第5話 女の子

ビンタは普通に痛かった。それどころではない、彼女もちょうど起きたのだ。急いで話を聞こう。だが、悲鳴のせいで何も話せないし聞こえない。うーん。悲鳴が鳴りやむまで距離を置いて待つしかないか。

叫びすぎで疲れたのか彼女はまた寝てしまった。俺はもう眠くないし、起きるのをゆっくり待つか。


彼女が起きた。しょうがないけど、彼女の悲鳴が鳴ると話せなくなるから、口をふさいで自分の話をした。自分が転生者であることや彼女を謎の手らしきものから守ったことなどなど。彼女は最初は半信半疑で聞いていたが、周りの様子などをみて、だんだんと落ち着いて状況を理解した。そして、彼女は自分のことを話し始めた。

「私は、、、。」

しかし、言葉が続かない。

「私は、、、。あれ、私はなんだっけ?何も思い出せない。」

とても驚いた。しかし、着ているセーラー服を見るからに俺と同じ日本出身の転生者で、日本の学生だろう。なぜ彼女は自分のことがわからないのだろうか。

<「知」によるものと推測>

そういえば、俺も転生した時は何もかもすべてを忘れていた。しかし、スキル「知」によって、すべてを思い出していたんだった。あれ、「知」ってどういう能力なんだ?

<一度、五感で感じたことはすべて忘れない。たとえ、スキル習得前でも、記憶喪失をしても。>

つまり、推測するに異世界転生をすると記憶がすべてなくなるっていうことか。しかし、俺は「知」ですべて思い出したが、彼女には「知」がないからすべて忘れたままということか。けど、スキルが「知」だけって俺、弱くない?

そんなことを考えている間にも彼女は何も思い出せずに混乱していた。

「あれ?ほんとにあれ?私は、、、あれ?」

急いで今の推測を彼女に伝えた。

「あの、たぶんなんだけどね、、、。」


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