第99話 ギルドマスター決定!そしてギルドの名は
「2勝1敗の蓮と莉菜がそれぞれギルドマスターとサブマスターは確定ですね」
「あとはどっちがギルドマスターかだな」
これどうやって決めるの?
ギルドマスター決定戦の前からこの可能性を考えていなかった訳じゃないけど、こうなった時にどうやって決めるのか何も決めてないよね。
うーん、俺がギルドマスターにならない道を模索しつつ、莉菜たちが納得できるアイデアを出さないと。
莉菜より先にアイデアを出さないと俺がギルドマスターになる可能性がある。
それだけは避けないと!
「ああ、それね。ちゃんと考えてあるわよ。2勝1敗で並んだ場合、直接対決の結果で決めようと思ってたけど、どう?」
え?直接対決の結果で決める?
つまり、そういうこと?
いや、そんな訳ないよね、さすがに。
「なるほどな!それは名案!俺はそれでいいぞ」
「はい!!私もすごく良いアイデアだと思います!」
え?ねえ、ちょっと待ってよ。誰か嘘だと言って。冗談だと言って。
無理無理無理、絶対に無理!!
何で俺よりもすごいプレイヤーが勢揃いしてるのに!
何で俺みたいなエンジョイ勢が!
俺はみんなと一緒に楽しく遊びたいだけなのに。
なんで……俺なの。
「そういう訳で、蓮、ギルドマスターよろしくね!私がサブマスターとして支えるから」
「蓮と莉菜の直接対決は蓮の勝利だからそうなるか。頑張れよ、蓮!俺も支えるからさ。主に広報は任せろ!」
「蓮、お願いしますね!私も頑張りますから!」
みんなにこう言われたら引き受ける以外の選択肢がないじゃんか。
はあ、しょうがないか。ブルーが張り切って頑張った結果だし。
「わかったよ。俺がギルドマスターになる。でも、ギルド名はみんなで考えてよね」
「それはもちろん、みんなで考えるわよ」
郁斗とオリヴィアも頷いてくれてる。
良かった、1人でギルド名を考えるとかじゃなくて。
「で、どうやってギルド名を決めるんだ?」
「こういうのは有名ギルドを参考にするのはどうですか?」
「有名ギルドか。パッと思い浮かぶのは、ディアボロス、ソフィア海賊団、ファントムシーフ、プロフェッサー。日本だと百鬼夜行かな」
「どれもこれもAランク以上のプレイヤーがギルドマスターの超有名ギルドね。あんまし参考にならなそうだけど」
「確か、日本ではクマさん愛好会というギルドも有名だったと思いますが」
「いや、有名じゃないぞ。実際に俺は今、初めて聞いた」
何でオリヴィアはそんなマイナーギルド知ってるの?
俺は噂程度でそういう愛好家が集まるギルドがあるとは耳にしたことはあるけど、ギルド名までは知らないというか、聞いたことない。
莉菜もそれは絶対に無いって思ってるのか、顔が少し引き攣ってるし。
「あ、でもギルドって言えば、将来有望なプレイヤーを世界中から集めて結成しようとしている人たちがいるって聞いたことあるわね」
「へえー、そんなギルドもあるんだね。知らなかったよ」
「私も初めて聞きました!」
「ああ、それな。俺のとこには勧誘が来たぞ。断ったけど」
「「「え?」」」
「あれ?俺、誰にも話してなかったっけ?」
「うん、聞いてない」
「聞いてないわよ」
「聞いてません」
郁斗が莉菜からのギルド結成の話を保留にした理由ってもしかして。
「その勧誘があった直後に莉菜からのギルド結成の話があってさ。マジで驚いた。はは~」
「断ってよかったの?」
「ん?もちろん問題ない!見ず知らずの他人と一緒にゲームしても楽しくないからな。あ、そういえば、あいつらもギルド結成したって話をこの前聞いたな。確かギルド名はリベリオン」
「リベリオン?あ、rebellionのことですね。確か日本語だと反逆という意味だったと思います」
「随分と物騒なギルド名だね。さすがに自分のギルド名がそれは嫌だな」
「じゃあ、みんなの希望を聞きましょ!こういう感じの名前ってふわっとしてていいから」
みんなのギルド名のふわっとした希望を聞いて、まとめたらこうなった。
俺は中二病って感じがする名前じゃなければオッケー。
莉菜はかっこよくて且つかわいい名前なら。
オリヴィアは日本ぽい名前。
郁斗はシンプルで覚えやすい名前。
みんな見事に分かれる。
これら全てを満たす名前を思いつく気がしない。
どこかで妥協点を見つけないとな。
「この中でオリヴィアの日本ぽい名前から絞るのが無難かな」
「日本ぽい名前って具体的にはオリヴィアは何かある?」
「日本と言えば、妖怪や神社、お寿司に天ぷら…」
「オリヴィア、その辺でストップ。もう大丈夫だ」
「?」
ありがとう、郁斗。オリヴィアを止めてくれて。
妖怪と神社以外、全て食べ物って。
これ以上、危ない方向にいく前に止めてくれたのはホントに助かる。
口に出して言うことはできないけど。
「さすがに神社で絞るのは厳しいかな。妖怪だと百鬼夜行と名前が似ないようにしないとね」
「まあ、露骨に名前を似せなきゃ大丈夫だと思うけどな」
「似てないに越したこと無いわけだし、とりあえずはそこに気をつけて妖怪から絞りましょ」
でも、妖怪で絞るにしても数いるからな。
どの妖怪とか決めないとまともに決まりそうにないかな。
パッと思い浮かぶ妖怪って河童とか天狗かな。
この辺はタッグEトーナメントでバトルしたことも関係してるかな。
でも、河童や天狗から連想されるギルド名か。
しかも中二病って感じがなく、かっこよくて且つかわいくて、シンプルで覚えやすい名前。
いや、無理でしょ。どう考えてもこの条件全てを満たすとか。
うーん、諦めるな俺。ギルドマスターになったんだからちゃんと考えろ!
「お!これいける!」
「郁斗、何か良い名前が思いついたの?」
「もちろんだ。ギルド名問題はこれで解決だ!」
「「「おおお~」」」
「中二病って感じがなく、かっこよくて且つかわいくて、日本ぽく、シンプルで覚えやすい名前。この条件、全てを満たした名前は、“鬼姫”だ」
鬼姫。確かに全ての条件を満たしている気がする。
鬼も妖怪だからオリヴィアの言う日本ぽい名前とも合致する。
「ちょっと、郁斗。それ気づかれないと思った?」
「あ、やっぱりバレた?」
「まあ、私はいいけど、蓮はいいの?」
「うん、俺はこれでいいよ」
「よーし!2人が良いなら後はオリヴィアだけだな」
「私も大丈夫です!」
みんなの賛成を得られると莉菜はすぐにウインドウを開いて、何やら入力を始める。
「ギルド結成に必要な手続きはほとんど終わってるから後はギルドマスターとサブマスターの欄を埋めて、ギルド名を入力すれば完了っと!」
こうしてギルド鬼姫が結成されるが、この時はまだ知らなかった。
鬼姫という名前に隠された本当の意味を。
それを知ったのは3人と別れて家に帰った後だった。
鬼姫の鬼は鬼灯から、姫は姫島から。
つまり、鬼姫というギルド名はギルドマスターとサブマスターの苗字の頭文字を取って作られている。
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