第176話 ベスト4が出揃う!

「葵美夏萌とオリヴィア・ブラウンの準々決勝第4試合、勝者はオリヴィア・ブラウン!!最後の最後で思い切った決断が勝利をたぐり寄せた!!これで白黒モノクロ学園学年別個人トーナメント1年生の部、準決勝を戦う4人が出揃いました!早速、準々決勝第1試合から結果を振り返りましょう!」


 白黒モノクロスタジアムの電光掲示板に準々決勝第1試合のバトル映像が映し出される。

 優勝候補筆頭に名が上がる2人の激突。バトルは最高に盛り上がった。

 蓮の1体目はリーフィア、蜆景虎はブレイド。

 序盤は互角のバトルを繰り広げていたが、ブレイドが真化して形勢は一気に傾いたかに思えたが、リーフィアはここまで温存していたのか、騎士王の風刃閃と天空斬りの合技で形勢をひっくり返す。

 最後は合技に加え、闇の盾も同時発動するという離れ技を成し遂げ、ブレイドを撃破するも召喚されたばかりのカイゼルによって撃破されてしまう。

 そうして満を持して登場したのがエースモンスター、ブルー。

 バトルはカイゼル優勢で進んでいたが、この時、まだブルーは全力を出していなかった。

 最後はとんでも威力の八雷神でカイゼルを撃破して蓮の勝利。


 準々決勝第2試合は郁斗と星宮聡龍のバトル。

 郁斗の1体目はネメア、星宮聡龍はアイリス。

 情報を制する者がバトルを制するとまでは言わないが、知っているから警戒する。知っているから対処できる。両プレイヤーの凄まじい読み合いが終始続いていた。

 ネメアVSアイリスのバトルは郁斗が押していたが、最後は闇の膨張による自爆による相討ち。

 これにより、2体目のガイアは召喚と同時に全ステータス2倍となる。

 バトルは打って変わって互角のように見えるが、実際はガイアがかなり有利だったが、最後少し警戒しすぎた。

 様子を見ることなく、速攻で勝負を決めに行っていたら勝敗は逆転していたことだろう。

 アジャスト・フォートレスは強力な防御スキルだが、使用直後に多大なデメリットのあるスキル。

 相手のミスにも助けられているが、それを含めて上手く立ち回った郁斗の勝利。


 準々決勝第3試合は莉菜と青天目朔夜のバトル。

 莉菜の1体目はマリン、青天目朔夜はソレイユ。

 バトル開始と同時にまさかまさかの出来事が!今まで一度も破られたことのない覆海をソレイユがあっさりと破った。

 これで人魚であるマリンはまともに戦えなくなったかと思いきや、宙に浮いていた!

