もしも魔王目線で物語が進んだなら

物語の始まりが魔王が誕生するきっかけになったカスタディア王国滅亡から始まる


そしてアレクセイの中に目覚めた嫉妬心が魔王へと変化していく様が描かれる


エルシドとセシリアの行方を探しながらその嫉妬の炎を燃やし続けていく中で突如それが意思を持つ


(私は何者だ?何故エルシドと言う男の事を憎いと思っているのだ?)


魔王の素となる彼は疑問を持ちながらもアレクセイの中で力を蓄えていく


そしてアレクセイがエルシドを惨殺しセシリアの悲鳴が響き渡る中…彼は精神体として外へ放たれた


彼は彷徨い…いつしか魔界へ来ていた


そして魔界で邪神ロキに出逢った


「お前…迷子なのか?」


そう声をかけられた


「ああ…私は人の憎しみから産まれたようだ…」


邪神ロキは彼の産まれた状況を手をかざして読み取るとニヤリと笑った


「そのままでは不便だろう…肉体を与えてやるよ」


邪神ロキはそう言うと彼に肉体を与えた


「魔界は実力主義でな〜強くなければ生き残れないぞ…まぁせいぜい頑張るんだな」


そう言ってその場を後にした


取り残された魔王はどうすれば良いか分からず魔界を彷徨い…理不尽な攻撃を受けたりしながら次第に力をつけて行った


やがて自身を生み出した世界に復讐してやろうと思い始めた


そして何度か魔界から外へ出て侵攻してみた


すると聖なる力を持った人間や種族に制圧されて封印された


封印されてる間は目を閉じてジッと眠っていた


そしてまだ眠っていたかったにも関わらず起こそうとする魔族が居た


その時彼が口にしたのは


「我の眠りを妨げるのは誰だ…」


であったと言う


強制的に目覚めさせられた彼は封印を解いた魔族を返り討ちにしてしばらく暴れ回ると再び眠りについた


その後…何度か同じような事を繰り返しているうちに邪神を崇める邪教の信者によって甦らされた


その時は暴れる事なくその信者達の願いを叶えてやった


彼等の寿命を削って自身の力としてみたり生け贄を要求したりしてみた


ただそんな事も続けていると飽きが来る


そろそろ眠りたいなぁと思っていた矢先に聖なる力を持った勇者が現れて戦いを挑まれた


適当に相手をしていると彼等は自らの命と引き換えに封印を施して来た


その時彼は

(また封印か…何故消滅させてくれないのか…)

と思っていたという


いつしか魔王は自分を消滅させてくれる勇者を求めるようになっていた


そんなある日…自ら目覚めて世界に繰り出そうとした


遠隔で外の様子を見ていると4人の若者が現れた



後のカルタス王、ロヴェルト王、アンジェラ王妃とミネルヴァ王妃だった



彼は少し先の未来を見る事が出来るアンジェラに注目した


そして封印されてやった…そうワザと封印されたのだ


そしてアンジェラがフレデリック王子を産んだ後に彼女を攫わせた


石化させて自分の側に置いて語りかけた


アンジェラは初めは何故魔王がそんな事をするのか理解出来なかったが、話を聞くうちに彼が誰にも言えない孤独を抱えている事を知った


そして自分を消滅させてくれる強い勇者が現れる事を望んでいる事を知った


「奴等は君を取り返しに来るだろう…私はそれは嫌なんだ…だから君を壊してでもそれを阻止するからね」


それは歪んだ愛情とも取れる想いだった



アンジェラはその話を聞いて尚…それを受け入れる覚悟を決めた



そしてリヴァルト達が現れてそれは現実となった


魔王はミュレイアがディオンの子供をその身に宿してる事も見抜いていた



なのであえて彼等に倒される事を…消滅してくれる事を強く望んだ



そしてその想いは叶った



ただ誤算だったのがセシリアの中のアレクセイへの憎しみの心が次なる魔王の素になった事だった



これが憎しみの連鎖というやつなのか…



消滅しながら魔王はそう思うのだった



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