失億



 夜の散歩、竹藪の中を思うままに歩いていく。夜空は星がいっぱいの最高な感じで、虫の声がところどころから聴こえてくる。

 リンリンリンリンリンミンミンミンミンシンシンシンと、聞こえてくるたびにその心地よい音色が乾いた心に染み渡る。


 しばらく――夜独特の空気感に触れ合っていると不思議なものを見つけた。そう、まさに「かぐや姫」に出てくる光る竹だった。一つだけその竹は光り輝いていたのだ。

 その竹をじっと見ていると微かに何か聞こえてくる。


 

「……けて……ぁけて」

 

 

 開けて、小さな声だが確かに"開けて"と言っている。

 


「……よし、切ってみるか!」

 

 

 判断は早かった、私の心にワクワクと好奇心を植えつけたそれのことをもっと知りたいと思うのは当然だろう。早く……早く中を見てみたい!――だが、生憎、私の手元にはナイフや鋸などはなかった……持ち合わせていなかったのだ。

 そうこうしている間に、光る竹は徐々にもっと光っていった。光る、もっともっともっともっと、さらにさらにさらに、光っていく。激しい白い光で目が霞んできたところで、その光る竹は突如横に割れてしまった。

 驚く私を横目に、なおも光り続ける竹。眩しいのを耐え、よーく竹の中を確認してみると――


 気づけば、私は広い草むらで横たわっていた。一体、何が起きたんだと、ふと周りを見渡してみる。近くには深緑の竹藪があった。


「寝ていたのだろうか……」


 夢でも見ていたのだろう――私は竹藪の中へと歩いていった。


 訳がわからない私はただ自分の直感に従うことにした。






 

 夜の散歩、竹藪の中を思うままに歩いていく。夜空は星がいっぱいの最高な感じで、虫の声がところどころから聴こえてくる。

 リンリンリンリンリンミンミンミンミンシンシンシンと、聞こえてくるたびにその心地よい音色が乾いた心に染み渡る。


 しばらく――夜独特の空気感に触れ合っていると不思議なものを見つけた。そう、まさに「かぐや姫」に出てくる光る竹だった。一つだけその竹は光り輝いていたのだ。

 その竹をじっと見ていると微かに何か聞こえてくる。


 

 

 

「……けて、助けて!」

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