メガネフェチじゃないんだけど

星之瞳

第1話

「おい、及川おいかわなんだ急に呼び出して」

「ああ、すまん、江崎、お前の彼女のゼミに池山留美いけやまるみって人いたよな」

「ああ」

「あの子いつもメガネだろう。メガネ外したら美人なのにもったいないなぁ~って思って」

「おいおい、お前メガネフェチか?」

「違うよ、単純にコンタクトの方がいいのにと思っているだけ。だから、江崎の彼女に池山さんのメガネを取った顔の写真撮って見せてもらいたくって」

「ふーん、それなら今から連絡してみる」・・・暫くして

「今から来るそうだ。ちゃんと説明しろよ」


「あ、いたいた。ヤッホー!たけし

麗奈れなこっちだ」

「えっと、始めまして、高野麗奈たかのれなです。えっとあなたが及川さん?」

「はい、始めまして、それでお願いというのは」と及川は俺に行ったことを話し始めた。

「話は解ったわ。でもね、写真を撮るって本人の許可がいるし難しいかもよ。一応話はしてみるけど、期待しないでね。ちょっとデリケートな問題だから」

「解りました」その日はそれで分かれた。


数日後、

「いたいた池山さん缶コーヒー飲まない?ちょっと話があって」二人はベンチに座り缶コーヒーを飲み始めた。

「話って何ですか?」

「池山さんっていつもメガネでしょう?コンタクトは使わないの?」

「ええ、コンタクトって使い捨ては高いし、使い捨てじゃないと今度は手入れが大変だし。それに、小学生の頃に友達の爪が目に入って視力に影響はないんですが小さな傷があるんです。視力が落ちで眼科に行ってコンタクトはやめておいた方がいいと言われて・・・それ以来メガネですね」

「そうなんだ、ねえ、眼鏡をはずした写真撮らせてくれない?」

「え!なんでですか?」

「やっぱりそうなるよね。実はね、私の彼の友達が『池山さんはメガネを取ったら絶対美人だから、とった顔を見てみたい』って言っててね」

「ええ!!私メガネ取ったって美人には程遠いですよ」

「でも、人の好みはそれぞれだから」

「写真撮られるのは嫌だから、直接会いましょうか?」

「そうね、彼に連絡してみるわ」麗奈は武にメッセージを送った。暫くやり取りしていたが、

「明後日会いましょうだって。場所とか決めておくね」

「解ったわ、決まったら教えてね」


明後日、四人は学内の休憩所に集まった。

「初めまして、池山留美です」

「初めまして、及川聡おいかわさとるです。今日はお願いを聞いてくださってありがとうございます」

「私のメガネを取った顔を見たいということですね、メガネ外します」留美はメガネをはずすと、及川の方を見た。

「ああ、やっぱり、メガネをかけない方綺麗。話は聞きました、コンタクト使えないんですってね。もったいない」

「しょうがありません。それに私自分をそんなに美人とは思っていませんから」

「メガネはあなたに会うための口実だったんです。池山さん、お友達からで構いません、私と付き合って下さい」

「え!」突然の告白に池山は固まってしまった。

「おいおい、及川、突然すぎだろう。俺にも黙って」

「そうよ、そうゆう話なら、いきなり会わせたりしなかったわ、池山さんの気持ち考えてよ。あなたの独りよがりじゃない」

二人は口々にそう言った。

「そうかもしれない、でも、僕は池山さんの事ずっと見てたんだ。電車で席を譲るのを見て、心の優しい人だな。と思ってたら、同じ大学と解って、それから高野さんと一緒にいるところを見て、それで江崎に頼んだんだ」

「え、席譲とこ見ていたって、同じ電車通学なんですか?」

「そうだよ、それで時々見かけていたんだ。だから、メガネを取ったら美人というのも本心だけど、君の心の優しさに引かれたんだよ。改めてお願いします。僕とお付き合いして下さい」

「はい。ただ、私は及川さんの事何も知らないんです。お友達からでいいですか?」

「もちろん。ありがとう」


「やれやれ、うまくまとまったみたいだな。おい、及川、お前の無茶ぶりに付き合ってくれたんだ、大事にしろよ」

「そうよ、泣かせたら許さないからね」


二人の言葉に、及川はしっかりと頷いた。








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