第65話 タッグEトーナメント準決勝 莉菜&オリヴィア
蓮と郁斗の準決勝と同時刻に莉菜とオリヴィアの準決勝が行われる。
その為、この時はまだ蓮と郁斗は準決勝で敗北はしていない。
「勝って決勝であの2人と戦うおうね、オリヴィア」
「もちろんです!」
『時間になりました。タッグEトーナメント準決勝 姫島莉菜&オリヴィア・ブラウン VS西島
『バトルSTART』
「降臨せよ、エルナ」
「君臨せよ、カーラ」
「目覚めて、ゼクス」
「立ち上がれ、マキナ」
両プレイヤー共にモンスターを召喚する。
莉菜とオリヴィアの相手は機械種のモンスター。
「機械種…。どこまで費やしたかによっては厳しいわね」
「カーラも相性があまりよくありません」
機械種のモンスターは他の幻想種や妖怪種、妖精種、一般種、人類種などとは根本的な部分が違う。
機械種は初期ステータスは一般種の平均程度しかない。
(フレアスライムに進化した時のLv1ブルーと同程度)
初期ステータスはお世辞にも高いとは言えないが、その秘めたるポテンシャルはモンスターの中でも随一。
時間とポイントを惜しまず、育成すれば最強種の竜を超えるポテンシャルを持っている。
その為、西島楓と市森和葉がどれだけの時間とポイントを費やしたのかによっては今のエルナとカーラを上回る力を持っている可能性もある。
それに加えて、機械種にはデバフや状態異常が効かない。
なので、このバトルではカーラはナイトメアが使えない。
「エルナ、スターフレイムショット」
「カーラ、ダークウェーブ、ダークボール」
「ゼクス、エネルギー充填、エネルギーガトリング砲展開」
「マキナ、エネルギー充填、エネルギー狙撃砲展開」
エルナとカーラは空中から攻撃を仕掛ける。
まずは高所から攻撃することでバトルの流れを引き寄せる構えだ。
それに対してゼクスはエネルギーの充填と同時に両腕をガトリング砲に変形させる。
マキナもエネルギーの充填と同時に両腕を巨大な狙撃銃に合体、変形させる。
しかし、その間にエルナとカーラの攻撃が2体に襲い掛かる。
まともに正面から受けてしまった以上、それなりのダメージは負っていると思われたが、ゼクスとマキナのHPは2割ほどしか減っていなかった。
「ゼクス、エルナにガトリングショット!」
「マキナ、エルナにワンショット!」
次は自分たちの番だと言わんばかりにゼクスとマキナによる猛攻撃が始まる。
狙いは両モンスター共にエルナだ。
回復魔法が使えるエルナを先に落としたいということだろう。
それに機械種のモンスターにはデバフや状態異常が効かないので、カーラはそこまで脅威ではないのだろう。
両腕を変形させて作った二つのガトリング砲による激しい銃弾がエルナを襲っている。
縦横無尽に空を飛べることを活かして立体的に動くことで何とか大ダメージは抑えつつ、狙撃の的にならないようにしている。
カーラもこの状況を黙って静観している訳もなく、虎視眈々と狙撃のチャンスを窺っているマキナに向かって突撃する。
マキナが普通の狙撃手ならカーラのこの行動は間違っていない。
あくまでマキナが普通の狙撃手ならの話だが。
「カーラ、ダメ!それ以上は…」
「もう遅いよ。マキナ、今よ!」
オリヴィアは一早く相手の狙いに気づいたが、少し遅かった。
瞬時に自身に突っ込んでくるカーラに向かって狙撃砲を構え直す。
コンマ数秒の猶予も与えず、マキナはカーラを撃ち抜いた。
この一撃だけでカーラのHPは残り2割まで減った。
「嘘でしょ!?これで倒れないの?さすが悪魔ね。でももう一発は防げないでしょ。マキナ、エネルギー解放、ワンショット」
「まずい。エルナ、カーラにプチヒール」
ここで止めを刺すべく、マキナはエネルギー解放を行う。
エネルギー解放は直前に使ったスキルをクールタイムを無視して使用することができるようにするスキル。
マキナが直前に使ったのはワンショット。
本来なら高威力と引き換えにクールタイムが長いスキルだが、エネルギー解放でそのデメリットが消えた。
そして狙い澄まして再びカーラを打ち抜いた。
ほんの僅かだけど、マキナの狙撃がカーラに当たるよりもエルナのプチヒールによる回復が早かった。
これでカーラのHPは全回復した。
その後にマキナの狙撃がカーラに再び直撃。
「ゼクス!」
狙撃されたことで体勢が崩れたカーラはゼクスのガトリング砲による更なる追撃を回避できなかった。
ここまでの集中砲火を浴びたらさすがに耐えることはできない。
『カーラ DOWN』
「エルナ、ゼクスにプチシャイン、シャインランス、プチファイア、ファイアボール、フレイムランス、スターバースト!」
ここで莉菜は気づいた。
出し惜しみしてる場合じゃないと。
スターバーストは今のエルナが放てる最強の攻撃スキル。
その威力は45とEランクではこれ以上ないくらいに高い。
スキルLvも7と取得してからずっとスターバーストを使い続けてここまで上げている。
カーラに止めを刺すべく攻撃した為、そこに隙が生まれていた。
今のガトリング砲を展開したゼクスはそれによる攻撃を軸としている固定砲台の側面が強い。
そのせいで動きが重く、鈍くなっている。
そこを的確に狙われた。
『ゼクス DOWN』
これで両者共に残るモンスターは1体のみ。
これで状況は五分と莉菜は思っていたが、実際は違う。
エルナはゼクスを仕留めるのに全ての攻撃スキルを使い果たした。
では、マキナはどうか。
莉菜はマキナの攻撃スキルも全てクールタイムに突入していると判断して、先にゼクスを全力で落とすと決断した。
しかし、実際にマキナはワンショット以外にも狙撃スキルを持っていた。
これが意味することは一つだけ。
「見誤ったね。マキナ、バーストショット!」
『エルナ DOWN』
「えっ、嘘…。まだ使える攻撃スキルがあったの…」
「エネルギー解放は直前に使用したスキルのクールタイムを無視して一度だけ使える。だから敢えてバーストショットを隠してエネルギー解放からのワンショットで仕留めたの。相手にワンショット以外の攻撃スキルがないと思わせる為に」
莉菜が勘違いしてしまったのも無理はない。
機械種のモンスターは特に攻撃スキルに乏しいモンスターだ。
プレイヤーランクを上げて、上限Lvを引き上げて、進化させてと強くするのにとにかく時間とポイントがかかる。
Eランクなら機械種のモンスターは攻撃スキルをそこまで取得できていない。
現にゼクスはガトリングショット以外の攻撃スキルがない。
でも、マキナだけはワンショット以外にもバーストショットを取得していた。
市森和葉はそれがバトルの切り札になると考えて、時間とポイントを費やして取得させていたのだ。
これで
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