第191話 岩石から鋼鉄へ的は進化する
ピナを戻して第2エリアの『鋼鉄の剛翼』の攻略に移ることにした。
Lv上げの成果はしっかりと発揮できていて、ピナがいなくてもメタルバード相手にそれほど苦戦はしなかった。
ブルーも霹靂神や八雷神といった強力なスキルを温存できている。
2、3体同時に出てきても問題ない。
まあ問題があるとすれば、
「ブルー、私ごと全体攻撃は止めてください!視界が遮られて戦いづらい」
プルプル、プルプルプル、プル!
「それは何度も聞きました。何がついうっかりですか!」
プルプル
「全体攻撃は主の指示無く使うの禁止です!いいですね!」
プル
ブルー、随分と不服そうだな。
でも、これはリーフィアの言い分が正しいと思う。
挑発スキルを使って前衛でモンスターを全て惹きつけているリーフィアにとって味方の攻撃で視界不良は看過できないだろうし。
これはブルーにしっかりと俺からも伝えないとダメだな。
「ブルー、リーフィアの言う通りだよ。俺の指示無く、全体攻撃は禁止ね」
プル!?プルプルプルプル
「ダメ」
プルプル
よし、これで唯一の問題は解決。
問題も解決したことだし、第2エリアのエリアボス、ジャイアントメタルバードに挑戦しますか。
ボス部屋に入る前に忘れずにピナを召喚する。
ピヨ!
プル!
早速、ピナがブルーの元に駆け寄るけど、すぐにエリアボスとのバトルだからね。
ピヨピヨ、ピヨ
プルプルプルプル、プル
あ、リーフィアとラグニアがそれぞれ分断した。
うん、じゃあこのままボス部屋に入ろうか。
ボス部屋に入るとブルーは即座に切り替えをし、ピナをいつでも守れる位置に陣取る。
リーフィアとの位置関係も大丈夫そうかな。
こういう時にスっと切り替えてくれるのは助かるな。
いつもこうだともっと助かるけど。
「リーフィア、挑戦!攻撃してきたら闇の盾で防いで常薙の剣で反撃!」
最初、ラグニアはリーフィアから少し離れた場所で待機。ブルーやピナと違って後衛じゃないけど、前衛でもない。まあ中衛ってやつだ。
今の布陣はリーフィアを先頭に、やや後方にラグニア、その更に後方にブルー、ブルーの真後ろに隠れているピナって感じ。
早速、ジャイアントメタルバードは挑発スキルでリーフィアに突っ込んで来てくれた。
これを闇の盾で受け止めることでデバフ・状態異常の付与に成功。
常薙の剣で反撃するタイミングはリーフィアに任せてある。
こっちは次にラグニアを動かす。
「ラグニア、電光迅雷、カオスクロー、カオスブレイク!」
今日のラグニアには電光迅雷をコピーさせている。
理由はただ一つ。高速移動の為。
リーフィアが闇の盾で攻撃を受け止めたその瞬間、確実にジャイアントメタルバードの動きは止まる。
かなり短い時間だが、この距離で電光迅雷を使えば、届く!
ラグニアの攻撃は当てられる時に当てるべき。
混沌属性による強化は他のモンスターには影響を及ばさないけど、ラグニアはどんどん強くなる。
その為にステータスはバランスを崩して素早さに振っている。
余裕があればカオスオーガフレイムもと思ってたけど、やはり序盤はカオスクローとカオスブレイクを当てるだけで限界か。
もっとデバフで弱体化したらどんどん狙っていこう。
「ラグニア、定位置に戻って!ピナはリーフィアにプチヒール!ブルーは大人しく待機!」
ここまでがワンセット。ここからは闇の盾がクールタイムに入ってるから別の方法を取らないといけない。
そこで大人しく待機しているブルーの出番。
再び、急降下してリーフィアへと突っ込むジャイアントメタルバード。
リーフィアは盾を正面に構え、受け止める素振りを見せる。
ギリギリまでリーフィアに惹きつけて、もうちょい、今!
