第2話 死亡、そして
ピーーーという警告音が聞こえて目が覚めた。
何かと思えば、自分につながった機械が鳴っている。
何があったのかとも思ったが、自分が呼吸をしていないことに気が付いた。
そもそも、脳梗塞で倒れて入院したんだった。どうやら、呼吸中枢が壊れたらしい。
呼吸が止まれば、酸素不足で脳は死ぬ。まあ、悪くもない人生だったなと思いつつ意識を失った。
なんか死後の世界っぽいところに移動した。
子供のころ、神を超えようといろいろ考えていたころに白日夢で視た光景に似ているな。
そこには複数の神っぽいのが居て、複数の人間界に奇跡を投げては奇跡に右往左往する人間を眺めて楽しんでいるようだった。意外と俗っぽい。谷に住むから俗人、山に住むから仙人などと、どうでもいいことを思いつつ、観察を続けていると、神っぼいのの思念が伝わってきた。
曰(いわ)く「俺たちゃ神だ、偉いんだぞ。」的なもので、実に俗っぽい。なおも観察すると、何やら神が見ようとしない方向があり、そこに向かって、祈っている神らしきものがいた。よく見ると、そこには上位の神界があり。そこに入れてほしいと祈っているようだ。
そうか、ここは階(きざはし)の1段目に過ぎないのだな妙な理解が、私を襲った。
俯瞰したいなと思った瞬間自分の視点は移動していた。どうやら、世界の外にに移動したようだ。
その世界は球であった。球の外から中をのぞくと、最高神っぽいのと目が遭った。それは、球のやや下から覗いている私を見て、自分の方が高いと安心した気配を発していた。
球の中なら出られないそいつより球の外にいる自分の方が、上位なんだがとおかしく思いながら、なおも観察を続けた。
どうも球は入れ子になっているらしい。
ややこしいことに球Aの中に球Bさらに中に球Aがあるケースもあったが、球Bの中にある球Aと外にある球Aは同じもので、区別はつかない。
どうやら更に球の外に出られるようだ。せっかくなので、さらに外に向かって移動していると茫漠たる空間に、ただ球が存在している空間にたどり着いた。
ここで、西遊記で、孫悟空が世界の果てにたどり着いた程度で引き返した逸話が頭をよぎったが、さらに外に出てもそこはどうせ球だろうし、意味はないなといったん引き返すことにした。
まずは以前たどり着いた神界っぽいところまで戻る。
ついでにに神を超えておこう。
神を超える方法だが、神に祈って神の権能を分けてもらう方法では神を超えることはできない。結局神を超えるには、神を喰ってその権能を奪うしかないのである。
まずは、自分がスライムになったつもりになって、離れた位置にいる神に忍び寄って、一気に飲み込む。
神を吸収して、権能を奪うことに成功した。
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