くっつかない ふたり KAC20248

うり北 うりこ

第1話


「めがねは萌える派? 萌えない派?」

「はぁっ!?」

 

「だから、めがね女子ってどう思う?」

「どうって聞かれても……」

「好き?」

「……似合ってたら可愛いんじゃないか?」

 

 そう答えた瞬間、目の前で急降下していくテンションになぜこうなった? と心のなかで首を傾げる。

 

「ユズハは目がいいだろ?」

「だからだよ!!」

 

 そう言って、じっと俺を見ながら前のめりになる幼馴染み。必死な姿が可愛く見えるのは、たぶん気のせい。

 

「めがねをかけたいなら、すればいいだろ? だて眼鏡だってあるわけだし」

「……それは私の流儀に反するのよ。めがねは目が悪い人の特権」

「いやいや。ブルーカットめがねとかあるだろ」

「!!??」

 

 あー。気付かなかったのか。

 それにしても、何で急にめがね萌えとか言い出したんだ? 

 

「めがねが欲しいのか?」

「違う」

「なら、どうして──」

「りっくんが、琴南さんがめがねかけてるのを見て似合うって言ったんじゃん!!!!」

「……俺が?」

 

 全く記憶にない。そもそも琴南さんは元々めがね女子。今更、めがねが似合うと伝えないだろ。

 

「ユズハの勘違いじゃないか?」

「そんなことない!! 嬉しそうな顔で琴南さんに似合うって言ってた!!」

 

 俺が? 嬉しそうな顔で?

 めったに話さないクラスの女子に似合うとか言うわけ──。

 

「ほろ、その顔! 思い出したんでしょ!!」

 

 うん、思い出した。

 でも、それはお前の話だよ。

 

「その時、スマホ見てなかったか?」

「えっ? 分かんないけど」

「確かにユズハの言うとおり、似合うと思うって言った。でも、スマホの画像の話だ。そんで、琴南さんに意見を求めた」

「えっ? えっ!? どういうこと!!??」

 

 まったく人騒がせなやつだ。

 それは、ユズハへの誕生日プレゼントだっつーの。

 

「答え合わせは来週だな」

「ちょっ!! どういうこと!!??」

 

 パタパタとユズハが追いかけてくる。

 

 そんな俺たちを見て、さっさとくっつけよ……とクラスの心が一つになっていた……らしい。

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