硝子色の瞳

三毛栗

硝子色の君


 君の瞳は、いつも綺麗。


 君が見てきた全てが、君の瞳に映っているから。


 何気ない、日常の風景。


 美しい、在りし日の空の色。


 訪れた、様々な街並みや自然。


 美味しい食べ物。


 今までに会ってきた人々の優しさ。


 全部が全部、君の硝子色の瞳に映っている。


 だから、君の硝子色の瞳はいつだって綺麗なんだ。


 いつだって、透き通っているんだ。


 そしてそれは、君の生き方が。


 周りの環境が、全部。


 美しかった証だから。


 僕は、君のその硝子色の瞳が。


 硝子色の世界に居る君が。


 どうしようもなく好きで、どうしようもなく眩しくて、どうしようもなく羨ましいんだ。


 そして、そんな君の世界に。


 その、硝子色の瞳に。


 僕は入れない、映り込めない。


 僕は、汚れているから。


 完璧な君の綺麗な世界に、淀みが生まれてしまうから。


 君に羨望の眼差しを向け、あまつさえ嫉妬する。


 そんな僕は、いらないから。


 でも、もし、僕がいつか。


 純粋に好意を持ち憧れる、子供のような想いを持てたなら、君は振り向いてくれるかい?


 僕を、ちゃんと見てくれるかい?


 …お願いだよ。


 目の前に居るんだよ。


 僕を、見てくれよ…。


 


 


 

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