この国終わっていたので、クーデター起こして改革に導こうと思います~異世界からやってきた「俺」でもこの国救えるくらいの政治家にはなれますよ

希望D

第1話 なんで異世界売ってんだよ その①

『続いてのニュースです、この国の高齢化率が約30パーセントを突破しました』

「もう終わりだよこの国」


2000年代を過ぎたあたりで唱えられ始めた高齢化問題。

それに加え…


『党幹部らの不正裏金疑惑、それに対して総理は…』


政治家の、政治の根本的な腐敗と堕落。

トップによる金のバラマキ。


おまけに経済成長率も右肩下がりの模様。


「俺が頑張っても報われないのは全部国のせい、こんな国で生きてもしょうがねえよなあ」


いっそのこと外国で生活でもしてみようか、

いやそんな金と度胸なんて持ちあわせてないだろ?

じゃあこのが明けるのを待つか、

何年後には更に暗闇になっているかもしれない。


俺の名前は九条連夜くじょうれんや、22歳無職独身非モテ童貞。

今更なに頑張ってもこの国でやり直せる気がしない。


そんなことを考えているとき、

チャイムが鳴り、インターホン越しにスーツを着て髪を結んだ女性がいた。


「セールスでーす、話だけでも聞いてみませんかー」


セールス?俺そういう面倒くさいのはちょっとあれなんだよな、

まあ、今日は時間もあるし、話だけなら聞いてもいい気がするし…


俺は玄関のドアを開け、女性を家へ出迎えた。


「どうもーお時間大丈夫でしょうか?」

「大丈夫、です。えっと、え、え、っと」


落ち着け、女性と会話するの久しぶり過ぎて死にそう。

やーばい、むっちゃくわいいんやが。

かわいいと大人っぽさが共存しているその顔、綺麗に結ばれた黒髪、モデルのようなスタイルに加え、スカートにストッキングだとっ!あとめっちゃいい匂いする。


「そんなに焦らなくて大丈夫ですよ、わたくしこういうもので……」

「ど、どうも」


名刺を渡す瞬間少しだけ手が触れ合うだろ、俺なんとか平然を装ったけどなかなかに凄いと思うんだが。

名前は……神田有理守かんだありすっていうのか。

株式会社リインカーネーション。なるほど、何一つわからん。


「すいません、うち何もないですけど」

「全然大丈夫ですよ、むしろ慣れてるんで」

「?それならよかった」


一応いつ女の子を連れてきてもいいように部屋は綺麗にしてあるけど、本当に何もないんだよな。慣れてるってどういう意味だろ。


「では早速本題に入りますね」

「お願いします」


女性はカバンから資料を俺に渡してこう言う。


「単刀直入に言うと私たちリインカーネーションでは、を販売させてもらっています」

「……ちょっと待って、異世界販売って笑。宗教はする気ないんで帰ってください」


おいおい、異世界販売って。さすがに消費者のことを舐めすぎだろ……

もっとマシな嘘ついてくれよ、かわいくてもこれじゃあ台無しだぞ。


「……笑」

「はぁ!?あんま消費者舐めないでもらっていいですか」

「舐める?この私が……?別に興味すらないあなたのことを?それこそだってあなた……テレビとかネットに不満垂れ流したってしょうがないじゃないですか。ほら」


胸元から取り出したスマホには、俺のネットニュースで打った政府を叩くコメントが。


(!?)


なんだよこいつ、まさか俺のストー……いやそれはないな。

にしても身元がバレてたってことか?まさかそれを盾に俺に押し売りにきた?


「安心してください、私は嘘はつきません。あなたを異世界に本当に連れていくことができるんです」

「……完璧に脅しとしか捉えられないんですけど」

「まあまあ」



「私たちは異世界をお客様に提供させて頂く代わりに、お客様からはこの世界での命を頂戴いたします、異世界の質はお客様のこれからの人生によって決まり……ですので、お客様の未来を拝見させていただく必要がございます」

「未来を拝見って……どうやって?」


あくまで、あくまで理論上の話だけど、現時点で人類は未来予知の方法を確立していないはず。つまり未来なんて予知できるわけがない。


「弊社では約1億種類の異世界を販売しておりまして、お客様のこれからの人生によって異世界の種類を弊社で選ばせてもらっています。未来は……接吻キスで視ることができます」

「ききき、キス!?まじですか!」

「ええ。しかもかなり長めのやつです。よかったですね」


ま、じか。こんなお姉さんとのキスなんて悩殺確定じゃねえか。

にしてもいくら仕事とはいえ嫌じゃないのか。


「キスで未来が視えるって、あなた何者なんですか」

「そこは企業秘密なんです。すいません。ではこちら契約書」


A4プリント10枚分くらいのクソ長い契約書を30分くらいかけて読んだ。


「大丈夫です。印鑑で構いませんか?」

「すみません、私とキスをしてその後の唇をこの紙に押し付けてもらっても構いませんでしょうか。恥ずかしいと思いますがすいません」

「分かりました」


非モテ童貞だから、まあ今までキスの1つ2つしたことないんだが。


「いくら仕事とはいえ、結構しんどくないんですか?」

「そんなことはないですよ。それにそこら辺はもう割り切って1日10人くらいの人とキスしてますから笑」

「そうですか……」


互いに向き合って座る。

時計の秒針の針だけが聞こえるほどの静寂が訪れた。

俺と女性はたまらず間を埋めるように深呼吸をする。


「それでは、失礼します」


柔らかい唇が触れたと同時に、舌が俺の口に入り込んできて心地よい気分になる。

これが女性、キスの味か。息継ぎをしてまた舌を入れる、最高だ。


「ありがとうございます、ではこちらに」


俺は紙に自らの唇を押し当てる。

あーもう俺ほんとに異世界行くかんじじゃん。


「お疲れさまでした。お客様、なかなか上手でしたよ。それでは、私が視えた未来を説明いたしますね」

「正直にお願いしますね」


「まず1年後あなたはパートナーを作り、5年後結婚し、子供を作ります。結婚と子作りボーナスで+3000ポイントです。5年後の時点では3310ポイントです。さらに、7年後、俳優としての才能を発揮し、テレビで大活躍します。定職ボーナスで+1000ポイントです」


え、待って。俺の人生最高過ぎんか、異世界転生せんでよかったやん。

奥さんも子供もできて、超売れっ子俳優にもなってって、最高やん。


「しかし、10年後奥さんと夫婦喧嘩になり奥さんを刃物で殺してしまい、無期懲役が確定してしまいます。-4000ポイントです。しかし刑務所内で模範囚として称えられます。+100ポイントです。しかし大災害が起きあなたも巻き込まれ死んでしまいます。30代で死んでしまったので+300ポイントであなたの合計ポイントは710ポイントです」


んー、奥さん殺しちゃったのかー。何してんだ!

とりあえず710ポイントか。-いってないだけマシだな。


「あ、あと個人的にキスが上手だったので+100ポイントで、計810ポイントですね。それではこの異世界がお客様にはぴったりです」


写真を何枚か見せられる。


「こちら、とっても自然が綺麗で豊かです。王様の独裁といった政治体制でもなく、みんなで話し合っていろんなことが決められています。とても魅力が多い国となっておりますがいかがでしょうか。お客様の710ポイントではこの異世界で精いっぱいでした」


正直悪くない。食べ物も、自然も、綺麗な女性も多いし、政治的にも腐敗してなさそうだ。俺の第二の人生にはここがふさわしいだろう。


「じゃあこの異世界にします」

「かしこまりました、それでは魔法スペルを唱えさせていただきます」


すると女性は深呼吸して。


「ああ、これに応えんとする術者よ。我がアリス・エルバーネットの名において、応えてはくれぬか」


すると足元に水色の魔法陣が描かれる。

俺はじっとして女性の術が唱えられるのを待つ。


「汝、男を一人そちらに送る。召喚が成功するように、受け入れを許可にしてくれたまえ」


すると水色の魔法陣は濃い青色へと変色する。


「さあ、いつでも行けるますよ。この世界にお別れくらい言ってもいいんじゃないんですか」

「大丈夫です。俺はきっと異世界でうまくやりますよ」

「そうですか、では転送を実行しますね」


その瞬間、俺の意識は虚空に飲まれていった。



「また1人、なかなかいい命じゃないこれ。さて、命はで高く取引されるからなーまあ使い道は後でまたかんがえよ。にしても、あの人間キス上手だったなー、いつかまた会えたらもう一回したいなー」




































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