ステラ&シグマの実況・解説⑥

「ローズさんはシグマさんと同じギルド、プロフェッサーに所属しています。その強さはシグマさんはよくご存知かと」


「いや、どうだろうな。あまりお互いに干渉しないようにしているからな。私もナタフが使う神技で効果がよくわかってない奴がある。恐らく、エルも知らない。そこにルートがどういう答えを出したのか。個人的にそこを注目している」


「もしや前回の12神祭でレイラさんのフロード戦を倒した謎のスキルのことでしょうか?」


「直接、フロードを倒したのは闇宵月とかだと思うぞ。わかりづらかったが、映像を見返すとそれっぽいスキルの発動を確認できたからな。だから謎のスキルは攻撃スキルじゃないと考えているが、それ以上は見当も付かない」


「ふむ、なるほど!ルートさんの用意した対策には注目ですね!そして、両者1体目のモンスターを召喚します!!ローズさんの1体目は悪魔のナタフ。ルートさんの1体目は人類種の忍者、サスケです!!」


「みんなサスケって呼ぶが、正確にはモンキー・サスケって名前でサスケは愛称だぞ」


「な、なんと!てっきりサスケという名前なのかと!勉強になります」


「ナタフのナイトメアを変わり身の術で上手く透かしたな。ローズとしては変わり身の術を使われる前提で使ったのか?厄介なスキルだし、早々に使わせてクールタイムに入れたかった感じか?」


「影分身でサスケの数が一気に11体に!!しかも影冠によって強化されているので、普通の影分身とは違い、サスケ本体と同様にHPを持つようになります!!」


「まあ、もっとわかりやすく説明すると11対1のバトルを強いられるわけだ。この状況を打破するにはどうにかしてサスケ本体を見つけて撃破するしかない」


「ちなみに私はどれがサスケ本体かさっぱりわかりません!」


「それは私もだ。動きで見極めるのは無理がある。本体にしかできないこと、神技を使わせることができるかどうかだな」


「影分身は通常スキルは使えますが、神技が使えません!つまり、神技を使える個体が本体ということですね?」


「そういうことだ」


「全体攻撃や範囲攻撃を使い、少しでも多くのサスケにダメージを!と試みていますが、全て相殺されていますが、ここで攻め方を変える!正面からではなく、頭上から!雨が降るかのように攻撃が降ります!」


「ダメージを最小限に抑えるべく、自身をスッポリ覆う土釜か。全方位からの攻撃を防げるが、視界が遮られるな。あの数のサスケに個別で指示を与えるのは至難の業だ。ある意味、これはチャンスだな」


「あ!ナタフに動きが!!1体に狙いを絞って攻め立てます!」


「追撃こそできなかったが、今ので囁きナイトメア圏内までHPを削れたな。変わり身の術のクールタイム次第ではあるが、一先ずあの個体は無視でいいだろ」


「ナタフも上空でナイトメアのクールタイムが明けるまでの時間を稼ぐつもりだが、強烈な下降気流がそれを許さない!」


「お!上手いな!!サスケの使う忍術は物理攻撃だから闇属性の攻撃スキルで魔法斬りができないが、物理攻撃スキルだから射程が短い。必然的に近づかないといけない。それをローズが利用したな。ここで本体が神技の直撃を受けると囁きナイトメア圏内までHPが削れる」


「そうなると再び変わり身の術となりますが、ナイトメアと変わり身の術、どちらの方がクールタイムが短いかという勝負になります!!」


「神技を使って透かすか。これでサスケ本体が誰か一目瞭然。ここで攻撃を受けなかった時点で変わり身の術の方がクールタイム長そうだな。少なくともルートはそう考えているのはわかった」


「ん?ちょっと理解が追いつかないです。何故、変わり身の術がナイトメアよりもクールタイムが長いとわかるのですか?」


「変わり身の術の方がクールタイム短いなら囁きナイトメアは脅威にならない。確実に毎回透かせるからな」


「あ、なるほど!!…って!気づいたらサスケが本体を残すのみとなっています!!!それに本体もHPが3割ほどしか残っていません!!」


「こうなれば、なりふり構わずいけるな。神技が使い放題だ」


「…」


「…」


「12神祭でも似たようなことがありましたが、シグマさん何が起きたかわかります?」


「さっぱりわからん。解説として呼ばれているのに申し訳ないが、わからんものはわからん」


「―さて、気を取り直してルートさんの2体目は妖怪種、白面金毛九尾の狐のハク!!初手は妖気解放を温存し、霊気解放と九尾の妖気のみ!」


「妖気解放のスキル封じはレリアに使わないと厳しいだろ。ここでナタフから攻撃をもらうとデバフ・状態異常が付与されるし、被弾ゼロで倒したいところだな」


「おお〜、鮮やかなまでの瞬殺」


「アビスブレイクがクールタイムに入っていたからな。結果的にお互いに1体目のモンスターは役目を果たしたと言える。ハクもほぼ消耗は無いからな。あとはエースモンスター対決を制するだけだな」


「レリアがバフを付与すると同時に妖気解放!!やはり、バフを封じにきました!しかし、天女の解放よりも天女の覚醒を封じた方が良かったのでは?」


「妖気解放で封じられるのは通常スキルのみだ。特殊なスキルや神技は封じれない。この場合、天女の覚醒は特殊なスキルの方に該当するな」


「ここで白金狐火を再び放つ!明らかにクールタイムを無視している所を鑑みると妖気解放でクールタイムを0にしたスキルですね!」


「にしてもあの数の白金狐火をよく躱せるな」


「ここでなんと!セイクリッドブレイクで白金狐火を破壊!!これで強制的にクールタイムへと入ります!」


「まあクールタイムが明けるまで防御スキルでやり過ごすのが無難だが、敢えて早期決着を狙いにいくのも悪くないと思うが」


「どうやらルートさんではなく、ローズさんが早期決着狙いのようですね!ここで神技・ダイヤモンドダスト!しかし、ハクの神技・白滅金色結界で防がれる!!!!」


「いや、ルートも早期決着狙いだな。ここで攻勢に出た!」


「え?」


「なるほどな」


「なんと!!ハクの神技・白狐を受け止めました!!レリアには防御系の神技・金剛不動壁があるのに何故!?」


「受け止める直前にプチヒールを使ったが、まだヒールとセイクリッドヒールが残っている。使わなくても問題ないという判断だろ?寧ろ神技を一つ温存できた。ルートからすると今ので神技・金剛不動壁を使わせるつもりだっただろうし、嫌な展開だな」


「ルートさん、ここで切り札を使うようですね!狐変化からの神技・狐神降臨!」


「怒涛のラッシュ。これで決めるという意思が伝わってくるな」


「はい」


 最後の攻防を静かに見守る2人。

 そして決着の時が来る。


「遂に決着!!!!1日目最後の試合、勝ったのは12神 ローズ・リチャード!!!!」

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