第77話 報酬

今回のイベントでチームリーダーが船団番号31の船長になったら、そのチームは全員船団番号31に移籍することになるようだけど、幼女同盟の面子全員で行けるなら大きな問題はなさそう。1鯖に居た人と会うのが多少難しくなるが、ゲーム時代とは違って気軽に船団同士の行き来は出来るからそこまで大きな問題にはならない。通常時はワープで移動できるからね。


……ふおにの森は下部組織もあるし、ふおにの森1が移籍することになったらナンバリングされているチームは全員移籍するのかな?確か船団の移籍に必要なゴールドは1人30万ゴールド。上位層はともかく下位層全員の移籍は難しそうだな。


まあ、ふおにの森が本気を出さなくても他鯖のチームが本気を出して狩る可能性はあるから、楽観視は出来ない。他鯖には完全な一強独裁体制のところもあるし、そういうところにもカンスト勢100人が集っている。元々のカンスト勢が少なかった幼女同盟がチーム順位で1位を目指すのは難しそうだ。そもそもチーム順位はあまり気にしない奴らが集ったチームだし。


「ふおにの森は把握してないはずだ。だが、ランキング1位常連チームがこの状況になって初のイベントで走らないとは思えない。それに今回は当然、タキオン船団側のチームも参加するからどこまで稼がないといけないのかは分からないな」

「ああ、タキオン船団側のチームも参加するのか。……なあ、船長になる目的って何だ?無理して取りに行くべきポジションか?」

「そこら辺はタキオン船団の事情も話しておかないといけないか。

タキオン船団はわかりやすい階級があって、基本的には5段階に分かれる。階級社会ってことは全員既に把握してるよな?それで船長の位置は、上から2番目だ」


黒猫に船長を目指す目的を確認すると、このタキオン船団の階級について説明された。わかりやすくランク順にすると、タキオン船団の一般市民や地球組の非戦闘組がランク1、地球組の一般シアリーやタキオン船団の普通のシアリーがランク2、特別許可証持ってるシアリーや1つの鯖で1人か2人選ばれたチームリーダーがランク3とのこと。


その上のランク4が船長という立場であり、かなりの量の情報が開示されるようになるらしい。まあ船長の上のランク5が船団長シウラさんただ1人なので、シウラさんを除くとトップか。1鯖の船長はシウラさんが兼任しているから船長という立ち位置がイマイチ分からなかったけど、2鯖とか別の船団番号のところは普通にシウラさんみたいな船長がいるのね。


階級事情を説明された後は、タキオン船団の今後の計画について黒猫が語る。このことは絶対に他人に言うなと言っているが、どこかからは漏れるだろうな……。


「タキオン船団は最悪、シャドウを全滅させなくても良いと考えているみたいだな」

「それは宇宙船でシャドウから逃げ続ければ良いからか?」

「それもあるが、宇宙がシャドウで埋め尽くされても別の宇宙を目指せば良いと考えている。シャドウは別の宇宙に渡れないという前提だがな」

「……いやそれマジか?自分達の手で生み出した殺戮兵器に対処できないから自分達だけ安全地帯に逃げて再起するつもりか?」


黒猫の語るタキオン船団の計画とは、ジャンプドライブと呼ばれる別宇宙へ移動する技術を開発し、別宇宙に逃げるというもの。地球組が大いなる闇やシャドウの群れを退治出来なくても、自分達の命だけは守り抜く姿勢のようでどす黒さが滲み出ている。


……まあ、チーム順位を気にしない奴らだらけだけど個人順位は気にする奴らだらけのチームだったので、ゲーム時代でもシャドウを狩ってポイントを稼ぐタイプのイベントなら幼女同盟はわりと1位を競える位置にいた。気合い入れて1位を目指すなら、取れる可能性は十分ある。それで黒猫を船長に担ぎ上げることに、反対意見はないかな。この人、今は可愛い美少女だけどリアルだと31歳なんだよね。いや今もリアルだけど。


21歳の時に起業して、それが軌道に乗ったら大手企業に事業を丸ごと売って、また起業してを繰り返していたようだけど無難に就職活動をしていた身としては化け物かよと思う。ネタ発言も多いけど、ABCに代わってチームリーダーになってからはチーム活動を一番頑張っていた。長い付き合いだし勝たせたい。


とりあえずイベントが始まったら走るけど、チームが1位になるかは『報酬:船長』の公開されるタイミング次第かな。個人ランキングとかも作られるだろうし、カチ勢に個ランは厳しそうだけどユリクリウスを1位にするため頑張るか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る