第10章 学年別個人トーナメント
第155話 妹が生まれる
リベリオンとのギルドバトルを終えて少し月日が流れた。
合同打ち上げでは、いろいろと話ができてよかった。
連絡先も交換できたし、いつでも連絡ができる。する用事があるかは別として。
俺の中で最も謎なブルーの種族名に関しては誰もが前例を知らないらしく、聞いてもわからなかった。
何だろうな、○○ー○スライムって。
今日は待ちに待った
事前に市川先生から鬼姫の4人はシード枠で予選免除で本戦からの出場、準決勝まで当たらないようにトーナメントも組まれる。
俺たちだけこんな特別扱いでいいのかな?とも思ったけど、予選で俺たちと当たって負ける生徒が可哀想とか、鬼姫のメンバーはハンデを背負っているとはいえ、予選敗退は外聞が悪いから負けるにしてもせめて本戦1回戦にしてほしいとか。
それならハンデを無くしてほしいけど、それはまた別問題に発展して話は堂々巡りになるだけ。こればかりは仕方ないか。
リベリオンのみんなもわざわざ
風の噂では誰が優勝するか賭けてるとか。
予選は学園の敷地内の至る所で行われていて、形式としては新入生代表トーナメントに近い。
一つ違うところがあるとすれば、一度負けたら即終了というところだ。
新入生代表トーナメントの予選は2回負けたら終了だったからそこは厳しくなっている。
学園の広報面での力の入れようからもわかることだけど、実力ある生徒を本戦で競わせて知名度アップを狙っている側面もある。
俺は予選が免除されてるから郁斗たちと一緒に予選の生配信を見ることにした。
郁斗が言うには視聴者数が多いバトルほどレベルが高く、白熱してる可能性が高い。
人海戦術でそれを探して本戦に向けて対策を立てようってことみたい。
俺らはギルドバトルでほとんど手の内を晒してる訳だし、このくらいしても許されるよね。
うーん、どこもやっぱり予選1回戦となると強い人はあっさりと勝ってるな。
全然、手の内見せてくれないや。
もうちょっと予選も終盤に差し掛らないとダメかな。
「うー、どれもこれもレベル低い!もう予選の終わりの方だけ見よ!疲れた」
「そうだな、莉菜に賛成」
「私もちょっと疲れました」
「うん、みんな疲れてるみたいだし、予選終盤まで休もうか」
予選が終盤に差し掛かるのはだいたい午後4時半とかかな。
今は3時半だからあと1時間くらいあるか。
何して時間を潰そう?
プル、プル、プル
あ、今予選が行われてるから学園中にARフィールドが展開されてるんだった。
あれ?でも、ブルーってモンスターの卵の面倒を見てなかったっけ?
何でここでプルプルしてるのかな。
そしたら案の定モンスターの卵をリーフィアとラグニアに託して俺のとこに来ていた。
さてと、ブルーをしっかりと抱えてリーフィアとラグニアのとこまで行きますか。
俺の腕の中でプルプルする癖は相変わらず直らない。
「ブルー、しっかりとモンスターの卵の面倒見なきゃダメだよ!」
プル!プル、プルプル
「ブルー、主を困らせてはいけません」
ブルーのプルプル抗議も虚しくリーフィアの前に散った。
それからホントに少ししてモンスターの卵が少し動いた気がした。
最初は気のせいかなとも思ったけど、徐々にそうじゃないとわかった。
そして、遂に卵が孵った。
約半年ほどかけてブルーが面倒?を見ていた卵がようやく孵る。
全体に亀裂が迸り、ピキッと音がする。
そして卵の中からモンスターが出てきた。
小さくて丸くて黄色いモンスター。
ブルーの時と同じで全く心当たりがない。
それもその筈。丸く見えているのは純粋に生まれたばかりで丸まっているから。
徐々にモンスターの全体像が見え始めるとどうやってこの状況を把握したのかわからないが、休んでいた筈の郁斗たちが集まっていた。
「小さくて黄色いわね」
「どんなモンスターでしょう?」
「蓮のことだから想像の遥か上をいくとみた!」
なんか後ろで言いたい放題言ってる。
でも、郁斗の言うことあながち間違えじゃかいかも。
もうこの時点で俺の想像の遥か上をいってるよ。
「「「「え?」」」
生まれてきたこのモンスターを俺はよく知っている。
まだ
ステラさんの話を聞いて少し安心してたけど、まさかこうなるとは。
スライムじゃなかったし、そこは喜ぶべきかな。
さすがにスライムはブルーだけでいいしね。
プル!プルプルプル!プルプル
あ、ブルーが気に入ったみたい。
すごく可愛がってる。
このモンスターも生まれたばかりだけど、すぐに状況に適応してブルーに懐いてる。
「でも、まさかヒヨコが生まれるとは思わなかったよ」
「どうするの、蓮。名前、ブルーみたいに与える?」
「スライムの次はヒヨコですか?良いと思います!」
「俺も賛成!ヒヨコ育成協力するぜ!」
「あはははは」
これ名前を与えないといけない流れかな?
