開店準備中

丸岡0時

第1話 土地はある

「無料で使える土地がある。何か商売をやらないか?」

「そんな上手い話があるもんか。絶対に裏があんだろ」


 訝しんで聞く俺に、奴はため息をはきながら首を横にふる。


「裏なんてないさ。むしろ、土地があるだけで、何も無い」


 そう言って、紹介された土地を下見に来た俺。

 なるほど、確かに何も無い。


「じゃあ、ここで、どんな事をすれば良いんだ?」

「おいおい、言っただろ。『なんにもない』んだ」


 わざとらしく肩をすくめて見せる。


「やっちゃいけない事意外、何をしてもいいんだ」


 渡された紙には、当たり前の『公共の場で禁止されていること』が書かれていた。


「露天を開いても良い、店を構えたって良い。商売をせずに、練習場にしたって構わない。気に入らなければ、土地を離れれば良い。なにもせずに寝てたって自由って事さ」


 そうか、なるほど、そういう事なら。


「分かった、じゃあ試しに練習がてら、一筆書いてみようか」

 

 奴はニヤリと笑って、俺の肩を小突く。


「OK、ただし、あまりゴミは出しちゃダメだぜ。不法投棄は犯罪だからな?」


 今すぐジャンルをミステリーに変更して、土の中に埋めてやろうか?

 そんなこんなで、習うより慣れろ、まずは使ってみようの執筆練習場、開店準備中(仮)のオープンです。

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