#43 魔法研究のパートナー?

 ダンジョンを攻略した数日後。

 リバース村の保存庫(氷魔法をかけてある)にステゴボアーの肉を備蓄した後で、再びシュプレナードに戻ってきている。


 今回は、シェリが同行してくれている。

 どうやら久しぶりに、世話になった酒場の人たちに挨拶をしたいそうだ。


 俺は例によってギルドへ行き、ジョブやスキルの編集をしようとしていたので、女性は退屈だろうと思い別行動を提案したのだが「久しぶりに一緒なんだもん、ちょっとぐらい二人でいよう?」と上目遣いに言われてしまった。


 つい「お、おぉぅ……」と思わず応えてしまっていた。

 なんちゅー破壊力だ、シェリ・インダストリアのえくぼスマイル。

 ゆるっとしたサイジングの服であったため、たわわな谷間もチラ見してたから理性がぶっ壊れるところだったぜ……!


「じゃ、じゃあ相も変わらずギルドに行くけど、いいかい?」

「うん。アタシも職業適性とか、見てもらおうっと」


 俺がかき乱された心を隠すように言うと、ふわっと微笑んで、軽い足取りで歩き出すシェリ。麻のロングスカートがふわりと舞う。


「さ、早く行こ?」

「お、おぉぅ……」


 振り返り、小首をかしげる仕草が様になりすぎている。

 これはもうチャーミングが過ぎるな……。


◇◇◇


「はい、次の方どうぞー」

「はーい」


 俺の前に並んでいたシェリが呼ばれ、ギルドのカウンターに進む。

 続けて俺も呼ばれたので、隣同士で受付対応をしてもらう。


「シェリ・インダストリアさん。えー、今の職業は『秘書』ですね」

「はい。隣の彼の秘書です」

「あー、レオンさんですね。よくいらっしゃいます」

「ね。やっと連れてきてもらえたんです」

「…………」


 と、世間話をするようなノリで、シェリと受付嬢がかしましく話し出す。

 なんでしょうか、この気まずさ。

 なにかの外堀を埋められている感覚……? わからんけども。


「あ、レオンさん三つ目の職業が空いているみたいですね。なんのジョブに就きますか?」


 受付嬢さんが気付き、俺の方を向く。

 そう、今日になって気づいたのだが、職業枠が一つ空いていたのだ。

『猟師』と『魔導士』が合わさった上位職と言える『魔法狩猟師』になることができたので、職業枠が一つ余ったのだった。


『魔族殺し』と『魔法狩猟師』、この二つに加え、どんな職業に就くのが今のベストだろうか?


 ――考えるまでもなく、腹は決まっていた。


「それじゃあ、『ジャンパー』でお願いします」


 というわけで。

 俺は『ジャンパー』になってみることにしたのだった。


 これを選んだ理由は、ルルリラとダンジョンから戻る際、ステゴボアーの素材の運搬が大変だと感じたことに起因する。

 このジャンパーという職業は、言うなれば移動石がなくても、空間魔法を使って色々な場所に飛んでいけるというジョブなのだ。


 そう、空間をジャンプできるから『ジャンパー』。


 あんまり関係ないかもだけど、昔そういう映画があった気がする。俳優さんがイケメンで憧れたっけなぁ。

 もしかしたらLOQのスタッフも、それをモデルにしてこの職業を設定したのかもしれないな。


 俺はぜひとも、この職業で空間魔法を鍛えてみたいと考えていた。


 ステゴボアーの肉を運搬する際、転移魔法が使えたらなぁと考えた俺は、ジャンパーになればその道が開けるのではないかと思考したのだった。


「それでは、シェリさんは『魔導秘書』となります」「はーい」

「なぬ!?」


 と。

 隣でシェリが軽い調子で魔導秘書となっていた。


 え? なにそれめっちゃ強そうなんですけど?


「え……シェリ、なんですかその、強そうな職業……?」

「えへん、強そうでしょ?」


 俺が思わずシェリの方へと顔を向けると、彼女は茶目っ気たっぷりに言ってその胸を張る。


 うん、素敵極まりないたわわです。


「アタシが『魔導秘書』になったらさ、今よりもっとレオンの役に立てるでしょ?」

「お、おぉぅ……」


 今度は真剣な眼差しで俺を見つめて、こちらをおもんぱかるように言うシェリ。

 あー……これはおっさんですら、勘違いしてしまいそうです。


「レオンが忙しくしている間、アタシもアリアナに頼んで魔法の習得と研究、してたんだよ? 役に立ちたいと思って」

「そ、そうだったのか」


 どうやら我が魔法の師匠アリアナは、シェリのこともバシバシに鍛え上げていたらしい。

 ビーンズの生産も迅速に達成して、秘書にまで魔法を教えてくれていたなんて。

 有能すぎるぞ、アリアナ・イリーアム!


「アリアナから聞いてるよ。今レオン、魔法をたくさん特訓してるんでしょ? アタシもアリアナに師事して、補助魔法とかの勉強をしているから絶対に役に立てると思うの」

「シェリも有能すぎるよ……」


 続けて語られる事実に、俺はもう脱帽する。

 自分でスカウトしておいてなんだけど、すごい女性が集まってくれたものである。


「まずは一緒に魔法の研究、がんばろうね」

「お、おぉぅ……」

「これからもっともっと力をつけて、レオンのこと支えるからよろしくね」

「お、おぉぅ……」


 俺を下から覗き込むように、えくぼを作って笑うシェリ。

 いちいちたわわが揺れているぜ……!


 というわけで、俺とシェリは秘書と雇用主、という関係だけでなく、魔法を一緒に研究するパートナーにもなったのだった。


 いちいち魅力的すぎて、魔法のことに集中できる気がしないんですが、大丈夫でしょうか?



:【体力】が上昇しました

:【魔力】がに上昇しました

:【筋力】が上昇しました

:【知力】が上昇しました

:【精神力】が上昇しました

:【運】が上昇しました

:【上位:魔導秘書】の職業素養を獲得しました

:【ギルド通い】の職業素養を獲得しました

:【ジャンパー】になりました

:【ジャンパーのアクションスキル『ジャンプ』】を獲得しました

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貴重なお時間をこの作品に使ってくださり、ありがとうございます。

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