第15話 お金が無い
またまた、 馴染みのカメラ店が開催したバスでの撮影旅行、まだ携帯電話が普及していなかった頃のお話となります。
今回の撮影旅行は、前回の撮影旅行で、バスが途中で故障したことを懲りたのか、レンタカーのおんぼろバスではなく、しっかり旅行社でツアーを組んでもらい、大型バスで一泊撮影旅行として、北陸方面に出かけました。
前回、三河の渓谷に行った日帰りの撮影旅行では、レンタカーのおんぼろバスが、ブレーキが掛かりっぱなしになる故障で、ブレーキが過熱して煙が出て来て、大変な騒動となったのですよ。 ※第7話
「何故北陸?」って聞いてみたら、「自分が越前ガニが食べたいから、撮影旅行の行先を北陸にした」ってカメラ店の社長が言っていたので、現実には撮影旅行とは名ばかりの、越前ガニが目当ての、飲酒・飲食・お買い物ツアーだったのかも・・・
カメラ店の社長が旅行初日に、旅行代金名目の『参加費』を参加者から集金して、袋に入れて大切に持っていたはずだったのですが、何故かお金が無い。
バスの中を大騒ぎで探してみたが、見つかんない。
参加者に聞いてみても、全員が全員、当然の如く誰も知らない。
そうです、カメラ店の社長が、何処かに忘れてきちゃったのです。
その額約100万円、気持ちよく酔っていたのに、酔いも醒めちゃいますよね。
昼食のために立ち寄ったツアー向けの飲食店で、参加者の皆さんと一緒になって、気持ちよ~くお酒を飲んでしまいました。
そして、集金したお金入りの袋を、そのまま店に置き忘れてきたことがやっと判明したときには、随分と時間が経っていました。
飲食店に問い合わせの電話を入れたら、忘れ物がしっかり残っていることが判明したものの、もう引き返せないであろう距離をバスは走っていました。
誰かが別行動で、お金を回収しに戻るしかありませんが、こればかりはカメラ店の社長が行くしかありません。当然、当たり前です。
これ以外に方法も無いのでと、少しバスの走るルートを変更して、カメラ店の社長一人を最寄の駅で降ろし、その他全員を乗せたバスは帰途につきました。
そのあとカメラ店の社長は、列車やタクシーを乗り継ぎ、忘れ物の約100万円を回収して帰るという、さびしいさびしい一人旅をすることとなりました。
こんなふうに、置き忘れたり落としたりしたお金入りの袋が、中身が無くなることもなく、減ることもなく、無事に手元に戻るなんて国は、世界中で唯一『日本』だけのようですね。
本当に、日本人は民度が高くて、嬉しい有難いことです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます