第37話 業務報告と新事業の立ち上げ
「そうか、なるほど。前
俺の話を聞いた王様は
今、俺は王都に来ている。
領主として
「
「その
住民たちの
領内ダンジョンの管理。
食糧問題による栄養不足に人口問題。
他多数――、
街系シミュレーションゲームで起こる問題ほぼ
前伯爵、欲望のままに突っ走りすぎだろ。
まともな人間ならゲーム実況の企画でもない限り、こんな経営絶対しねーぞ。
「
「わかった。そのような問題が起こっているのも、元をたどれば伯爵の
「ありがとうございます!」
よかった……これで停滞中の面倒ことが一気に片付くぞ。
自分たちの食い
国の公共事業としてやってもらえるから
本当にいろいろ助かった。助かったんだけど……
「ところで王様」
「む? 何だカイトよ?」
「カレー食いながらの仕事は止めませんか? 服や書類が
この王様、今までの真剣な一連のやり取り、全てカレーを食いながら行っている。
好きなのはわかるしちょっと嬉しいけど、一国の指導者としてそれはどうなんだろうか?
「ははっ、すまん。久しぶりにカレーが食せると思ったら
「気に入ってもらえて嬉しいですけど、そんなに好きなんですか……」
「うむ。できることなら1日3食、毎回食したいと思っておる」
「止めてください。栄養
肉と野菜がふんだんに使われているため、カレーは栄養豊富な上にバランスはいいけど、さすがに毎日3食同じものを食うのは身体に悪い。
カレーのレシピでも渡そうかと思っていたけどハマり具合がすごいし、今回は見送ろう。
「ところでカイトよ、私財を投じた食糧問題はともかく、栄養問題はどうやって解決したのだ? 報告書にある通りならばろくに食料がもらえず、住民たちはやせ細っていたのではないか?」
「ああ、その問題を一気に解決してくれる丁度いい魔物がいましてね。その魔物のおかげで今や街の住人は元気いっぱいでお
「おお、そんな魔物が! 実に
「ウォータースネークです。街近くを流れる川で
「ウォータースネークだと!? あの気持ち悪い魔物が……相変わらずお主の料理は余の常識の
「恐れ入ります」
まあ、ただ知っているだけなんだけどな。
異世界の食文化はまだまだ発展途上。
「余も食してみたいのだが……どうだろう?」
「そう言うと思って弁当を作ってきました。料理番に渡しておきますので、夕食時にでもお召し上がりください」
……
…………
………………
「さて、とりあえずやることの片方は終わったな」
王城を出た俺は、次の目的地を目指し大通りを歩く。
目的地はこの国の冒険者ギルド本部だ。
ここのところのドタバタで忙しかった中、思いついたアイデアを実行するための人員が欲しい。
ギルマスに頼んですでに話を通してもらっているので、すんなり事は運ぶだろう。
何せ、人は美味いものには逆らえないのだから。
「ふむ、お前さんがカイトかね? シュトルテハイムのやつの話にあった」
「シュトルテ――ああ、はい、そうです。俺がカイトです」
ギルド本部到着後、通された部屋にいたのは
この幼女が冒険者ギルドの頂点か……。
見た目は幼女だけど絶対にただ者ではない。
身にまとう雰囲気、そして何より、ギルマスの本名をちゃんと覚えているっぽいところ……油断していい相手ではなさそうだ。
「ふむ? 初対面なのにわしの姿を見ても
「見た目はどうあれ、冒険者ギルドのトップに失礼な態度なんて取れませんよ。それに、どうせ見た目通りの年齢ではないでしょうから」
「お主、魔法のない異世界の人間のくせになかなかやるのう。たしかにこの姿はわし本来の姿ではない。本来のわしは背なんかスラリと高くて、チチもケツもバイーンとなってて、腰なんかもキュッとくびれた美の
「嘘つくなよロリババア。初対面だからってハッタリかましまくるとか、いい
「いきなり
いや、だって明らかに
多くの人のトップに立つ人間がそんなくだらない嘘をつくのがよって思っちゃったら、つい。
