第156話 4人のダークホース
ピナが生まれた騒動でドタバタしている間に学年別個人トーナメントの予選は終盤に差し掛かっていた。
案の定と言うべきか新入生代表トーナメントの本戦に出場していた人たちは残っている。
そして俺が新入生代表トーナメントの予選で戦ったことある辻峰くんもいた。
ジャイコスがあれからかなり強くなっているように思える。
魔法適正を取得してるのかな?魔法らしきものを使ってる。
この調子だと本戦に進むだろうな。かなり手強そうだ。
他にも手強そうな人は何人かいた。そう思える人たちは不思議と根拠は無いけど、まだ手の内を隠してそうな感じもした。
新入生代表トーナメントの本戦出場メンバーだと谷口有栖さんのモンスター、エルフのミリスと大津優奈さんのモンスター猫獣人のミーシャ。
谷口有栖さんのミリスは琴音先輩のシルヴィーユに戦い方が似ていて、弓と魔法を使った遠距離攻撃に特化している。
予選でも近接戦を仕掛けているほとんどのモンスターが距離を詰めることができずに負けている。
もちろん、魔法で応戦するモンスターもいるが、弓と魔法を巧みに使い分けることでクールタイムを上手くやり過ごしているミリスを相手にすると徐々に追い詰められていき、最後は全てのスキルがクールタイムに入ってそこをメッタ打ちにされている。
大津優奈さんのミーシャは全く逆の戦い方をしている。
とにかく近接戦あるのみ、猪突猛進って感じ。
持ち前の素早さを活かして相手モンスターの遠距離攻撃は全て回避して、自分の間合いに入ると一気呵成に猛攻撃を仕掛ける。
リベリオンとのギルドバトルでバトルしたユリアさんのセーレとは全く違う戦い方だ。
セーレは瞬間移動スキルを妖気解放でクールタイムを無視して使うことで一方的とも言えるバトルを展開するけど、そういう感じはしない。
まだ予選だから隠しているだけかもしれないけど。
そして予選が終了し、32人の本戦出場者が決定した。
「やっぱあの
「はい。本戦のトーナメント1回戦では当たりたくありませんね」
「まあ、本戦まで少し時間があるし、私たちももっと強くなればいいのよ」
んー、あの4人?誰のことだろう?
何か俺の知らない要警戒人物でもいるのかな?
「郁斗、あの4人って誰のこと?」
「え?蓮、おまえマジで言ってるのか?」
「さすがにそれは情報に疎すぎ!」
「蓮、せめて同級生のことくらい知ってあげて下さい」
あ、そのレベルの話ですか。
俺が知ってる同級生って鬼姫メンバーと新入生代表トーナメントでバトルした人たちくらいかな。
今、思えばそこまで知らないかも。
「輝夜さんが打ち上げで言ってたろ?今年の1年生は激戦になるって。あれは鬼姫メンバーの直接対決を指した訳じゃなくて、ダークホースとも呼べる奴が何人かいる。それで予選を見た感じ、みんな強いけど、中でも特筆すべきは4人だけって話だ」
「
「あと
「あ、辻峰くんは知ってる。新入生代表トーナメントの予選でバトルしたし。めっちゃ強かったのは今でも覚えてるよ」
「あ、蓮もバトルしたんだ。人類種の巨人、素のステータスがかなり高いモンスターだし、今はリヴィングウェポンも装備していると考えるとCランクに昇格したばっかでもかなり手強そうね。今だけはステータスマイナス20されてよかったって思えるわ」
「あれ?そういえば、ステータスマイナス20ってリヴィングウェポンにも適用されるの?」
「ん?されないぞ。リヴィングウェポンは武器と防具って扱いだからな」
なるほど。でも、それは助かるな。じゃないとリーフィアの弱体化がとんでもないことになるし。
「よし、本戦出場メンバーは決まったことだし、俺らは俺らでLv上げとかしますか!」
「確か本戦は来週の水曜日、3月12日だよね?」
「そう。でも、市川先生から休学NGでっちゃったからちゃんと1週間、毎日学園に通わないといけないから忘れないでよ!」
「もちろんです!」
こうして俺たちは解散し、俺は家に帰って今後のスケジュールを組むことにした。
プルプル、プル
ピヨピヨ、ピヨ
プルプルプル、プルプル
ピヨピヨピヨ、ピヨピヨ
プル、プルプルプル
ピヨ、ピヨピヨピヨ
ブルーの上にピナが乗って何か楽しそうにしている。
リーフィアがこっそり教えてくれたけど、どうやらブルーがピナに戦い方を伝授しているらしい。
可愛い妹ができてブルーが張り切っているとか。
本当ならブルーたちのLv上げを中心に行いたいけど、この感じだとピナのLv上げも行った方が良い感じかな?
学年別個人トーナメントが終わってからじゃダメかな?
まあ、でもいっか。今更Lv上げを頑張っても大差ないだろうし。
まだ生まれたばかりだし、もしダンジョンに挑戦するなら『嘆きの墓地』になるかな。
本当なら『ゴブリンの集落』とかがいいけど、あそこはGランク専用ダンジョンだから俺は使えない。
ちょっと難易度が高そうな気もするけど、ピナのLv上げはしばらく『嘆きの墓地』かな。
今すぐに行くかは別にして。
今日は時間が時間だし、Lv上げは明日からにするけど、この後何をするかだけ決まっていない。
どうしようなと考えていたら誰かからメッセージが送られてきた。
送り主はウィリアムくんみたい。
この後時間あるなら一緒に夕飯でもどう?
ご飯のお誘いか。
そういえばしばらく日本にいるって言ってたな。
特に予定も無いし、せっかくのお誘いだし、行くか。
えっと場所は北区にある古式な焼肉屋さんだ。
ここ気になってたけど、まだ行ったことのないお店だ。
しかもウィリアムくんはちゃっかり個室を予約してるみたい。
「ごめん、遅くなった」
「気にしなくていいよ。急に誘った僕も悪いし。さ、中入ろ」
「いらっしゃいませ!ご予約はされていますか?」
「はい!予約したウィリアムです」
「お2人様でご予約のウィリアム様ですね!お待ちしておりました!お席まで案内しますね」
「ありがとうございます!」
俺とウィリアムくんは店員さんの後に着いていき、案内された個室に入った。
メニューはタブレットで確認できて、注文もタブレットで全て行うみたい。
外見はかなり古式なお店だけど、割とハイテク要素も取り入れてる。
「ウィリアムくんはどうして今日、俺を誘ったの?」
「ん?蓮には聞きたいことあったからね。打ち合げじゃ全然聞けなかったし。それにもうすぐ
俺に聞きたいこと?何だろうな?
「今度の
「!!」
勝つ、つまり優勝ってことだよね。
なるほど、だから今日あのタイミングで誘って来たのか。
予選が終わって郁斗たちと別れているであろうタイミング。
そのタイミングじゃなきゃ、郁斗たちも着いて来る可能性があるけど、何で俺にそれを聞くんだろう?
「ああ、何で僕が蓮にそんなこと聞くの?って顔してるね!蜆景虎、知ってる?」
「うん。郁斗たちから今日聞いた。ダークホースの1人だって」
「お!てことは他の3人も聞いてるよね。えっと、確か名前は葵美夏萌、青天目朔夜、星宮聡龍だったかな。……強いよ、少なくとも蜆景虎は」
あのウィリアムくんにそこまで言わせるのか。
やっぱりあの4人は要警戒だな。
「ああ、ごめんごめん。こんな話する為に呼んだ訳じゃないんだ。僕の気の所為かもしれないけど、ブルーちゃんと戦えるの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます