#41 ダンジョンボス、圧倒!
「あれがこのダンジョンのボスか……デカいな」
特訓として訪れた、ユニークダンジョンの最奥。
夜目の視界の中にうっすらと浮かび上がる、四足歩行の巨体。ぱっと見で目立つのは、背中にあるステゴサウルス的なトサカだ。ただ頭と身体は、どう見てもイノシシ。下アゴから伸びる大きな牙も、イノシシ的な特徴と言えた。
うーん、あえて名前を付けるならば……ステゴボアー?
ユニークダンジョンはランダムに精製され、ボスも既存の魔物を組み合わせたオリジナルがその都度発生するとされていたため、ヤツの情報はあまりない。
すでに最奥のため明かりはほとんどなく、暗闇だけが周囲を支配している。ボスがいるからなのか、他の魔物もおらず、不気味なほど静かだ。
一番の問題は視界が悪いという点だが、なにかしらのスキルが発現したのか、ダンジョンに入ったばかりの頃よりむしろ見え方は良くなっている気がした。
「またこりゃ、ウチは攻撃ではあんまり貢献できなさそうだ」
ボスの姿を確認したらしいルルリラが、隣でボソッと言った。どこか申し訳なさそうに、頭をポリポリと掻いている。
「いや、ここまでルルリラが索敵とかトラップ回避してくれたからこそ、何の危険もなく来れたんだ。本当にめちゃくちゃありがたかった。ここでは俺が、存分に暴れてくるさ」
これには一切の嘘偽りなく、本当にルルリラのおかげだった。
「へへ……そう言ってくれるんなら、よかったけどさ。そんじゃ、ウチは周囲を警戒しておくから、存分にやりあってきな」
「ああ、ありがとう」
笑みを浮かべてくれたルルリラにつられて、俺も口角を上げる。
相手はかなりの巨体を誇る魔物だが、負けてやるつもりはない。
いやむしろ――圧倒してやる。
「いってくる!」「ういっす!」
言ってから、俺は岩陰から飛び出した。
ボスの正面へ突っ込んでいく。
「ブォォ!」
突進する俺を外敵と見なしたらしいステゴボアーは、獰猛な唸り声をあげ、顔をこちらに向けて鋭利な牙を怒らせた。
よし、そっちがその気なら、このまま正面から行くか。
「『アイシクルスロー』!」
「ブォ!」
ヤツの正面を疾駆しながら、アイシクルスローを連射する。
が、外皮が固いのか、ほとんどダメージを受けていないように見えた。
やるな!
「ブォォ!」
「突っ込んでくるか……『フリージングウォール』!」
俺はオークを倒した要領で、突進してくるステゴボアーの正面に氷の壁を出現させた。
が。
「ブモォォ!!」
「突き破るか!」
分厚い氷の壁をいとも簡単に突破し、ヤツは猛然と俺を狙ってきた。
思った以上の強さだ。
「だけど――今の俺の敵じゃないな」
突っ込んできた巨大イノシシの牙を、ケルベロスウェポンで受け止める。
とんでもない質量が腕を通してのしかかってくるが、片手で支えられないほどではない。
そして、もう片方の手をヤツの足元へ向ける。
「『アイシクルストーム』!!」
「ブォォ!?」
ステゴボアーの足元から、幾重にも尖った氷柱が突き出す。それらがヤツの四肢を刺し貫き、その動きを封じる。
よし、集中力を高めて放てば、しっかりヤツの外皮を貫通できる!
「ブォ、ブモォォ!!」
最後のあがきと言わんばかりに、全身を揺らすように暴れ出すステゴボアー。しかし俺が作り出した氷柱は容赦がなく、突き刺さった個所からヤツの身体を氷結させていく。
氷柱自体にかなりの魔力を込めているため、このような二次攻撃ができる。この技術は当然、魔法の師匠であるアリアナから授けられたものだ。
今の俺の強さは、一人で作られたものじゃない。
だからこそ――そう簡単に、負けやしないのだ。
「悪いが、終わりだ」
「ブ、ブモォォ!?」
俺はケルベロスウェポンを両手で握り直し、思い切り力を溜め込む。
そして。
「おりゃぁぁ!!」
「ブォォ――――」
下から上へ、アッパーのように切り上げた。
大きなステゴボアーの身体は、一瞬で細切れとなった。
:【体力】が上昇しました
:【魔力】が大幅に上昇しました
:【筋力】が上昇しました
:【知力】が上昇しました
:【精神力】が上昇しました
:【魔族殺し】の職業熟練度が上昇しました
:【魔法狩猟師】の職業熟練度が大幅に上昇しました
:【一般パッシブスキル『武器両手持ち』】を獲得しました
:【一般パッシブスキル『正面衝突』】を獲得しました
:【魔法狩猟師のパッシブスキル『魔法威力増加』】を獲得しました
:【魔法狩猟師のパッシブスキル『魔法効果持続』】を獲得しました
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