透鏡の先に見据えるは
佐倉伸哉
前編
南蛮船の漂着を伝えられた臼杵城主・太田
三月三十日。大坂城にて、徳川家康はリーフデ号の船員と対面した。家康、この時五十八歳。その表情は、どこか面倒くさそうである。
リーフデ号の漂着を何処からか聞きつけたイエズス会の宣教師達は、彼等を海賊船だと指摘した上で「即刻処刑を」と再三に渡り求めていた。天正十五年〈一五八七年〉六月十九日付で秀吉により
家康が優先したい事。それは――天下取りだ。
前年、対抗馬と
ところが、当初は面倒な事と捉えていた家康は会見が始まってから考えを改めた。
船長ヤコブ・クワッケルナックは重体で代わりに応対した航海長ウィリアム・アダムス(
自らの濡れ衣を
眼鏡は紀元前の頃にガラスを通して文字や物体を拡大して見る事が出来る事が発見されていたが、眼鏡の形になるのは十三世紀になってからとされる。日本に伝来したのは天文二十一年〈一五五一年〉に宣教師フランシスコ・ザビエルが大内義隆に謁見した際に献上したのが初出とされる(但し、将軍・足利
家康はこの時代の人間には珍しく読書家で知られ、『論語』『
(※眼鏡が献上品に含まれていたか、眼鏡に家康が喜んだかについてはそれを裏付ける史料は無いので、これはあくまで作者の創作です。あしからず)
後年、徳川領へ
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