第71話 シグマとの邂逅
「ホブゴブリンガーディアンってどんなモンスター?」
「甲冑を身に纏っていて、全身を覆い隠せるような盾を持っていたよ。武器は斧でとにかくデカい」
「そんなゴブリン聞いたことないわね。プロフェッサーが動いてるし、完全新種のモンスターかしら?」
直接戦った俺からすると新種のモンスターと言われたら少し納得がいく。
ゴブリンとは思えないほどに強かったから。
まあ今日も『ゴブリンパニック』に挑戦するならプロフェッサーの誰かと遭遇するかもしれない。
遭遇したからといって特に何も無いかもしれないけど、頭の片隅には置いておかないと。
学校が終わって俺は再び『ゴブリンパニック』の第二層までやって来た。
今いる場所は昨日、ホブゴブリンガーディアンと戦ったとこ。
今日は昨日みたいなヤバそうな雰囲気はない。
一度倒したら出現しないタイプのモンスターなのかな。
まあ、いないモンスターのことを考えても仕方ないか。
とりあえず、この先にいるであろう第二層のエリアボスと戦おう。
そう思ってエリアボスがいるボス部屋へと足を運んだら先客がいた。
女性のように長い髪を後ろで一本に束ねている。
それに髪の色が真っ白だ。
これだけ特徴のある人だ。
あと少しで思い出せそうなのに…。
パッと見の感じ的にもっと上のダンジョンいてもおかしく無さそうな雰囲気のモンスターを連れている。
明らかにブルーたちとは格が違うとわかる。
もしかして郁斗や莉菜の話にあったプロフェッサーの誰かかな。
「ん?君はもしかして、
どうしたらいいかわからず、様子を見ていたら俺たちに気づいた相手が話しかけてきた。
しかも俺のことを知っているみたいだ。
「そうですけど、あなたは?」
「おっと、これは失礼した。私はシグマ。検証ギルド、プロフェッサーのサブマスターだ」
言われてみたらそうだよ!
この人がプロフェッサーのサブマスターのシグマさんだ。
でもこの人はAランクのプレイヤー。
そんな大物が直接来るだけの何かがこのダンジョンにはあるのか。
「はじめまして、鬼灯蓮です。Aランクプレイヤーでもあるシグマさんが直接調査に乗り出しているんですね」
「そうだな。私たちプロフェッサーは以前、ゴブリンの進化は決まってワンパターンしかなく、最終的にゴブリンキングに至ると公表している。しかしだ!ここにゴブリンに新たな可能性があることを示唆したダンジョンが運営によって新しく用意された。これは私たちの検証結果が間違っていると遠回しに言われているのだよ。だから私が直接調査に来ている」
すごい力説されたけど、話を聞くとなるほどって思うな。
プロフェッサーが公表した情報が間違っている可能性がある訳だ。
こういった検証にやりがいを感じてそれだけに時間を費やしている人たちからすると死活問題だろう。
「それと君のことは蓮くんと呼んでもいいかな?」
「え、あ、はい。大丈夫です」
「では、蓮くん。君には聞きたいことが幾つかある」
え?プロフェッサーのサブマスターであるシグマさんが俺に聞きたいこと?
たかだかEランクの俺に聞きたいって一体…。
「蓮くんの後ろにいる3体のモンスターが君のモンスターかい?」
「そうです。このプルプルしてる赤いスライムがブルー、こっちの人類種のモンスターが
「ほう?この赤いスライムが噂のスライム、ブルーか。なるほど丁寧に育成されているのが伝わってくるな」
プルプルプルン
褒められたからかな、ブルーがすごく嬉しそうだ。
「それに他の2体も興味深いな。
「ありがとうございます!」
あのAランクプレイヤーのシグマさんにここまで言ってもらえるなんて!
普通のEランクプレイヤーにはありえないことだ。
「蓮くん、ブルーについてだが、どうやって魔法適正を得たのか教えてもらってもいいかな?もちろんタダでとは言わない。君の知りたい情報は何でも開示しよう」
ブルーがどうやって魔法適正を得たのか、それを話すだけで何でも知りたい情報を開示してくれる!?
プロフェッサーが一般には公開していない情報は全て買う以外の方法で開示してもらうことはできない筈。
それを開示してくれるってそこまでの価値ある情報ってこと?
「えっと、ゴブリンメイジの合成素材を合成したら魔法適正を得て、プチファイアを取得しました」
「ゴブリンメイジか。ふむふむ…」
プルプルプル、プヨプヨ
ブルーが俺の足元でプルプルとかプヨプヨしてる。
まるで何かを訴えかけているかのよう。
前にも似たようなことがあったような…。
あ、ブルーが
そういえばブルーに合成する時も似たようなことされたような気がする。
「関係あるかはわかりませんが、あの時ゴブリンメイジの合成素材をブルーが選んだというか、ブルーからアピールされて合成したんです」
「ほう!それは貴重な情報だ!なるほど、ブルーが自ら選んだか。最近、プレイヤーではなく、モンスターが自ら合成素材を選んだ方が上手くいくという報告は受けていたが、ここに繋がるか!」
なんか今、すごいことサラッと言ってたような。
流石に気のせいだよね。
「いやあ、失礼した。少し興奮してしまってね。情報の対価はちゃんと支払わないとね。蓮くん、君は何か聞いておきたいことはあるかい?何でも幾つでもいいよ」
「え?一つじゃないんですか?」
「君の将来性への投資も兼ねているからね。面白いモンスター
モンスターたち?
ブルーだけじゃなくて
いや今はそれよりもこんな機会は普通じゃ絶対にない。
この機会を無駄にしちゃダメだ。
ここはシグマさんの言葉に甘えておこう。
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