第75話 君の名前は

 レッドゴブリンに負けた後、直ぐにポイントを使ってブルーたちを復活させた。

 その後は軽くLv上げをしただけで、リベンジはしなかった。


 ブルーがかなり落ち込んでいる。

 スケルトンナイトに負けた時以上だ。

 なんて声を掛けたらいいのかわからない。

 それにブルーだけじゃない。

 剣士ソードマンやライトウルフもどこかいつもと様子がおかしい。


 夜7時を過ぎた辺りで家に帰ることにした。

 だいたいいつもこのくらいの時間に家に帰っているからだ。

 でも、今日はいつもと違う。

 どうしたらいいんだろう。


 夕食を食べ終えた後、自分の部屋で俺の膝の上で萎れているブルーをなでなでしながら今日あったことを振り返っていた。


 大事なのはレッドゴブリン戦、何で負けたのか。

 エースモンスターのブルーが最初にやられたのは痛かった。

 でも、そこはブルーに頼り過ぎた結果なんじゃないかな。

 いつもいつも強敵と戦う時はブルーを頼ってきた。

 そうじゃない時もあったかもしれないけど、ブルーはいつも困った時に助けてくれた。


 今日、負けた一番の理由はブルーに頼り過ぎたことだと思ってる。

 ブルーにかかる負担を考慮していなかった。

 ブルーは強いと思うけど、ブルーだけで勝てるほどレッドゴブリンは弱くない。

 剣士ソードマンやライトウルフと連携して戦わないと。


 あ!?

 連携、今になって気づいた。

 ブルーが倒された後、剣士ソードマンとライトウルフがレッドゴブリン相手にくらいつけたのは連携して戦ったからじゃ。

 どこか無意識でブルーを連携させずに単独で戦わせていた場面があったかも。


 短い時間だったけど、剣士ソードマンは近接戦でレッドゴブリンと渡り合った。

 もっとその力をブルーが倒される前に活かせていたら結果は大きく変わったかもしれない。

 そもそもブルーは万能型に近いけど、基本は遠距離から魔法を放って攻撃するタイプのモンスターだ。

 そんなブルーに近接戦をメインにさせないといけない状況をまずは改善した方がいい気がする。


 近接戦はあくまで選択肢の一つじゃないとダメだ。

 あの時、遠距離からブルーに攻撃してもらうという選択肢を俺は持っていなかったと思う。

 ブルーを軸にして戦う。そう考えていただけ。


 今、必要なのはブルー本来の力を発揮させられるようにすること。

 ブルーがもっと自由に戦えるようにするには…。


 よし、決めた。


剣士ソードマン、君に名前を与える」


「!?主、よろしいのですか?」


「うん、いろいろ考えた結果、それが良いと思うんだ」


 今日の剣士ソードマンとレッドゴブリンの戦い。

 あれを見たら可能性を感じずにはいられない。

 剣士ソードマンに名前を与えることで更なる成長と進化の可能性を与えたい。


 名前を与えたモンスターは手放せない以上、今すぐにライトウルフには名前を与えるのはできない。

 まあ手放すつもりはないけど、こればかりは慎重にならざるを得ない。

 これから先、最強種の竜とかを仲間にすることもあるかもしれないしね。

 さすがにそんなこと無いとは思うけど。


 で、問題は剣士ソードマンの名前だ。

 剣士ソードマンは女性だからそれっぽい名前を考えないとな。

 まだ何も決めてないんだよな。

 ん?女性…、ブルーってどっちなんだろう?

 そもそもスライムにも性別ってあるのかな?

 今は俺の膝の上で萎れてるし、また今度機会があった時にでも聞くとするか。


 んー、剣士ソードマンの名前。

 剣士ソードマンって日本人ぽい見た目じゃないし、外国人っぽい名前の方がいいかな?


「あ、そうだ。剣士ソードマンは何か名前の希望とかある?」


「ふふ、いえ、特にはありません。主のお好きな名前で」


 一番困るやつ!

 でも、そうだよな。

 名案だと思ったけど、自分の名前を自分で考えるって何か複雑だよな。

 しかもこれから自分で考えた名前で呼ばれる訳だし。


 ブルーの時は割とあっさり決まったのにな。

 こうシンプルで女性らしい名前って無いかな?

 今、俺のネーミングセンスが問われている気がする。


 それから1時間近く悩ん…考えた結果、剣士ソードマンの名前は決まった。


「うん、これに決めた。剣士ソードマン、君の名前はリーフィアだ!」


「リーフィア、ありがとうございます!その名に恥じぬよう頑張ります」


 プルプル、プルプルプルン


 あ、いつの間にか元気になったブルーがお祝い?してる。

 よしよし、なでなで。


「ふふ、ブルーも元気になったようですね。では、主のお膝の上にこれ以上いる意味はありませんね」


 プル、プルプルプル、プル


 ブルーの抵抗?むなしくあっさりと剣士ソードマン…じゃなかった、リーフィアに持ち抱えられた。

 気づいたらライトウルフもいつも通りに戻っていた。

 足を上手く使って自分で毛繕いしてる。


 明日からはLv上げをしよう。

 レッドゴブリンを倒すことさえできればDランクに昇格して、モンスターのLv上限も45まで上昇する。

 そしたらリーフィアやライトウルフのLv40による進化が視野に入る。


 ピコン


 ん?スマホに通知?誰だろう?

 え、シグマさん!?

 何だろう?


 7月22日の月曜日、午後2時に白黒モノクロ学園の貴賓室に来い。

 輝夜がその日時なら大丈夫らしい。


 ………。

 ………。

 ………。

 ん?え?どういうこと?

 あ、そういえばシグマさんが新垣輝夜さんにアポを取るとか言ってたような。

 レッドゴブリンに負けたショックが大き過ぎてすっかり忘れてた。


 ていうか、俺なんかと会ってくれるの!?

 それに場所が白黒モノクロ学園の貴賓室って何で?

 しかも7月22日月曜日って白黒モノクロの終業式の日じゃん!

 この日は確か午前中で全て終わる筈だから時間には余裕で間に合うな。

 いや、そもそも何でこの日に白黒モノクロ学園何だ?

 うーん、もう気にしてたらキリないから考えないようにしよう!!

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