…最初だし楽しんでおこう。
とりあえず機能についてしっかりと確認するか。頭の中の情報だけじゃわかりづらいしな。
まずはDP。これは世界を運営するための資金的な役割。
これを使ってモンスターを召喚したり、拡張したりできるようだ。
そしてFW。これは…
「え?ファンの数…?」
頭の中の知識を確認し困惑する。
FW。つまりfollowers。
FWは1日に一度、フォロワー一人につき1DP貰えるようだ。
これがないと収入がなくなるってわけか?
どうにかしないとやばいかもしれないが…とりあえずこれは置いておこう。どうやって増やすのかわからんし…
次が『召喚』か。
DPで、モンスターを召喚することができるようだ。選んで望んだモンスターを召喚することもできるし、少し安めでランダム召喚もできるようだ。
ゴブリンやスライム、スケルトンといったダンジョンの定番のモンスターも多いな。
その次が『調整』。これはダンジョン部屋を増やしたり廊下を伸ばしたり、ダンジョンの拡張ができるようだ。トラップを設置したり、宝箱を置いたりもできるのか。
宝箱でダンジョンに来た探索者から好感度を稼いでフォロワーにするみたいな感じなのか?
これも結構使いそうだな。
それで、最後が『交換』か。
これもラノベとかゲームとかでよく見るやつだ。
DPと色々なものを交換するUmazonのような感じだ。検索機能もついていて、DPがあればなんでも買えそうである。
「これ欲しいな…」
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
名前︰靴下
詳細︰天然繊維100%
能力︰無し
消費︰1DP
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
そろそろ足先の感覚がなくなってきた。
この靴下とか買って…いや、FWがいないとDPが増えないのに、DPを無闇矢鱈に使うのはまずいか?せめて他の用途としても使える…お?これとか良さそうだな。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
名前︰不死鳥の羽毛布団セット
詳細︰不死鳥の羽を使用した羽毛布団
能力︰温度調節
消費︰50DP
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
結構高額だが、睡眠にも使うしこれは買っても良さそうだな。
不死鳥。たしかどこかのダンジョンにもそんなモンスターがいたよな?
50DP…残高が10,000DPだと全然余裕はありそうだが、ファンがこれからも増えないと考えると流石にやばいか…?
そう思いながらも俺の手は交換の決定を選択していた。
目の前に、バサッという音とともにマットレス付きの布団が現れる。ちゃんと枕もついている。
「……まぁ、衝動買いは初心者の醍醐味だよね」
とりあえず新しい機能を使う。無駄なものを購入する。ゲームではよくあることだ。それに足先も限界だったし、これはしょうがないのである。
「これは…凄いな!?」
とりあえず寝てみると、柔らかさと触り心地、そしてその暖かさに驚く。何だこの新感覚は!?
人を駄目にするやつだこれ!?
「やべぇ…早く抜け出さないとダメ人間に…」
口ではそう言いながらも体はピクリとも動かない。いや、寧ろ布団を被って完全に寝る体制に…
どうにかして逃れようとするが、俺の意識はまるで飲み込まれるように闇に落ちたのであった。
▼
「まずい…これはまずいぞ…?」
布団の中でダンジョンメニューを見ながらそう頭を抱える。
ダンジョンマスターになってから、一ヶ月程度が経過した。
ダンジョンメニューの『調整』と『交換』は想像以上に何でもできた。
まずは調整で、宝玉を中心に自分の部屋や風呂場、洗面所やトイレを作った。
調整で部屋の形を作り、家具は交換で買い揃えた。
パソコンやスマホ、電子レンジなどの電化製品なども購入できて、しかも電気、充電は必要なし、ネットもなしで使えるのは意味不明であるが、便利なのでとりあえず気にしないことにする。
食料もDPで購入できて、調整でキッチンを作って料理もできた。
この一ヶ月は結構順調で、ダンジョン生活最高!そう思っていたのだが…
──────────────
DP︰5,250 DP
FW︰0
『召喚』『調整』『交換』
──────────────
たしかにまだ余裕はありそうだ。だが、これが一年、二年、三年と伸びたら?娯楽はスマホやパソコンとかで満足できているとしても、生活必需品でいつかはDPが尽きてしまうだろう。
まずい。それはまずいぞ?ニート生活が送れなくなるとか、そんなのはどうでも…良くはないが今はどうでもいい。
もう一ヶ月もここで生活しているのだが、SNSやメールのアカウントも、作ることはできるが前まで使ってたアカウントにはログインできなくなってたし…現実の居場所はなくなっている可能性が高いのである。
大学にも行ってないし、家賃も払ってないし…もしかしたら失踪扱いかもしれない。
それなら家に帰らずここで一生暮らすほうがいい。飯も娯楽も情報も、ここにいればすべてが手に入るのだ。今更ここを手放すわけには…と、欲望が漏れてしまった。
今はそんなことを考えている暇はない。
「どうにかしてFWを増やさないと…」
一人でも増えれば1DP。1日5DPくらいあれば問題はない。
「だが、どうやって増やすんだ…?」
集客?いや、まずモンスターなんて召喚してないし探索者が来たらこのダンジョン攻略されるんじゃ…?流石にそれはやばいか?