「ブルー、雷霆!」
ジャイアントメタルバードがリーフィアの盾と激突する寸前に一筋の雷がそれを阻む。
さっきの攻防でラグニアへの警戒度は上がっているが、ブルーは無警戒。
最初だけは確実に通る。
「リーフィア、騎士王の風刃閃!」
リーフィアには斬れるだけ斬ってもらう。
大したダメージにはならないけど、それでいい。
まずはリーフィアとラグニアが攻撃を当てないと始まらない。
相手が物理攻撃しかしてこないのは助かる。
普通の鳥なら羽を散弾銃みたいに飛ばしたりとか物理でも遠距離攻撃の手段はあるだろうけど、ここのモンスターは羽が岩石や鋼鉄だから飛ばすことができない。
遠距離攻撃が無いからこの攻防の繰り返し。
注意すべき点はデバフが本格的に悪化するまでは素早さがかなり高いので、油断すると一瞬で瓦解する。
逆に言えば、そこさえ注意すれば崩れることはな無い。
それから何回も似たような攻防を繰り返し行うこと30分ほどしてジャイアントメタルバードの動きが見てわかるくらいには鈍くなってきた。
そろそろ第二段階に移るか。
「リーフィア、闇の盾!ラグニア、カオスオーガフレイム!ブルー、スカーレットアロー!ピナは待機!」
ここからは守らずに攻める。
まずは闇の盾で受け止める。ここまでは先程までと同じだけど、ここからが違う。
ジャイアントメタルバードが盾と激突する瞬間を狙ってラグニアとブルーが攻撃する。
この時、一瞬だけリーフィアから意識が逸れる。
その瞬間を見逃さずに空駆を使ってジャイアントメタルバードの背後まで回り込む。
「リーフィア、騎士王の風刃閃、天空斬り!」
上から叩き落とすように合技で斬き裂く。
今回は斬れるだけ斬るじゃない。ジャイアントメタルバードのHPが0になるまで斬り続ける。
その為のサポート役としてラグニアが中衛にいる。
「ラグニア、電光迅雷、カオスクロー、カオスブレイク!ブルー、雷霆!」
スキルを発動してリーフィアの連続攻撃から脱出を試みるジャイアントメタルバードだが、その巨体が災いしてラグニアのカオスブレイクでスキルが破壊され、脱出に失敗する。
そして雷霆に被弾したことで体が麻痺して、一瞬動きが止まる。
リーフィアの攻撃には闇属性が付与されている。被弾すればするほどにデバフ・状態異常と悪化する。
徐々に一撃で与えるダメージも増えているが、ジャイアントメタルバードの抵抗も激しくなる。
このままだとリーフィアの合技がどこかで途切れてしまう。
ここでピナの出番だ。
「ピナ、プリンセスファイア、プリンセスウインド!」
ピヨ!と元気よく鳴き、深紅の炎と金色の輝きを放つ風を一直線に飛ばす。
ピナの攻撃は意外かもしれないけど、かなり威力が高い。
デバフで防御のステータスがかなり低下しているジャイアントメタルバードでは正面から受けきれない。
そして左側面にプルプルとこっそり回り込んでいたブルーがタイミングよく天御雷を放つ。
前方からはピナ、側面からブルー、上からはリーフィア。この時、ブルーの反対側の側面には中衛として活躍していたラグニアがいた。
「ラグニア、メガシャイン、メガファイア、メガダーク!」
完全にピナの守りを留守にしている状況に見えるが、問題ない。
万が一にもピナを攻撃する素振りを見せたらブルーが即座に電光迅雷を使って駆け付け、ディバインシールドで防ぐ手筈になっている。
それから暫く、ピナの空飛ぶ鋼鉄の的打ちが行われた。
ピナが嬉しそうにピヨ!ピヨ!鳴きながら魔法を放ち続ける。魔法がクールタイムに入ってる時はもっと頑張って羽ばたくを使っている?小さな羽をパタパタさせて飛ぶ練習かな?をしている。
ブルーが時折、プルとピナの方に反応を示している。
少しブルーの意識が逸れ始めたからピナを守るという役割を与えることに。
プル!と颯爽と駆け付けてくれたよ。
最後はブルーが美味しいとこ取りをする。
八雷神を俺に黙って使った。
うん、全体攻撃しか禁止しなかったのがダメだったか。
結果的に勝てたからいいけど、それで戦局が変わったらどうするつもりだったのか。
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