第170話 準々決勝第2試合開始
「準々決勝第1試合、激闘の末に勝ったのは鬼灯蓮!!手に汗握る展開!最後の最後まで切り札を隠し続けたことが勝ちを呼び込んだか!!!」
(えええ、どういうこと!?今、ブルーが使ったの昇華スキルじゃ…。嘘、ありえない。だって昇華スキルは――――)
実況者としての務めを忘れずにこなす一方、内心では驚きを隠せないステラ。
いや、ステラじゃなくても
特に昇華スキルを使える者たちの驚きは比にならない。ただ1人の例外はいるが。
このバトルを最初から最後まで見届けた輝夜はやっぱりと改めて自分の見る目を自画自賛していた。
Gランクのプレイヤーがスライム1体でFランクダンジョン『嘆きの墓地』を攻略したとモンスターニュースに掲載されているのを見つけた輝夜はすぐさまプロフェッサーにどこの誰が攻略したのか問い合わせた。
するとその年に
すると何の因果かシグマがいい感じの仲介役になってくたおかげで、夏休み前に話をする場を設けることができた。
そうして時が経ち、年度末の学年別個人トーナメントで結果を示してくれた。
あの蜆景虎に勝つという結果を。
「続いて準々決勝第2試合、星宮聡龍と二階堂郁斗のバトルが始まろうとしています!2回戦では大逆転勝利を見せた星宮聡龍とここまで余裕の勝利で来た二階堂郁斗。果たしてどのようなバトルになるのでしょうか!注目です!」
『星宮聡龍VS二階堂郁斗 バトルSTART』
「征服せよ、アイリス!」
「来い、ネメア!」
星宮聡龍の1体目は郁斗の予想通りダークエルフのアイリス。
これは星宮聡龍も郁斗に読まれている、きっと相性有利のネメアで来るとわかった上で出している。これ以外の選択肢がそもそも星宮聡龍には存在しないからだ。
(やっぱアイリスから来たな。ってことはガイアはきっと人類種のあれで間違いないな。厄介だな)
「ネメア、ゴーストタウン、デスサイズ!」
「アイリス、ダークランス、ダークボール」
「影渡り、ダークサイズ!」
「ダークナイトフォース!」
ネメアが影渡りや影渡り以外の移動スキルを取得していることは既に割れている。対策の一つや二つ当然、用意する。ブルーのフレイムフォースの闇属性版とも言えるダークナイトフォース。
不用意に影渡りを使えば、このスキルの餌食となる。
もちろん、郁斗もそれはよく理解している。だから敢えて序盤に突っ込んだ。
アイリスの戦い方からしてきっと魔法などの全体攻撃とかで迎撃してくるのは目に見えていた。
だから闇属性のダークサイズを使って突っ込んだ。
そうすれば、斬れるから。
ダークナイトフォースを斬った勢いそのままにアイリスも斬ろうとしたが、それは見えない壁か何かに阻止される。
(何だ、今の?2回戦では使ってなかったな。見えない壁か。闇属性のスキルって感じじゃないよな。どちらかというと光属性とか風属性の方が可能性としてはありそうか。となるとアイリスは既に闇属性のスキルが使えるし、光属性の線は薄いか。となると風属性か?でも、なんかしっくりこない。俺の勘が違うと言っている気が。…あ、そうか!わかった。ガイアだ!ガイアのサポートだ)
郁斗が辿り着いたガイアのサポートという答え、実は大正解。
ガイアは他のモンスターがバトル中にのみ限ってサポートできるスキルを持っている。
今、見えない壁で防いだように見えたのもガイアのサポートスキルだ。
「アイリス、ダークジャべリン!」
「受け止めて、グリムリーパー!」
「!!」
郁斗の選択肢は回避一択と考えていた星宮聡龍にとってこれはあまりにも想定外すぎる。
ダークジャべリンに被弾したら普通はデバフ・状態異常が付与されるけど、ゴーストタウンが展開されている今は全てアイリスに返ってくる。
グリムリーパーはデバフ・状態異常が付与されている相手に使うと威力上昇効果がある。
先ほど使ったばかりでガイアのサポートスキルは間に合わない。
直撃は避けられない。
「ネメア、チェーンリストレイントからのランドマイン、ウインドサイズ!」
「アイリス、ダークナイトブレイク!」
ドカーン!!!
「え?」
即座に郁斗の考えを読み切り、ブレイク系スキルでチェーンリストレイントを破壊して脱出した所まではよかったが、何故かその先にランドマイン、所謂地雷が仕掛けられていた。
郁斗の考えはチェーンリストレイントでアイリスを拘束、ランドマインによって地雷をアイリスの後方に設置、ウインドサイズで薙ぎ払ってそこまで弾き飛ばす。星宮聡龍はそう読んだが、それでは浅い。
郁斗はそう読まれることを想定し、ランドマインとウインドサイズの指示を出している。
リベリオンとのギルドバトル、ルーカス戦ではランドマインの指示を郁斗は出していない。あのバトルを見ていたら指示無しランドマインの警戒は怠れない。
そしてあのごちゃついたタイミングで敢えてランドマインの指示を出すことで意識がそこに向く。
そこにチェーンリストレイントによる拘束とウインドサイズによる攻撃を匂わせることでランドマインを確実に当てたいと心理的に誘導し、結果、後方はランドマインが設置されていて危険。活路は左右と前方にあると思わせることに成功する。
あとはネメアがアイリスの少し左斜め前から接近を試みることで自然と右斜め前に活路を見いだす。
そこに罠が仕掛けられているとも知らずに。
(完全に掌で踊らされてる気分だ。二階堂くんってここまで強いのか)
「アイリス、換装、ダブルアロー、ダークナイトアロー!」
「ネメア、ブラックホール!」
(この対応の早さ、もしかしてアイリスが換装のスキルを取得していること知ってた?)
先ほどまでは魔法のみで攻撃していたアイリスだが、ここで戦い方を変える。
持っていた杖が突如として消えて、弓に変わる。
換装スキルは事前にセットしておいた武器や防具をバトル中でも入れ替えれられるようにしたスキル。
今回、アイリスは杖を弓に変えるという武器のみの変更をしている。
「ネメア、ウインドボム、ウインドカッター!」
「アイリス、速射二連!」
「影渡り、アースサイズ!」
魔法を囮に影渡りで接近し、アースサイズで攻撃。
しっかりと警戒していたら大した脅威にならない筈の影渡りに苦しめられている。
これは
ギルドバトルの時よりも遙かにプレイングスキルは上達している。
「ネメア、ウインドボール、アースバレット!」
「…ッ!躱して!」
完全に後手に回らされた。星宮聡龍としてはこの状況は芳しくない。状態異常によるスリップダメージも重なり、アイリスのHPがかなり削られている。
だが、この状況を打開する手がアイリスには…。そうなるとすべきことは一つ。
「アイリス、常夜の束縛、デュアルダークナイトアロー!」
「ネメア!!!」
常夜の束縛でネメアの行動を封じ、デュアルダークナイトアローでネメアのHPを削る作戦だったのか。
ゴーストタウンの第二の能力、バトル中に一度だけフィールドの好きな場所へと移動できる能力であっさりと拘束を脱出される。
常夜の束縛はその場で動きを縛り、行動不能にするスキル。瞬間移動スキルなどで容易に破れる。
まだ影渡りはクールタイムから明けていないから決まると考えたのだろうが、甘かった。
「アイリス、闇の膨張!」
アイリスの背後を取ったネメアが大鎌を振り下ろす前にバトルは決まった。
『アイリス DOWN』
『ネメア DOWN』
最後は闇属性の自爆スキル、闇の膨張でネメアごと自爆。
実はこの闇の膨張はアイリス最強の攻撃スキル。普通なら自爆スキルなど取得させないが、星宮聡龍はいろんな意味で取得させていた。オリヴィアのアルマ以外に自爆特攻をかますモンスターがいるのはさすがに想定外だった郁斗。
これには思わず苦笑い。
(いや、よく考えるとなるほどなってなるわ!2体目のガイアが人類種のあれなら自爆もガンガンいける)
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