【KAC20248】めがね
@nonameyetnow
めがね
別に、色眼鏡で見られる事には慣れている。
みんなと同じように普通の道を一生懸命歩こうとしていたのに、気付けば踏み外して、落っこちて。王道からはずいぶん外れた場所に行き着いてしまったのだから、色眼鏡で見られたって、まあ、仕方ない。
道を外れたのはいつからだろう。
小学生? いや、保育園の頃だったかもしれない。
みんなと同じ事が出来なかった。
座りましょうと言われれば立ち上がり、並べと言われれば列を外れ、立てといわれれば寝転んだ。
どうして? と聞かれると困るのだけど、やりたくなかったのだから仕方ない。みんな一斉に先生の言う事を聞いているのが気持ち悪かった。思考を停止して命令に従う姿が、人間じゃなくなったように感じられていたのかもしれない。
あの佐々木さん。
私には「あの」という形容詞がつく。あの、風変わりで輪を乱し協調性がなく自分勝手で何を考えているか判らない、佐々木さん。関わりたくない佐々木さん。同じグループに居て欲しくない佐々木さん。嫌われ者の佐々木さん。
そんな目で見られるから、学校には私の居場所なんてなかった。居場所がないから学校には行かない。勉強だってしたくない。中学を卒業するまではバイトも出来ない。何もしない時間ばかりが増えていく。
だから、これに手を染めた。
動画配信。
簡単に出来て、楽しい。ちょっと下着を見せてあげるだけでお小遣いが貰えるし、なによりみんなに認められている気分になった。ここが私の居場所だと思った。
投げ銭をくれる人たちは大人ばかりだ。
普段は「学校へ行きなさい」だの「みんなと同じようにしましょう」だの偉そうな事を言ってばかりの大人が、私のくだらない動画にお金を払う。こんなド底辺の私が大人のお眼鏡にかなった事が嬉しくて、馬鹿馬鹿しくて、涙が出そうになった。
大人って、馬鹿だね。
そして私は配信にのめり込んだ。
毎日毎日何時間も画面に向かい、編集にはげむ日々。
「そうですね。たしかに夕方になってくると、目がシパシパしてきて、文字が見えづらくなりますね」
そんな佐々木さんに、一週間、この「マジカル眼鏡」を着用してもらいました!
「最初は半信半疑だったんですけど、2、3日後から『あれ? 夕方なのに文字が見やすい』と思うようになってきて、すごく驚きました」 ※個人の感想です。
この「マジカル眼鏡」は眼精疲労を軽減する特殊設計。裸眼での疲労度を10分の1に軽減してくれます。
「すごいですね。これからも愛用したいと思います」
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【KAC20248】めがね @nonameyetnow
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