湊音先生は職員室にいる

「何をしてるんだね、君! てか……眼鏡、眼鏡」

 私は慌ててメガネを返そうと思ったけどメガネをかけてない先生の顔を見たくて……。


 カールした長いまつ毛、くっきり奥二重。まつ毛も整えれば良さげな形。

「眼鏡返しなさいっ」

 と私が見惚れている間に眼鏡は取られてしまった。


 湊音先生は頬を赤らめた。

「久々利さんっ、放課後職員室来なさい」

 眼鏡を掛けた彼はいつもの湊音先生で、ジトッとしたやさぐれた男になった。

「ここに女子生徒1人が入るもんではない、用事があるのなら職員室に来なさい」

 私は深々と頭を下げて顧問室を出た。


 でも私はこの目で見た。湊音先生の素の顔を。


 てか……メガネのレンズが綺麗になったこと気づかなかった?!



 そして放課後。私、怒られるってことよね。勝手に先生の寝ている時に顧問室に入って眼鏡取っちゃったから。

 他のクラスメイトも湊音先生を揶揄ったていうことで呼び出されてネチネチ怒られたって聞いたし。


 少し緊張しながらも湊音先生の前に行くと先生は

「そこ座りなさい」

 と。ひやー、やっぱり怖い。他に先生もいるけど公開説教?! 今までなるべく悪いことしないようにしてたんだけど……。


 私は身を縮こませて座った。


「……メガネのレンズを綺麗にしてくれたよね」

 ひぃー!

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