元々、生まれてきたモンスターには名前を与えるつもりだったし、リーフィアとラグニアの了承も得てるけど、どうしような。
プル、プルプル
ピヨ、ピヨピヨ
「うん、決めた。名前を与えるよ。そうだな…。ピナにしよう!」
ピヨ!ピヨピヨ!
ブルーの上で嬉しそうにはしゃいでる。
生まれてすぐのモンスターに名前を与えるとこんな感じなのかな?
「ピナってこの子、女の子なの?」
「はい。女の子で間違いありませんよ」
「へえ、リーフィアが言うなら間違いないな」
「可愛いです」
名前を与えてから正直、俺も莉菜と同じ疑問を持った。
でも、女の子で良かった。
ラグニアは男の子、リーフィアとピナが女の子、ブルーは不明とういかスライムに性別があるのかどうか問題が根本的にある。
聞いてもはぐらかされるからスライムにとって性別は禁忌に触れられるのと同じなのかもしれないからブルーには性別のことは触れないようにしている。
ちなみに今のピナのステータスはと
ピナ(ベビーチック、一般種)Lv1
HP:100
物理攻撃力:6
物理防御力:5
魔法攻撃力:8
魔法防御力:5
素早さ:5
SP:0
スキル:つつくLv1、頑張って羽ばたくLv1、プチウインドLv1、プチファイアLv1、プチヒール
あれ?俺の想像よりも遥かに強い。
ブルーが最初に召喚された時なんて、スキル体当たりしか無かったし、最初から五つもスキルを持ってるのはすごいし、回復魔法が使える!それにステータスも高い!
これって卵から孵した影響かな?
てか、種族名ってヒヨコじゃなくてベビーチックなのね。
生まれたばかりで赤ちゃんだから頭にベビーが付くのかな?
「風、火、光か。これってリーフィア、ブルー、ラグニアがそれぞれ使える属性だよな。何か関係してそうだな」
「あ、確かに。ブルーがメインとはいえ、リーフィアとラグニアも面倒見たからとか」
「これはもしかしてプレイヤーがアイテム頼りでモンスターの卵を孵すのではなく、モンスターに協力してもらったら普通よりも強いモンスターが生まれてくるのでは?」
「あ、そうだ!蓮って確かプロフェッサーのシグマさんの連絡先知ってるわよね?この情報伝えて調べてもらったら?」
ああ、なるほど。確かにそれはあり!
「うん、そうするよ。ありがとう、莉菜」
「どういたしまして」
俺は早速シグマさんにメッセージを送った。
はしゃいでいるピナとブルーをリーフィアとラグニアに任せて。
あとはシグマさんから返事が来るのを待つだけと思っていたら秒で返事が来た。
有益な情報ありがとう!すぐに調査する!とのこと。
その後、間を置かずに以前話したLMBマーケットでモンスターの卵を売ってくれた人のことだけど、プロフェッサーでもどこの誰かなど一切の情報が掴めなかったとメッセージが送られてきた。
*****
いやはや、さすが蓮くん!私が見込んだ男だ!
……それにしてもフランスでうちのギルマスがLMBマーケットを通して蓮くんに接触していたとはな。
しかも別のプレイヤーを使ってモンスターの卵を格安で売ってる上にその後、見た目しか影響を及ぼさないオシャレ装備を直接売ってる。
卵はどう考えてもこれを狙ってのことだよな。オシャレ装備も何かの検証か?
蓮くんに嘘をつくのは心が痛いが、さすがに身内の恥を外部に晒す訳にはいかない。
まさか小汚い
しかも声色も変えるという曲芸付きで。
これを恥と言わずになんと言うか!
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