春はにびいろ

Tonny Mandalvic

第1話

 僕にとって春は鈍色で塗りたくられている。

 冬に大雪になり白い世界と、木の幹だけの茶色い世界(一部白樺の白い世界もあるが)がおわり雪が溶けたら、どこから現れたのか滑り止めの砂なのかよくわからないが灰色の砂が雪を覆う。

 乾いたアスファルトの色も相まって、春の色としては鈍色を思い浮かべる。

 あわせて空が曇っていればさらに春は鈍色のような感じがする。


「さようなら。あんたのことなんか何も思っていないんだけど」

 勇気を振り絞っても、何を言っても僕の言葉は相手に届かない。

 最後にならないと勇気が出ないのだから仕方がない。

 また今日も希望が無くなった。

 明日も希望がないだろう。

 さあて、地下鉄のホームドアを乗り越えて、地面にある給電装置に突っ込んで丸焦げだと思ったけれども、あれ意外とそんなに電圧高くなかったので、さようならできないかなと思っていたけれども、それ以前に、痛いのは嫌なのでさようならできない。


 まあこれから僕は夢も希望もないのだ。


 親が家に帰ってきたら、これからどうするのと騒ぎだす。

 無職かどうせフリーターだと思うと夢も希望も無くなってくる。

 これから先幸せな人生なんて歩むことはできないのだ。



 さあて、異世界転生に期待しないといけないと思いながら部屋に帰る。


 部屋の中にはパソコンとゲームしかない。

 インターネットをして動画だけ見てどうでもいい人生を12時間続けた後、真夜中というかもうすぐ夜明けになっていた。


 新しい朝が来たけれども、空は鈍色だし、地面もアスファルトで鈍色、さらに周りにある溶けかけた雪なんか砂まみれで非常に汚い状態になっている。


 まるで自分の将来のように灰色の日々が続く。

 検索エンジンで〇に方と検索すると心の健康ダイヤルみたいな電話番号が表示される。

 そんなワード検索している時点でどうかと思うのだが、どうせなら普通に表示を行ってほしいと思う。

 

 さあて石◎ホーマー行ってロープでも買ってくるかと思い、自転車を出す。

 ホームセンターに行って、縄を買う。

 縄を買ったが痛いのが嫌なのでどうしようもなかった。

 冬なら氷点下の中全裸で冷凍されれば冷凍人間ができるのになと思った。

 

 僕にとってこれからの日々は鈍色の空のような日々が続くのだ。

 こんなことなら無駄に生きるのをやめるべきなのだ。

 それなら最後なので金を使いきってから終了しようと思っている。

 僕はこれからの鈍色の日々の過ごし方を、夢も希望もない鈍色の空に向かって誓うこととした。

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春はにびいろ Tonny Mandalvic @Tonny-August3

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