効率よく、そしてFWを増やす方法…
「……あれって使えるのか?いや、でもダンジョン関係ないし…」
一つの案が思い浮かぶ。
正直微妙だが…やって見る価値はありそうだ。
そう考えた俺は、パソコンの電源を起動したのであった。
▼
──────────────
DP︰5,250 DP
FW︰17
『召喚』『調整』『交換』
──────────────
「クククッ…こんなにうまく行くなんて思わなかったぜ…」
宝玉でメニューを確認し、そうつぶやく。
ダンジョンメニューには、FW︰17と表示されている。つまり、フォロワー…というよりは、興味が湧いた人が17人いるというわけだろう。
俺が選んだ手段は、ネット掲示板であった。ダンジョンと全く関係ないため、無理かと思ったが成功して助かった。
何故匿名掲示板かというと、SNSより、無差別に人が集まる掲示板のほうがFWを稼げるのではと考えたためだ。
作戦は大成功。しかも続報も期待されているし、これならもう少しくらい贅沢する…のは良くないな。
とりあえず安価の内容はやっておかないと、彼らに飽きられて終わりだ。ネットで生き残るためには飽きられないように、視聴者や閲覧者の需要を満たし続けなければならないのである。
だから、彼らの安価は達成して、明日の安価スレに備えなければならないのだが…
「天使高すぎだろ…」
さっきも確認したが、やはり高い。一番下の下位天使でも50,000DP。最高額の天使は…これか。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
名前︰ミカエル
詳細︰熾天使
能力︰神の天秤
消費︰700,000DP
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
たしか有名な天使だよな?それを模したモンスターとかそういうやつなのだろうか?めっちゃ気になるが、流石に高すぎるな。七十万って馬鹿じゃないの?
天使の中で安いのは…器械天使ってやつなんだけど、なんか器械ってつくと天使っぽさはなくなるな。
値段は50,000DPとかその辺だ。それでもここも手は出せない。いけそうとか言わずに再安価すればよかった…およ?
そうやって何かないかと探していると、器械天使の一番下にたどり着いた。そこには、不思議な項目が一つ。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
名前︰不明
詳細︰不明
能力︰不明
消費︰1,500DP
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
消費DP以外は全部不明だ。うーん…流石にやばいか?この一つ上の器械天使は40,000DPだ。つまりこの天使は完全に訳ありというわけだろう。
これを買えば、残りは3,750DP。ダンジョンの一層は増築しなくても最初からあり、外装を変えるだけなので3,000DPくらいあれば神殿型も作れるよな…よし。
「頼むぞ…!せめて見た目だけでも天使っぽくあれ!!」
能力はこの際どうでもいい。神様仏様お願いします!とりあえず外見だけでも!!そう神頼みをしながら、謎の天使を購入する。
その瞬間、部屋は眩い光に包まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます