第85話 蓮VS莉菜②
「郁斗はこの勝負どちらが勝つと思いますか?」
「ん?それなら蓮が勝つよ」
「何でですか?」
「タッグEトーナメントの時から確信してる。今の強くなったブルーならエルナに勝てるって。このエース対決を制した方に流れは傾く。だから蓮が勝つ」
「なるほど」
郁斗はタッグEトーナメントの決勝戦まで勝ち進み莉菜&オリヴィアとバトルする事も想定していた。
勝つための必須条件として最低でもコンとカーラの一々交換。
もし、ブルーとエルナが
そう郁斗に思わせるくらいブルーは強くなっていた。
タッグEトーナメントが終わった今は更に強くなっている。
郁斗からすると
バトルはブルーの猛攻を受けたがエルナはプチヒールで何とかHPを全回復できたところ。
やっぱり凌がれたか。
流石にこれでエルナを倒せるとは思ってない。
でもこれで莉菜には二つの選択をが突きつけられている。
守るか攻めるか。
そして莉菜の決断は、
「よし、攻めよう!エルナ、ブルーとの距離を詰めて!」
「!そっちか。望むところだ。ブルー!」
今のまま距離を取った状態で戦ってもお互いに決定打に欠ける。
それに一時的とはいえ、ブルーに優位を取られた。
だからこそ動くなら今しかない。
今回、莉菜は少しでも攻撃が当たるように距離を詰める選択をした。
今まで距離を取って遠距離から一方的に攻撃をすることしかしてこなかったエルナが初めて自らの意思で距離を詰めている。
ある程度、被弾が増えるのは覚悟の上。
倒される前に倒す。
「エルナ、スターフレイムショット」
「躱してプロミネンスアタック」
莉菜の作戦は悪くないけど、一つ見誤っている。
近接戦というほど両モンスターは接近してはいないが、エルナとブルーではこの間合いでの戦闘経験に差があり過ぎる。
エルナの攻撃はほとんどブルーに当たっていない。
リスクを取って距離を詰めたが、若干だが、攻撃の精度が落ちている。
ずっと距離を取って戦い続けてきたことに対する弊害だ。
それに遥か空中から俯瞰して見ていた先ほどまでとは違って、ブルーが常に視界に入っていない。
その為、ブルーの動きに完全に翻弄されている。
スライムは本来、鈍足モンスターだけど。何気にブルーは素早さのステータスが高い。
動きの途中でブルーのプルという挑発紛いのアレが更にエルナから冷静さを奪っている。
「むむむ、ブルー後で覚えておきなさい!!」
プルプル、プル
完全にエルナはブルーにおちょくられている。
スライムが天使をおちょくる。
滅多にどころかまず見ることはできない光景だ。
これってもしかして史上初の快挙?じゃないかな。
「そこ!エルナ、スターバースト!!」
戦っているのはモンスターだけじゃない。
エルナに足りない部分はプレイヤーの莉菜が補っている。
遂にエルナの攻撃はブルーにヒットした。
そしてエルナがすっごくスッキリした顔をしている。
いろんな想いが込められた一撃だったのだろう。
「ブルー、電光迅雷!」
たった一撃で倒されるほどブルーは弱くない。
レッドゴブリン戦でブルーは身をもって学んだ。
回復魔法が使える相手に勝つには使わせなければいい。
エルナを倒すなら速攻しかない。
近接戦を普段しないエルナはこの速さについて来れない。
「エルナ、これで仕留める!ロックオン、シャインランス、フレイムランス」
ブルーが完全に攻撃態勢に入って避けられないタイミングでの攻撃。
なんとエルナはこの高速移動にも対応してみせた。
これは予想外だったが、何一つ問題は無かった。
シャインランスとフレイムランスが当たる直前にブルーはプチヒールを使って自身のHPを回復させていた。
そしてエルナの攻撃はブルーに直撃する。
「ブルー!!!!」
ブルーがプチヒールでHPを回復させていたことを把握できていない莉菜とエルナはブルーを倒したと思い込んでいる。
しかし、ブルーは未だ顕在。
これが意味することは一つ。
持てる力全てを出し切った反撃がエルナに襲いかかる。
『エルナDOWN』
「やっぱ強いな。来て、マリン」
莉菜の2体目は人類種人魚のマリン。
ブルーはプロミネンスアタック以外全ての攻撃スキルがクールタイムに入っている。
早々にブルーが倒されるなんてことになったら流れは一気に莉菜に傾きかねない。
「マリン、
タッグEトーナメントの準決勝の再現か、フィールドが水没する。
海はマリンの領域。
ブルーの分が悪い。
「ブルー、プロミネンスアタック」
ものすごいスピードでブルーに向かってくるマリン。
それをプルっと胸?を張って迎え撃とうとするブルー。
2体のモンスターが激突する直前、ブルーに異変が起きる。
プロミネンスアタックが使えなかった。
クールタイムに入っている訳では無いのにも関わらず、使えなかった。
莉菜がエルナを1体目に選出した理由は蓮がセオリー通りにブルーを2体目に選出していると考え、エルナよりもマリンの方がブルーへの勝率が高いと判断した。
マリンが最初に使った覆海のスキルはフィールドを水没させる効果以外にも火属性スキルの使用に大きく制限をかける。
その為、ブルーは今プロミネンスアタックが使えなかった。
反撃する前提で考えていて、ディバインシールドが頭に入っていなかった分、マリンのアクアダイブをまともにくらう。
「一気にいくわよ!マリン、アクアトルネード」
水中で竜巻が巻き起こり、上手く身動きが取れないブルーを飲み込もうとする。
「ディバインシールド!」
「甘い!マリン、回り込んでアクアカッター!」
アクアトルネードはディバインシールドで防ぐことは成功した。
しかし、水中で颯爽とブルーの背後に回り込んだマリンが放った水の刃は防ぐことができなかった。
エルナ戦でもダメージがまだ残っていたこともあり、この一撃でブルーが倒れる。
『ブルー DOWN』
思ってたよりずっと強い。
ブルーならもう少しどうにかできると思ったけど、あっさりとやられた。
この状況を打開する手を考えないと。
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