心霊探偵事務所の名探偵さん

ごーや

宮川菫子

高校 廊下

朝の賑わいにふさわしい程人が集まった廊下

しかし、ある少女、宮川菫子みやかわすみれが廊下を通るとたくさんの人がいる廊下が端に避け、真ん中に大きな道を作る

「(はぁ、いつも通り.....)」

ガラガラ.....

教室の扉を開ける

ドン

扉を開けた瞬間、クラスの男子が飛んできて、ぶつかった

「うわっ!」

「おい!やめろよ!」

ぶつかってきた男子が後ろの男子達に言った

「わりぃわりぃw」

「ったく!まじで最悪だわ」

「あの.....すいません、どいてください」

そう菫子が言うと

「あ?んだよ、早く行け」

スタスタ.....

ようやく自分の席に着いた

菫子の席は1番窓側の三列目

その後ろから聞こえてきた

「おぉい、まじで最悪、俺今日で死ぬかもしんねぇ」

「だろうなwあの''幽霊女''に睨まれりゃなw」

「ご愁傷さまwww」

「ギャハハハ!」

教室中に響き渡る声に菫子は内心呆れていた

「(勝手に死んどけ)」

「(私は関係ないからな)」

「(幽霊呼ばわりにもそろそろ慣れてきたし)」

「(気にしないでおくか)」

幽霊女

それが学年.....いや、学校内での菫子のあだ名名前である

理由はひとつ

菫子の目にある

菫子の目は紫色をしており、その不気味さから''幽霊''などと呼ばれている

そして、菫子に睨まれたり、声をかけられると近々不幸が発生すると言われている

実際、菫子の隣の男子は菫子の隣になった3日後に交通事故で入院中だ

そして、転校した

だから菫子の隣には誰も居ない

ただポツンと椅子と机が並んでいるだけだ

「(.....今日はやけにクラスの色が明るいな)」

菫子には二つ、特殊な能力チカラがある

一つは死んだ人間、本来留まってはいけない魂が集う世界、''幽世かくりよ''が視えること

もう一つは、人間の感情を色で見分けれること

ポジティブな気分だと暖色

ネガティブな気分だと寒色に映る

菫子がこのような能力チカラに目覚めたのは、他でもない菫子の目が紫色に変色しているからである



三十分後

朝のHRホームルームが始まった

いつも通り騒がしかった教室は、1人の男性教師が入ることによって静まりかえった

「えー、今日は皆さんに大切なお知らせがあります」

教師がそう言うと教室はまたざわめき始めた

「静かに!」

「さて、入って来なさい」

一言で教室を再び静め、教室前方の扉に向け声をかける

ガラガラ.....

開いた扉の向こうには見ないイケメンがいた

転校生だ

扉を開くなり、女子の黄色い悲鳴が小さく飛び交う

その中には数名、男子も紛れていたそうだ

その転校生は教室に入るなり黒板の前まで歩いった

「自己紹介をしてくれるかな?」

そう言って教師が転校生にチョークを渡した

転校生はチョークを受け取り黒板に何かを書き始めた

コツ、コツ、スー.....

コツ、スー.....カタン

一通り字を書き終え前を向いた

「初めまして、僕は神崎 啓人かんざきけいとと言います。」

「好きな物は運動、ゲーム、辛いもの」

「嫌いな物は.....特にないです」

「よろしくお願いします」

基本的な自己紹介を終え、それまでざわつきつつあった生徒達は何かが弾けたように啓人に質問のマシンガンを浴びせた

一発一発を受けながら啓人は教室の窓側に目がいった

クラスのほぼ全員が彼に夢中になっている中ただ一人、紫の瞳をした少女だけが無関心そうに窓の外を眺めている

まるでその瞳は明後日どころか一週間先を見るような目をしているように思えた




クラス中の質問が少なくなってきた所で教師が声を発した

「気になることが山ほどあるのは理解できるが、あとすこしで授業が始まる」

「神崎はそこの席に座ってくれ」

そう言って指を指した方向は先程の少女の隣の席だった

分かりましたと返事をし、指名された席まで歩いていく

ズズズズ...ガタン引きずった音を立てて椅子を引いた

席に座って早々、隣の少女に声をかけた

「よろしくね」

微笑みながらそう言うと少女はまるで聞こえてないかのようにただ黒板を眺めている


キーンコーンカーンコーン

「それじゃ、これでHRホームルームを終わる」

チャイムが鳴り、休み時間となった

啓人は隣となった少女とコミュニケーションを取ろうと声をかけようとしたが

「なぁなぁ!」

後ろから声をかけられた

何かと思い振り返ればそこには15名程の生徒がいた

すると次の瞬間、その大群にあっさりと飲み込まれてしまった

大群の中ではさっきの時間では足りなかったのか、またもや質問のマシンガン

というより嵐に近いだろう

中には「どうしてそんなに肌が綺麗なの!?」

とか「どうしたらそんなにイケメンになれるのか教えてくれ!」

だとか、個人的な悩み(?)も寄せられていた

しかし多くの生徒が口を揃えて言った言葉が幾つかあったが、それは全て同じ内容だった

「隣とは関わらない方がいい」

「あいつと関わると不幸になる」と

啓人には、それが全く意味がわからなかった

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