ちっぽけな復讐劇



 私は神だ。

 なんて言っても信じてくれないだろう。なので今から私が神であるかことを証明していこうと思う。

 

 まず、私は1人の男に目をつけた。

 幸せそうな男だ。彼に力を授けた。

「やあ!憂鬱そうな君に力を授けよーう!」

「憂鬱?冗談はよしてくれ。今の僕はさっき彼女ができたるんるん気分の僕だぞ?」

「ああ、ごめんごめん」

 つい未来を見てしまう癖が抜けない。よくない癖だ。やめたい。

「で、力ってのは?」

「物をたくさんコピーできる能力だよん。はいどうぞ!」

 そう言って彼に力を与えた。

 彼は去っていった。

 次に僕は憂鬱そうな(今度は現在だけを見てるよ)青年をターゲットにした。

「今からこの青年の兄に化けていこうと思いまーす」

 一通りの茶番が終わったあと、彼に天国はいいところだと言った。まあ、神様である僕以外に何もないけど。

 そして今度は竹林に特定外来生物であるかぐや姫を竹の中にぶち込んだ。

 竹を切られ、光輝くたびに記憶を削除。無限ループの完成だ!

「たすけて、たすけて」

「特定外来生物なんだから仕方ないだろ?大人しく時間のループにはまっとけー?」

 月に戻れると思うなよ?


 ここまでやったら君たちには僕がどれほど神かわかるだろ?スマートフォン、または書籍?またはその他?僕を認識してる君たちの方が神に近いかもしれない。だけどもこの世界を好き勝手にして物語を作れるのは僕だけなんだ。そこだけよろしく頼むよ。


 僕は一通りの証明が終わった後、家に帰って休むことにした。雨が降っていて――

「おやあ?こんなところに人間が1人」

 不思議なものだな。人間がこんな天気のなか、こんな日、こんな時間に訪ねてきた。

「じゃ、見てて。今から人間を驚かすよ」

 若い女に化けて現れる。

――靴が脱げる。悲しみに暮れる。持っていかれる。

 泣く。


「ミーンミーンミーンミーンミーンミーン」


 神様としての復讐だ。

 ざまあみろ人間。うるさいだろ?苦しめ苦しめ。

 しめしめ……これでこいつらは僕をより崇め称えるだろ?



追記――こんなしょーもない物語に時間をとらせてごめんなさい。少しでも僕のことを忘れないで欲しいのです。



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狂った世界で生きる君たちへ タラかに @tarakani

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