陰キャ魔王サポから始まる異世界百合ハーレム

みねし

第1話 暇潰しに付き合って?

「ほんと暇ー」

私ごとカナデは暇を持て余しすぎたあまり、自室のベットの上で何もしないをしている。

部屋に引きこもってゲームしたり小説を読んだりするのも一日を超しちゃうと疲れるもの。

「負のスパイラルになっちゃいそー」

それ以外の何かしらをしたら満たされるのでは?という謎の声が聞こえそうな状況に、試し済みって答えが自然の脳裏をよぎる。

筋トレとかはもはやルーティンの一つ、料理は……したいけど、私がいる魔王城の、特に私の部屋にはその類のものは残念ながらなにも備われていない。

というか料理だけは厳禁認定を魔王どころかメイドにまでされている。

魔王……魔王か。

いじりにいくかー

思い立ったが吉日ってどっかの誰かが言っていた気がする。

部屋着の短パンとへそあたりが隠されないタイプのTシャツの上にカーディガンを適当に羽織った私は、そのままクッソでかい部屋を後にするのだった。




「この書類は……うん、これでよし。 会議は……したくないなぁ……明日が来ませんように魔法使いたい……」

「何ブツブツ言ってんの?」

「明日の会議が嫌すぎるよ……引きこもってカナデが持ってきたゲームしながらよしよしされたい……」

「陰キャレベルがカンストどころか上限突破しそう」

「お部屋一緒にしたいけど犯されそうって拒まれたのはショックだった。 あたしまだ処女なのに」

「いやいやそこで君の処女有無関係ある? あとそのネタ引きずるの長すぎるよ?」

いい加減鮮度あるネタに変えてほしい。って抗議もむなしいよなーしばらくは変えられないかー。

あとこっち見てほしいなー会話って目線合わせて表情の変化とかが読み取れたほうが断然面白く感じるもの。

さっきから書類ばっか見ててつまんないと思っている。

まぁ、仕事中の相手に求める感想ではないとはわかってるけどね。

「ところで仕事いつ終わるん? 私暇すぎるんだけど」

「もうすぐ終わるとおもひょわあぁぁああ!?」

「あ、やっとこっち見た」

「カナ……デ、ドオシテ」

「ごめんね驚いたよねー反応すごく面白くてやめられないの、理解してね?」

「カナデ、イヤ、シゴト、カイギ、イヤ」

「ガチでビビってんじゃん……」

机で書類ガン見してた陰キャ魔王、もといミオソティズは、現在部屋のすみっこでぷるぷる震えている。

スタンプとかでよるある後ろ頭に手をのせて絶望してる系のポーズで。

整ったくせっ毛の黒髪に紺色の瞳、スラっとしてて私より頭一つぐらいあるかの身長

頭についている二つの角に普段は隠している漆黒を思わせる綺麗な翼。

“魔王”の二文字がスラっと出る彼女は、魔王の文字からかなりかけ離れた何かを私に見せている最中である。

業務とか人と顔を合わせ、題材の中から結論を引き出さざるを得ない仕事が多い王はコミュ力の化け物という印象が付きやすいが、彼女は違う。

仕事だからやれるタイプの陰キャだ。

私をここに拉致ってきて最初に口に出した言葉が「い、一生分のコミュ力引き出した」だったし。

だからこそいじりたくなっちゃう。

「うう……急に、話しかけないで。 びっくりしちゃうよぉ……」

「ごめんごめん、ミオが(びっくりするのが)可愛すぎてついいじりたくなっちゃった」

「ほぇ?」

「か、かわ、可愛いって」

ポンと湯気が出るほど顔を真っ赤にしてデレデレし始めたミオ。

「ふ、ふふっ、うふふふふっ」

「可愛いってつまりけ、結婚したいって、ことだよね? 口説かれたよねあたし。 思いきって拉致して正解だったなー妊娠は先にさせてなんぼのもの、ってよく言うし、あたしから攻めて問題ないよね?ぅへへっ」

「きも!?」

褒めただけでそこまで喜ぶなんて可愛いなー。

「その、カナデ、こんなふつつか者だけど、よろしくね?」

「それに心の中と表に出す言葉入れ替わってると、思います……」

うーん、しょんぼりしながら正論パンチってインパクトあるな。

「まぁ、それはそれとして」

「うん」

「一目ぼれで道すがら歩いていた私を拉致ったミオソティズ様ー」

「えへへーそれほどでもー」

「いやテレるんかいっ」

後いつのまに机の前に戻って手動かしてた?早業がすぎるよ。

「付き合って?」

「ふぇ?」

「仕事終わったらぁー」

「私に」

「付き合って?」

「うぇえええ?」

「じゃ、部屋戻って着替えて待ってるね。 仕事ガンバ!」

執務室?を出て扉を閉めると待ってましたと言わんばかりにミオの悲鳴が場内を満たした。

「どこ行こうかなー」

楽しみを胸に、私は着替えるため自室に戻っていくのだった。

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