前世愛のない結婚をした夫が今世、王太子になってこっちを見てくる
吉高 花/ビーズログ文庫
プロローグ①
「どうして! どうしてイモジェンではないの! イモジェンの方が何百倍も美しくて
カーライト
そんな場面を
「あー、王宮はエスニアとイモジェンを
夫人のあまりの
その言葉を聞いて初めて、私はこの家に『神託の
何か
「そうですよ! 絶対にイモジェンです! 使者さまも見てください! この娘の
「そうですわねお母さま……使者さま! 私、『神託の乙女』として
しかし使者さまは
「『神託の水盤』は、そのような
「そんな名前の娘なんて私にはいませんわ!」
「ここの娘は私だけよ!」
「しかし貴族
「ああ……ええと、それではどうでしょう。『神託の乙女』としてイモジェンを
「ではエスニアさまというお嬢さまもいらっしゃるということですね? その方は今どちらに?」
「そんな娘は私にはおりません!」
即座に夫人が叫ぶ。
「では今カーライト伯爵が
「あんなみすぼらしい娘を使者さまにお見せするなんて、
そう叫ぶ夫人に、
「『神託の水盤』はかつて、
「あれはこの家からは出しません! 家の恥なのですから! あんなのが王宮に行っても我が家の恥をさらすだけです! それよりずっとこのイモジェンの方が、全てにおいて素晴らしいのをどうしておわかりにならないのですか! 誰がどう見ても明らかではありませんか!」
もはや夫人はパニックになっていて、使者さまにイモジェンがいかに素晴らしいかをとにかくひたすらまくし立てた。
しかし、使者さまはあくまで冷静だった。
「とにかく、その『エスニア』という名前の人物をここに呼んでください。私は王の代理としてここに来ています。これは王命なのです。逆らうことは、反逆とみなされます。それでもよろしいのですか?」
とうとう「反逆」という言葉まで出たところで、ようやく夫人は
もうぐっしょりと
「……エスニア。王宮の使者さまにご
「はい、お父さま。使者さま、はじめまして。私がエスニア・カーライトでございます」
そうして初めて私の姿が使者さまの視界に入ったのだった。
「ああ! あなたがエスニアさまなのですね。それではエスニア・カーライト
あなたは今代の『神託の乙女』に選ばれました。つきましては至急、王宮へお
私の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます