第11章 覚醒と挑戦
第189話 疾風の剛翼
無事に2年生に進級して、クラス替えが行われた。
たぶん、意図的だと思うけど、俺、郁斗、莉菜、オリヴィアの4人はみんな同じクラスになった。
担任の先生は変わらず市川先生だ。まあ、オリヴィアだけは変わってるけど。
そして当然のことながら新しく1年生が入学した。
再来週には新入生代表トーナメントが行われるみたい。
あと真偽不明の噂でスライムブームが到来してるとか。ただのデマカセだと思うけど、これを知った時に偶然その場にブルーがいて、プルって反応してたな。
俺はこれから暫くは近場のダンジョンに挑戦する予定。
郁斗たちは特に何も聞いてないけど、休学はさすがに無理みたいだから俺と同じで近場のダンジョンに挑戦するんじゃないかな。
今日はブルーたちのLv上げかな。
春休みはずっとピナのLv上げに費やしたし、リーフィアからもそろそろどこかのダンジョンに挑戦したいって話があった。
今日、挑戦するダンジョンは
それでも比較的攻略しやすいダンジョンって言われてる。
モンスターは空を飛んでいるけど、攻撃手段が物理のみ。遠距離攻撃がゼロみたいで攻撃する為に接近してきたところをカウンターで返り討ちにするのが手っ取り早い攻略法らしい。
口で言うほど簡単じゃないけど、カーラに二度負けているからね。
空を飛ぶモンスターとの戦って経験を積みたい。
近場だと『疾風の剛翼』しか無いのが残念。
まあ、
だから俺は1年生の時に海外のダンジョンに挑戦したわけだしね。それのウィリアムくんと『白猫』に挑戦できたのは1年生の3月ならもう2年生とそんな変わらないとかで学園長が特別に許可をくれたからとか。『疾風の剛翼』に挑戦する許可をもらった時に初めて謎ルールと許可のことを知った。
ダンジョンの中はかなり解放的な空間が広がっている。ただの荒野にしか見えない。
これなら奇襲とかを警戒する必要はないかな。
ブルー、リーフィア、ラグニアを召喚して進もう。
あ、ピナはリーフィアに教えてもらったことをお留守番しながら復習してるらしい。
お、早速モンスターが1体現れた。
名前はロックバード。うん、名前通りの見た目してるな。全身石?岩?で覆われている鳥だ。
かなり防御力が高そうだな。
今回はラグニアに空駆をコピーさせてるし、リーフィアとラグニアには空中で戦ってもらう。
ブルーはとりあえず、その援護かな。
「リーフィアとラグニアは空駆で空中戦を。ブルーは魔法で援護って感じでいくよ!」
プル!
グルグル!
「承知しました」
まずは各々好きにやらせてみる。
と言ってもロックバードは1体しかいないからそこまで苦戦するとは思えないけど。
この時のこの考えは甘かったとすぐに思い知ることになる。
『疾風の剛翼』を攻略するにはカウンターしか方法がないことも。
あまりに速すぎてリーフィアとラグニアが翻弄されている。空駆は正確には空を飛ぶではなく、空を駆けるスキル。空中で自由自在に高速で飛び回れる相手と戦うのは厳しいか。
ブルーの魔法も単体だと脅威と感じていないのか見向きもされない。完全に地上で放置されている。
あ、痺れを切らして八雷神を放ったけど、躱されてる。
ブルーがプルプルしてるけど、どこかいつもと様子が違う。きっと攻撃が当たらなくてストレスが溜まってるんだろう。
うん、ここはブルーの所までリーフィアに斬り落としてもらうか。
まだ、まだ、今!
「リーフィア、真後ろに天空斬り、騎士王の風刃閃!斬り落として!」
プル!
