「この計画は、この５人で協力して実行しないと意味がないの。でも成功させれば、婚約破棄を告げた男とキッカケになった女にやり返すことが出来る」

　かなり前から考え、練っていた計画。今いる王国から、別の国へ移る。婚約を破棄して捨てられたのだから、私たちも国を捨てる。別の国へ行って、そこで新たな暮らし方を模索する。そんな計画を皆に披露した。

「へぇ、面白そうね」

「生まれた国を捨てる、って……。そこまでやる必要、あるの？」

　前から考えていた計画を、彼女たちに披露した。話を聞いて興味津々のリゼットと、不安そうなフローラ。

「クロヴィスさまのことを忘れるためなら、それもいいかも……」

「新たな国での生活か。興味深いな」

　ちょっとだけ前向きになる涙目のマリンに、移住に対してポジティブな感想を抱くルシール。

　彼女たちを巻き込んで計画を遂行する。そのために、入念な打ち合わせを行った。最終的にはみんなも納得して、この計画に乗ってくれることになった。

　計画は、なるべく早く実行する。そして、タイミングを合わせて一斉に動く。ここに集まった女性たちの実家は、王国で大きな影響力を持つ貴族だ。私たちが王国から離れることで、王国も大きく変化する。各方面に影響を与える。良くなるのか、悪くなるのか。それは、わからない。

　きっと、王国にとっては都合が悪いだろう。私は、そう予想している。その時に、元婚約相手とヒロインの女はどうするのか。それが見ものだ。

　両親を説得して、別の国へ移ることを認めさせる。なるべくなら、実家と一緒に他国へ移る。無理そうなら、自分たちだけでも。この王国に残っていても、都合よく利用されるだけ。ヒロインの女と、攻略された男たちの様子を嫌でも見続けることにもなる。

　それならいっそ、遠く離れた別の国へ逃げた方が良い。そこで、新たなパートナーと出会えたら最高かしら。

「それで、私たちが向かう国は？　もう決めているの？」

「えぇ。向こうの国に協力者がいるから、その国へ逃げる予定よ」

　リゼットの質問に答えながら、協力者から預かった書類を懐から取り出して皆に見せた。

「私たちが向かう予定の国は、アラムドラム帝国」

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