第48話 写真仲間も落ちた

 新緑が綺麗な頃、写真仲間達と一泊の撮影旅行で、とあるダム湖に来ていました。


 湖畔の新緑は、白~白っぽい薄緑~薄緑~黄緑~濃い黄緑~緑~濃い緑と様々な緑色のグラデーションでとても綺麗で、湖のエメラルドグリーンに青い空や白い雲も相まって、写真仲間達全員が感動して時間を忘れて夢中で撮影してしまう、美しい風景が広がっていました。


 撮影のスタートポイントは、湖の全景が俯瞰で見渡せる湖面から20メートル程の高さの崖の上となる高台、とりあえず全員で集合写真を写します。


 写真仲間達は自分の写った写真には興味が無い方が多く、放置しておくと人が誰も写っていない風景写真ばかり、俗に言う記念写真・集合写真なんて絶対に1枚も写さないのですよ。


 だから最初に写真仲間達の中で、35mmカメラにネガカラーフイルムを入れている人にお願いをして、三脚にカメラをセットしてセルフタイマーで撮影するのです。


 そうでもしないと、自分が集合写真の中に入っていなくても、全く気にもしない方達ばかりなのです。


 なぜ35mmカメラのネガカラーフイルム限定なのかですが、一番安価な数十円のサービスサイズプリントでの焼き増しで、写真仲間達は誰一人として文句を言わないからですよ。


 大判さんの使う4×5はフイルムサイズ自体がサービスサイズプリントよりも大きいですし、中判カメラの645や67を使う方達は全員がポジフィルム(リバーサルフイルム)を使っていますし、35mmカメラでもポジフィルムを使っている人も居る訳で、これらの方達のフイルムから写真プリントすると、とても高価になるので、もったいないのですよ。


 集合写真を写し終わったら、写真仲間達に「この場所に2時間後に集合、絶対に遅れ無いようにね!歩いて帰ってくる時間も計算してね~」と伝えて解散、皆好き好きな場所に移動しながら、夢中になって絶景な風景写真を写して行きます。


 でも夢中になって写真を撮影することは、良いことばかりでは在りません。


 写真仲間の一人さんよさんが、顔と手には擦り傷、服は土で汚れ、ズボンと靴は泥だらけの状態で帰って来たのです。


 とりあえず駐車場の手洗い場まで行って、顔と手の擦り傷は汚れを洗い流してから必要な場所には救急絆創膏を貼り、汚れているズボンと靴と靴下も簡単に水洗いしてから、事情を皆で聴きました。


 本人曰く「単独行動で3~4mほどの高さの手すりも何もない崖の上から、夢中になって写真を写していたんだけど、ついつい夢中になり過ぎて、気が付いたら崖から湖に滑り落ちちゃってて、とっさにカメラは守ったから、何処もぶつけてないし水ポチャもして無いんだけど、足が湖に入ってしまってね。探したら簡単に崖を登れる場所があったから登って帰ってきたけど、擦り傷と泥だられだよ。でも好い写真は写せていると思うよ」とのこと。


 今回は擦り傷だけの軽症で済みましたが、写真仲間達には周囲の安全には十分配慮して撮影してもらいたいものですね。



※この当時は、馴染みのカメラ店にあるミニラボ機では、ポジフィルムから写真プリントすることが出来ず、外注先のフジフイルム関連会社にリバーサルダイレクトプリントの依頼を出していました。


 今はデジタルカメラ・パーソナルコンピュータの時代なので、ミニラボ機でも簡単にダイレクトプリントが出来てしまいます。

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