第47話 追撃段階
第一段階が終了し、散り散りになって惑星に逃げ帰った大いなる闇の模倣体を追撃する段階に入ったが、均等に分かれたわけじゃないようで脅威度はバラバラだ。そして当然一番脅威度の高い場所に1鯖2鯖の精鋭パーティーが送られる。面子は自分、ユリクリウス、ライトさん、ジュリエットさんの4人パーティー。
火力役2人を守るカチ2人という構成だね。今回4人しかいないのは、散り散りになった量が多かった上、人の足りてない9鯖+10鯖の担当惑星にも1鯖と2鯖が向かったから。ここで安易に11鯖以降から緊急徴発しなかったのはシウラさんがローテーションを守る決意をしたのだろう。
眼前に相対する模倣体のレベルは、確認することが出来ない。あれなんかこいつ急に強くなってない?どんどんゲームが現実だと分からされている気がするけど、初っ端のビームが相変わらず1ダメなので何とかなるだろう。なおユリクリウスやライトさんは200ダメ程度受ける模様。回避の難しい攻撃でもダメージが大きいのは辛いな。
「ダブルクロスカットダブルクロスカットダブルクロスカット……」
「ヒョウカセンヒョウカセンヒョウカセンヒョウカセン……」
そして火力役2人から連続した攻撃が模倣体へと命中し、ヘイトがユリクリウスに向く。おうマジかよとうとうライトさんとのダメージレースに勝ったぞ。純粋な火力ならもうユリクリウスがトップか。いやまあ今まで二刀流のユリクリウスに対抗出来ていたライトさんがおかしいんだけど。
ヘイトがユリクリウスに向く光景を見て、若干不満気なライトさん。この瞬間、1鯖最強は元1鯖最強になったわけだけどどういう心境なんだろう?……そう思ってライトさんを見つめていたら、なんかライトさんが不満気ながらもホッとしているような気配を感じた。
さて、ヘイトがこっちに向いたならやることは1つ。ユリクリウスを庇うことだけだ。ヘイト上昇スキルを使い、ユリクリウスの前に立つ。そして今回は、新しいスキルにスキルポイントを割り振って参加している。
1つはシールドバッシュ。MPを10消費して行うガードの一種で、ゲーム時代では普通のガードでジャストガードが出来ない人用のお助けガード的な存在だった。MPを消費することで、剣のガードを前へ突き出し、攻撃に攻撃するような感じでガードする。
被ダメ軽減率はそれなりに高いが、ジャストガードの方がMP使わない&被ダメ軽減率高いと、PSが高くて普通のガードでジャストガードが出来る人には要らない存在だった。
まあガードは2種類同時に使えないし、ジャストガードは火力にも必要なのとシールドバッシュは火力を出すために必要なMPを消費することを考えると要らないスキル筆頭なんだよな。判定が緩いから初心者は頼る人もいるけど、上級者は普通取らない。アタックスタイルへのスキルポイントを一切振ってないカチ勢の鏡で、スキルポイントが余り気味だから取ったけど。
そんな残念スキルと組み合わせて取ったのが、シールドバッシュヒールというスキル。最大までスキルポイントを割り振るとシールドバッシュを成功させた時に周囲の人間を自分のHPの1%分回復するという、何とも言えない効果を持つ。しかしこれ、1%回復にしては珍しく上限がない。
その上、自分のHPも1%を回復させる。つまりHP7000を超えた自分が使えば周囲にHP70をばら撒く存在となる。模倣体から連続攻撃が来るので、連続でシールドバッシュを使用すると面白いように回復する。
-1、+70、-1、-2、+100、+70、-1、-1、+70……。
模倣体は黒い大きな人型で、顔部分には大きな赤い眼が1つある不気味な感じだけど、連続攻撃の際は手を伸ばして台パンを繰り返すので可愛い存在だ。両手でバンバンしてくるけど、ダメージよりか回復量の方が明らかに多いんだよなぁ……。
しかも後ろにいるユリクリウスも回復させるおまけ付き。シールドバッシュの発動インターバルの間にダメージは入るけど全然削れないので大したことはない。たまに飛んでくる目からビームは避けることが難しいが、ユリクリウスに入ったダメージ分ぐらいは自分のシールドバッシュヒールで回復出来る。
一方でジュリエットさんもライトさんに飛んでくる岩石投げを防いだりしているが、ビームは防ぐことが難しく庇えていない。そしてジュリエットさんがライトさんを回復させる手段がないため、ライトさんは回復薬を使用することになる。
この差は大きく、HPが50%削れた時に模倣体が使う必殺技では10個のエネルギー弾の内、5つがユリクリウスに向かった。このエネルギー弾は、与えたダメージの割合によって飛んでくる量が変わるんだよね。残りの5つのうち、3つがライトさんでジュリエットさんと自分が1つずつ。つまりユリクリウスは1人でパーティーの半分ぐらいの火力を出している。頭おかしい。
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