ブルー、あとは任せるよ。
リーフィアに斬り落とされたロックバードを電光迅雷、プロミネンスアタックで追撃し、それだけじゃ物足りなかったのだろう。
霹靂神と天御雷で更なる追撃を加える。
そこに上空から勢いよく落ちてきたラグニアがカオスクローとカオスブレイクの合技でロックバードのHPを削り切る。
あの速さに慣れたらある程度は戦えるかな。
問題は空駆ではあの速さで動く敵との空中戦が厳しい。この問題を解決しないとカウンター戦術以外の選択肢が無くなる。
ブルーがいい感じに魔法で撃ち落としてくれると一番助かるけど、あの感じでは望み薄かな。
たった1体相手にこれだと、2体、3体と出現するとヤバいな。
案の定、2体同時に相手をするとなると厳しい戦いを強いられる。
どうにかする方法を模索し、一つ試してみることに。
「リーフィア、ラグニア、地上に降りてきて」
まずは為す術なく一方的にやられているリーフィアとラグニアには地上に降りてきてもらう。
このまま上にいても意味ないしね。
3体が地上にいる状態ならきっとロックバードも高度を下げて、接近を試みる筈。
よし!予想通りだ。
「リーフィア、片方を闇の盾で防いで!もう片方はブルーがディバインシールドで防ぐ!」
今まで魔法を使う相手にばかりあのスキルを使っていたから失念していた。
物理攻撃しか使ってこない相手にも使えることを。
「リーフィア、常薙の剣!」
闇の盾は物理版常薙の盾。物理攻撃を防げば、相手にデバフ・状態異常を付与する。
このままデバフ・状態異常を付与したロックバードはリーフィアが単独で相手をすることで確実に1体を封じる。
残る1体はラグニアで封じたいけど、空駆をコピーしている今は無理だ。だからブルーと2体がかりでどうにかする。
「ラグニア、カオスオーガフレイム!」
ディバインシールドとの衝突で攻撃の勢いが落ちたロックバードなら対処は容易だけど、次に繋がらないと意味がない。
ここはフレンドリーファイアが無いことを最大限に利用して、カオスオーガフレイムにプロミネンスアタックを使ったブルーを突っ込ませる。
同じ赤い炎、赤くて丸い体、炎と同化するには十分だ。ロックバードがブルーの接近に気づいた時にはもう遅い。
「ブルー、鳴神、雷霆!」
さっきブルーがやたら滅多に八雷神を放ってなければ、簡単だったけど、使えないもの強請りしても仕方ない。
ここは確実にダメージを与えてつつラグニアに混沌属性の攻撃スキルを使わせる。
そうすれば、着々とデバフ・状態異常は重なり、動きが僅かだが、鈍くなる。あとはタイミングよく適当なスキル、今回はライトクローで迎撃するだけで簡単に倒せる。
混沌属性による強化はバトルが終わると途切れるからダンジョンに挑戦中、ずっと持続するとかは無い。
毎回、毎回ちまちまと混沌属性の攻撃をしないといけないのは大変だけど、その分リターンが大きい。
その1週間後、しっかりとLv上げを実施してからジャイアントロックバードという岩石で覆われた巨大な怪鳥のエリアボスと戦った。
物理攻撃しか使えないので、完全にリーフィアの鴨だった。闇の盾で防ぐことでデバフ・状態異常を付与、常薙の剣でダメージを稼ぐ。あとラグニアのカオスオーガフレイムやカオスクロー、カオスブレイクの餌食となっている。
ある程度、ステータスがデバフで低下するまでブルーは回復に徹する。
だいぶステータスが低下して捉えやすくなったなと感じるようになったら満を持してプル!と回復以外で存在感を露わにするモンスターが。
ここまで攻撃参加できなかったことの憂さ晴らしかいつも以上に過激だったけど、きっと相手がエリアボスで強かったからだと思うことにした。
最終的にあの巨体に加えてデバフにより動きも鈍いという空飛ぶ頑丈な的が誕生した。
エリアボスだからデバフによって防御力が低下しても全然ダメージが入らなかった。それが空飛ぶ頑丈な的のカラクリ。
ブルーがいつになく、楽しそうに魔法を放ってたよ。
たくさんプルプルしてたけど、雷霆で倒した瞬間、プル!?と衝撃を受けて、その後明らかに落ち込んでいた。
まるで遊び道具を奪われた小さな子供のように。
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