「失礼しました合法ロリ。あまりに小さな見栄と小物ムーブで思わず本音が。お許しください」
「許すと思う? ねえ、そんな風に
「許していただけるような
「ん? そう? そう思ってくれるかや? なら許す」
「ありがとうございます。ではこのクッキーをあげましょう」
「わーい♪」
本部のギルドマスター、ちょろい。
「ってこのクッキー美味ええええええぇぇぇっ!? 何!? 何なのこのクッキー!? 味も
「用事はすでに聞いていると思いますので手短にいきます。うちの領内で仕事をしてくれる人員が欲しいので、ここの1階と訓練場使って
「え? スルー? わしの質問完全になかったことにされてる?」
「いいよって言ってくれたらクッキーもう1個あげます」
「いいよ」
「ありがとうございます。クッキーだけじゃなく、おまけの
「やったぁ♥ ってこっちも美味ああああぁぁぁっ!? カリカリ食感の中に染みる甘じょっぱいタレと
本部のギルマス
俺は1階にある大広間、酒場
メニューはウォータースネークのうな
この日のために領内の人たちに、使い捨ての木の器を作ってもらい、
「お、弁当屋か。兄ちゃん、いくらだ?」
「はい、こちらの丼とお吸い物のセットで銀貨1枚となっております」
「銀貨1枚だぁ!? 昼飯にそれは高すぎねぇか? 払えねえ金額じゃねえが……」
「もしお口に合わなければ
「ふうん、そこまで言うならちょっと食ってみるか。ほい、銀貨1枚」
「ありがとうございます!」
代金を受け取り弁当を渡した。
「ぐっはああああああぁぁぁぁっ!?」
「お、何だ何だ!?」
「弁当食ってぶっ倒れたぞ?」
「ははっ、そんなに不味かったのかこの弁当?」
「ち、違う……逆だ。吹っ飛ぶくらい美味かったんだ……何だこれは!? こんな美味い物生まれてこの方、今の今まで食ったことねえぞ!?」
予想通りの反応だ。
この場の冒険者全員が見守る中、実に良い
「そんなに美味いのか?」
「ちょっと高いけど興味あるな」
「な、なあ兄ちゃん、これマジで銀貨1枚でいいのか?」
「ええ、もちろん。ちょっとお高いですが」
「っしゃああ! じゃあ追加であと10個くれ! 腹いっぱい食ってやるぜぇ!」
「お、俺も!」
「俺にもくれ!」
「あたしにも! お腹減ってるから3個!」
「こっちは5個だ!」
フハハハハ! 人! 人! 人! 人の山だ!
やり取りを見ていた冒険者たちがイナゴの
全員捕まえて食らってくれる!
……
…………
………………
「えー、
最初の客から30分もしないうちに弁当は売り切れた。
冒険者って結構食うだろうからかなりの量を用意してきたのに、まさかこんな短時間で売り切れるとは……。
値段高めに設定したのに、正直ちょっと予想外だったな。
「え? もう売り切れ!?」
「チクショウ! まだ食いたかったのに!」
「俺なんて食い
「誰かキープしてるやつ売ってくれ! 銀貨2枚で買うぞ!」
はいはーい、転売はご
それされると市場経済がボロボロになっちゃうからね。
食いたかったらまたの機会にどうぞ。
そのまたの機会はすぐに用意させていただきますので。
「えー、当弁当屋では現在社員を募集しております。給料はそこそこですが、まかないは3食出ます。興味のある方はこの後、外の訓練場にお越しください。皆さんのご応募、お待ちしています」
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《あとがき》
転売、ダメゼッタイ。
《旧Twitter》
https://twitter.com/USouhei
第4回次世代ファンタジーカップにエントリーしました!
読み終わった後、できれば評価をいただけたらと。
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