 何かしらのスキルなのか、モンスターとして持っている特性なのかまでは不明だが、浮くことで人魚が地上ではまともに戦えないデメリットを解消していた。

 これでバトルは面白くなることはなかった。折角、人魚の新たな可能性を示せたのに日輪の舞と神秘の輝きを破ることができず、結局マリンは何もさせてもらえなかった。

 時間が経てば経つほどに強力となるソレイユのスキルに神技がルールで使用禁止されたエルナは為す術なく、破れると誰もが思った。

 しかし、青天目朔夜とソレイユの油断があったとはいえ、スターバーストとスターブレイクの合技で見事に突破。

 続く2体目のシグレとのバトルではエルナが攻撃をし、シグレが防御するという構図ができあがった。

 一進一退の攻防、どちらが勝ってもおかしくないバトル。

 結果、天を操る侍に追い風が吹き、青天目朔夜の勝利。

 新入生代表トーナメントの優勝者、莉菜が準々決勝にて敗北するという大番狂わせが起きた。


 準々決勝最後の第4試合はオリヴィアと葵美夏萌のバトル。

 ここでは一風変わったバトルが繰り広げられた。

 オリヴィアの1体目はアルマ、葵美夏萌の1体目はクレア。

 機械VS雪だるまのバトル。滅多に見られるものじゃない。このバトルは準々決勝の中で最も生配信での視聴率が高かった。

 序盤は劣勢だったが、途中で上手く対応したかに見えたが、全て葵美夏萌の作戦通りに進んでいた。

 アルマも準々決勝第3試合でのマリン同様にダメージを与えられずに撃破される。

 それをカーラが悪魔の祝福、悪魔の囁き、ナイトメアの必殺コンボで取り返したが、2体目のモンスター、ティアとの相性が最悪だった。

 音を使った攻撃と防御。今まで戦ってきたモンスターとは全く違うタイプのモンスターに苦戦を強いられる。

 逆鱗のレイクエムでHPを削り切られ、敗北するかと思われた瞬間、ダークボールで隠すように槍を投擲し、ティアが持つハープを弾き飛ばす。

 そうして為す術が無くなったティアは敗北。



 この結果を持って、白黒モノクロ学園学年別個人トーナメント1年生の部におけるベスト4が出揃った。



 もうすぐ郁斗との準々決勝第1試合が始まる。

 その前に確認しておかないといけないことがある。

 それは


「ブルー、いつまでも俺の腕の中でプルプルして甘えてないで昇華スキルについて知ってること教えて」


 プルプル、プルプルプル

 ピヨピヨ!


「ピナはいい子だから静かに待てるよね?」


 黙って首を縦に振るピナ。ブルーと違って素直だな。

 それに比べてブルー!いつまで甘えてるつもり?


 プル!プルプルプル、プル!


 ピナがすごく不思議そうに首をかしげている。

 何言ってるのか俺にはわからないからリーフィア、通訳お願い。


「主、ブルーはよくわかっていないようなので、私から説明させていただきます」


「あ、そうなの?じゃあ、リーフィアお願いしてもいいかな」


「はい。まず昇華スキルは取得する上で条件があります。この条件を主とブルーはカイゼルとのバトル中に満たしたと思われます」


 条件か。しかもあのタイミングで満たす。何だろうな?


「私が把握している条件は一つだけです。昇華可能スキルを取得していること。他の条件は諸説あり、どれが正しいのか不明です」


 昇華可能スキル?また聞いたことないな。まあ、昇華スキル自体が初耳だけどさ。


「ブルーの場合、昇華可能スキルが天御雷だったと思われます。なので、イメージとしては八雷神は天御雷の超強化版スキルのようなものですね」


「うん、それは使ってみて俺も感じたな。実際に昇華スキルって超強力なスキルって認識で合ってる?あと、昨日リーフィアが言おうとして聞こえなかったことって昇華スキルのこと?」


「主の仰る通りです」


「あともう一つ。その昇華可能スキルだっけ?それってどうしたらわかるの?」


「恐らくですが、昇華可能スキルかどうかを見分ける方法はありません。ですが、霹靂神のように神の名が付いているスキルは昇華可能スキルでないと思われます」


 リーフィアって相変わらず、物知りだな。おかげでいろいろと助かってるよ。

 とりあえず、昇華スキルが超強いってことはわかった。



 蓮の知らないところで行われた女子会


「それにしてもブルー、バトル中に主に甘えたいとかピナにお姉ちゃんすごい!って言って欲しいから負けたくない、勝ちたい!と思うのはどうかと思いますよ」


 プル!プルプル


「わかってますよ。主とピナには内緒ですね」


 プルプル、プル!


 ※この時、ピナの面倒はラグニアが見ています。



 時は準々決勝第1試合終了直後まで遡る


 プルルルル、プルルルル、ガチャッ!


「輝夜、あなたに聞きたいことがある」


「あら、あなたから私に電話が来るなんて珍しいわね。エルシー」


「何?私をどこかの二十面相とかだと思ってるわけ?まあいいけどさ。それよりも、鬼灯蓮!あれどういうこと?ブルーが使ったスキル、天御雷に霹靂神、そんで八雷神!あれ、あなたの仕込み?」


「さすがに違うわよ。私はそんな公平性を蔑ろにするようなことはしない」


「じゃあ誰?あなた以外の誰がやるの?」


「天御雷に関しては蓮くんが自力で入手してるわよ。確かイギリスの『大魔法図書館』の銀色宝箱ね」


「銀色?虹色じゃなく?」


「私は先月のギルドバトルが終わってすぐ行われた打ち上げではそう聞いたわよ」


「…調べる必要があるわね。情報提供感謝する。あ、あと霹靂神と八雷神について知ってること洗いざらい教えなさい」


「ホントに何も知らないから教えたくても教えられないの。ごめんね、エルシー」


「そう。てっきりあなたが手ほどきしたのかと思った。だって昇華スキルが使えるプレイヤーって現状12神だけだったしね」


「今はそこに蓮くんが加わってるわよ」


「わかってる。…フランスで会った時はここまでのプレイヤーとモンスターには見えなかったのに」


「これでわかったでしょ?あなたには見る目がなくて、私にはあった」


「……」ブチッ


「あ、切られた。自分から電話しといて一方的に切るなんて、いつものエルシーね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る