第5話 初仕事
「っしゃー! 今日から
翌日――俺は冒険者となってから初の朝を
異世界に冒険者、男の子の心をくすぐるであろうワードが二つ。
テンションが上がらないわけがない。
まあ、こんな形で異世界も冒険者も経験したくはなかったというのが正直なところだけど。
「とりあえず飯にしようか」
俺は部屋を出て一階に降りる。
俺が利用している
「人
俺のイメージする冒険者というのは、危険を
そりゃ命と金を
「まあ俺は帰る手がかり探すのがメインだし、そこまで稼ぐ必要はないか」
何事も命あっての
その大事な命を
「これが……異世界のオーソドックスな朝食?」
配給された朝食を見て俺は
小さな固いパンに、明らかに昨晩の残りであろう魚の切り身。
そして味がわからないほど
……食事
「こんなんでいい仕事なんてできるか!
「止めときなって。そんなことしたらここ追い出されるよ?」
「ぬ?」
文句を言うために席を立とうとしたところ、隣の女冒険者に止められた。
年のころは俺と同じで
金髪でショートカットのかわいい系女子だ。
この
間違いが起こったらどうするつもりだ?
「ここ利用するってことは金ないんだろ? だったらこれくらい
「……たしかに」
それもそうだ。
日本円にして三百円
料理人(バイト)の血が少しばかり
「あたしはミーナ、駆け出しの
「俺はカイト。昨日入ったばかりでランクはFだ。
「知ってる。
「どうしてそれを?」
「あたしもあの場にいたんだよ。いやあ、正直スカッとした! あの新人イビりども、あたしが
「ああ、やっぱそういうことやってたんだあいつら」
立場を利用してのパワハラは、俺たちの世界でも最も嫌われることのひとつだ。
そんな
「そんだけじゃないよ。前衛や中衛の女冒険者は
「男冒険者は止めなかったのか? ギルド職員は?」
「止めないよ。あいつら自分より強い男がいるときはやらないし、ギルドは完全実力主義だ。冒険者ギルドにとって
「ふーん、なるほどなあ」
「それよりカイト、あんた今日の予定決まってる?」
「いや、まだだけど?」
さっき起きたばっかだし予定もクソも何もない。
「だったらあたしと同じクエストしようぜ。Dランク二人を余裕でぶちのめせるあんたなら良い
「お前さん……今俺のこと肉壁って――」
「言ってない言ってない! さあどうする!? この仕事は本来ならFランクは受けれない仕事なんだぜ!?」
なんか
より高いランクの仕事の方が
稼いで
「あんたの目的が何であれ受けさせてもらうよ。その方が稼げそうだし」
「よし! 肉壁ゲット!」
「本音を隠さなくなったな……で、仕事の内容は?」
「ふふ、それは行ってからのお楽しみだよ」
それだけ言うとミーナは「あたし手続きしてくっから」「昼までに
「準備、そうか。冒険者の仕事をするにも準備はいるよな」
……
…………
………………
「とりあえずこんなもんかな」
時は
この世界の金はまだ持っていないため、とりあえず冒険者ギルドの受付に相談。
報酬の一部から返却すると言うことで、ギルドで一式
攻撃のダメージを
そして、
なんというか――本番なんだな。
「よっ、お待たせ。じゃあ行こっか」
遅れてやってきたミーナの格好は暗い緑色を
その上に肩当てやら胸当て、ズボンなどを身に着けている。
武器はナイフと弓矢。
斥候らしい見つかりにくさと動きやすさ、そして逃げやすさを目的としている格好だ。
「へー、食客ってどんな武器使うのかと思ったら
「ああ、まあね」
昨日の一件で《
鉄でできたいわゆるメリケンサックだ。
これで人を殴ったら、俺たちの世界なら間違いなく死ぬだろう。
「そんじゃそろそろ行こっか。目的地は街の外を出て南へ一時間ほど行ったところにある
「精霊の泉? ってことは、いるのか? 精霊?」
「さあ? 神様がいるくらいだからいるんじゃね? あたしは見たことないけどね」
「ふーん」
ファンタジー世界にも存在が
「で、そこで俺たちは何をするんだ?」
「ふふ、それはね――」
――ゴブリン狩り
ミーナはそう俺に言うとニヤリと笑った。
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《あとがき》
初めての冒険回です。
導入部分なので今回は短め。
ミーナは今後色々関わってきます。
もちろんラブコメ方面でも。
《旧Twitter》
https://twitter.com/USouhei
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