第47話 あれ?思ったより強…

 フェーズ12でハイウルフのとバトルを終えて、フェーズ13ではロックゴーレム、フェーズ14ではエルダーロックゴーレムとバトルした。

 ロックゴーレムとエルダーロックゴーレムは相変わらず魔法攻撃に弱く、今までで一番楽に勝てた。

 次のフェーズ15で勝てば、セーブできる。

 フェーズ15で今日は時間的にも終わりかな。


『フェーズ15 ゴブリンキングとのバトルを始めます』


 凄い威圧感だ。

 少し前に行われた新入生代表トーナメントの予選でバトルしたゴブリンキングとは違う。

 根本的に同じ種族なのか疑いたくなるレベルだ。

 いや、俺たちだって強くなってるんだ。

 何も怖気付くことはない。


 ゴブゥゥゥ――――――――――!!


「ブルー、迅雷の一撃」


 ブルーは高速でゴブリンキングの左側に回り込み、突撃する。

 ゴブリンキングは右手に大斧を持っている。

 その為、何も装備していない左側に隙がある。

 しかし、思っていたよりもゴブリンキングは強化されているみたいだ。

 左手一本でブルーを受け止めた。

 そして、大斧でブルーを切り裂く。


「ブルー!!」


 ブルーは切り裂かれてもお構いなしに鳴神で反撃するが、それすらも正面から受け止められてしまう。

 一先ず距離を取って落ち着こうとしたが、ゴブリンキングはそれを許さなかった。

 距離を取ることに成功したかのように見えたが、一瞬でその距離を詰められて手痛い攻撃をくらってしまう。

 ブルーがプルンプルンとまた吹き飛ばされた。

 ブルーのHPだけを見ればまだ4割近く残っている。

 まだ回復はしなくても戦えるけど、ハイウルフ戦以来となる素早さが上の相手とのバトル。

 今こそ成長した姿を見せる時だ、ブルー!


 ゴブリンキングは回復魔法が使えない筈のモンスターだ。

 ブルーの攻撃を受け止め続けるのには限界がある。

 正面から攻撃を受け止めてくれる内はありがたく攻撃させてもらおう。


(蓮はゴブリンキングが短気のスキル持ちだと知りません)


「ブルー、プチサンダー、ファイアボール、プロミネンス、フレイムフォース」


 まずはクールタイムに突入していないスキルを使って攻撃。

 ブルーの攻撃を何の躊躇いもなく、受け止めながら突き進んでくる。

 ブルーは遠距離から魔法を放つだけしかできない訳ではない。

 再び距離を詰めて攻撃をしようと右手に持つ大斧を振りかぶったゴブリンキングに対してプロミネンスアタックをくらわせた。

 しかもゴブリンキングの無防備なお腹に直撃し、1、2メートルくらいだが後退した。

 ゴブリンキングの攻撃は大振りが多い。

 カウンター狙いで待ち構えていれば、対処は容易だ。

 逆にこちらから攻めると手痛い反撃をもらうことが多い。

 かなりタフなモンスターだ。

 本当ならここは更なる追撃を試みたいが、スキルが全てクールタイムに突入している。

 ここは距離を取ってクールタイムが明けるまでの時間を稼ごう。


 ゴブゥゥゥ――――――――――!!


 ブルーにしてやられてかなり怒ってるな。

 ゴブリンキングって短気なのかな?

 まあ、怒ることで攻撃が単調になって躱し易くなったからいいけど。

 それからは全てのスキルのクールタイムが明けるまで、ゴブリンキングの攻撃を躱し続けた。

 ここは敢えて、全てのスキルのクールタイムが明けるまで待った。

 もしかしたらゴブリンキングも魔法が使えるように強化されているかもしれない。

 あの時は思い付かなったけど、ハイウルフみたいな無属性魔法ならマジックシールドで容易に防げる。

 警戒し過ぎるに越したことはない。

 ハイウルフ戦でそれを嫌というほど学んだ。

 きっとまだ何かしらの手の内を隠している筈だ。


 先ほどから防戦一方に見えるこのバトル。

 ゴブリンキングの意識が確実に攻撃に寄っていた。

 回避に徹しながらこの時を待っていたんだ。


「ブルー、フレイムフォース、迅雷の一撃」


 まずはブルーを起点とした全方位攻撃できるフレイムフォースで確実にゴブリンキングに攻撃を当てる。

 急にブルーを起点として激しい炎が噴出されて、何が何だかわかっていない様子。

 そこを雷を纏ったブルーが高速で背後に回り、攻撃を浴びせる。

 突如として正面にいた筈のブルーが背後から攻撃してきた。

 ゴブリンキングは戸惑いと同時に重心が前に傾いていたから前のめりに倒れる。

 そこをすかさずブルーに追撃させる。


「プロミネンスアタック、プロミネンス、ファイアボール、鳴神、プチサンダー」


 一連の攻撃でゴブリンキングのHPは1割を下回った。

 後、一回でも攻撃を当てれば勝てるところまできた。

 それにしても序盤よりもダメージ量が増えている気がする。

 気のせいかな。

 まあ、今気にしてもしょうがないか。


 今すぐにでもトドメを刺したいところだけど、スキルが全てクールタイムに突入している。

 やっぱりこういうところがブルーの難儀なところだな。

 ゴブリンキングは前のめりに倒れていて隙だらけ。

 なのに、これ以上の攻撃ができない。

 ブルー以外のモンスターを召喚できない以上、こればかりはしょうがないと割り切るしかない。


 その後は特に問題は起きず、迅雷の一撃のクールタイムが明けたタイミングで攻撃し、ゴブリンキングを倒した。


『フェーズ15 勝利を確認。 ここでセーブしますか? はい いいえ』


「あれ?思ったより強くなかった…」


 最初はかなり強化されていて、手強そうだと思ったんだけどな。

 そんな風に思えるくらいにブルーが強くなったってことかな。

 とりあえず、今日はここでセーブしよう。

 続きは明日だな。

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