第11話 チームチャット

上位層は余裕綽々な生活を送る一方で、初心者勢で満足に戦えない人達が引き籠る人ことも増えて来たみたいだから状況は良くない。わりと放置気味だし。タキオン船団の船長であるシウラさんの言っていた案内人とはサポートロイドのことで、これはレベルが20に到達した段階で配布されるやつだけど、地球組は特別にレベルが20に到達してなくても配布されるとか。


ただそれが間に合っていない人もいる以上、ガチ初心者が勝手にクエストへ突っ込んで死ぬという光景も見られる。あとガチ初心者が120レべまで到達するのに何年かかるんだという話もあるな。ゲームと同じ仕様でも恐らく最短で120レべまで半年はかかるし、安全マージンをとっていたらもっとかかる。経験値アップイベントとかないだろうし、余裕で1年はかかるだろう。


「あの、マスター。これは……?」

「ロウ・ヤー。これ鍵があるからガチ監禁出来るね」

「流石に人を監禁したら通報しますよ……?」


家具の牢屋を出したらサポートロイドのコッペパンが若干怖がっているけど、このサポートロイドがまた便利な存在過ぎて堕落したい。頼めば料理作ってくれたり掃除してくれたりする便利過ぎる存在。何ならサポートロイドをママと呼び始めた界隈も存在する。……うちのチームメンバー達だ。


[ゼル:ダメージ受け続けていたらレベルアップしたので報告]

[黒猫:経験値が見えなくなってるんだよなー。耐久でもレベル上がるならクロワッサンヤバくね?]

[クロワッサン:何がヤバイか知らんが今123レべまで上がったぞ]

[ユリクリウス:俺も123レべ。ライトさんは124まで上がってるらしい]

[黒猫:全鯖一の廃課金ニートの名は伊達じゃねえ……。てかお前ら徐々に推奨レベル上げてレベル上げに勤しんでいるとか真面目かよ]

[時雨:引き籠りショップ生活快適だよ。サポートロイド3人まで買ってて良かったヾ(*´∀`*)ノ]

[黒猫:ロリママが3人もいるとか最強かよ……]

[クロワッサン:ショップってどこか課金アイテムの価格操作してるとこある?]

[時雨:分からないけど全鯖のショップにアクセスできるようになってるから変に安い価格付けられなくなったんじゃないかな]


中でも時雨さんはサポートロイドを2人課金で追加購入しているので、実質3人態勢。上限まで増やしても結局ゲーム内では1人しか稼働出来なかったから意味のない課金だったけど、現実になると3人同時にお世話を頼めるとか凄まじく羨ましい。見た目は自由にカスタムできるからね。


まあ200万ゴールドで買えるっぽいし、ゴールド貯めたらもう1人買おうかな。5年前のFUO2最盛期にプレイしていた60レべから65レべの人達も真面目にレベリングし始めたようだし、プレイ人口が大幅に増えたFUO2だと考えると今後のショップの相場状況は気になるから逐一確認しておこう。1鯖でトップクラスのショップ戦士である時雨さんが24時間張り付いているなら、極端な価格下落や高騰は起きないだろうけど。


[黒猫:そういえば今日シウラさんから聞き出したけど人造人間を地球組に遠隔操作させていてその人造人間の器に地球組の魂を持って来た、らしい]

[クロワッサン:……それ地球にいる自分の身体ってどうなってる感じ?戻れるの?]

[ABC:そこらへんははぐらかされて教えてくれなかったけどFUO2の設定年代は西暦5600年というのはどこかで見ました……]

[ユリクリウス:え?じゃあここって本当に未来になるのか?]

[ハル:西暦5600年なら人類滅びてそう]

[ビートル:西暦設定がガチなら退路断たれていて草]

[ユリクリウス:……悲壮感とかをあまり感じないのは人造人間のせい、だったら嫌だな]


上位陣には色んな情報が回って来ているけど、この情報が広まったらヤバそうではある。反乱とか起こす層も出てきそうだ。1鯖だけで20万人の人がいるし、人が集まれば政治は生まれる。その内、支配層に回ろうとする人も出て来るだろう。黒猫とかシャルルさんとか既に支配層だし。


「マスター、そろそろ夕食の時間です。

……ちなみにチームチャットは全てサポートロイド達に筒抜けなのでご注意下さい」

「はっ!?えっ、個チャまで全部筒抜け?」

「いえ、パーティーを組んでいない時のパーティーチャットと個人チャットはこちらまで届きませんが、チームチャットはサポートロイドも対象なので……」

「……黒猫とか時雨さんとかひたすらサポートロイドとの惚気話書き込んでいるんだけど」

「そろそろお2人にもサポートロイドからお話があると思いますよ」


コッペパンが夕食を作ってくれたので、それを食べるけど基本的に食事は美味しい。まあ文明が進んでいたら食文化も発展するわな。そして衝撃のカミングアウトを受けたので、明日のチームチャットが楽しみである。特にサポートロイドのことをよく話していた黒猫と時雨さんは死にたくなるような気持ちになるんじゃないかな。


……確かに、チームのステータス上昇効果とかサポートロイドまでかかるからサポートロイドもチームの一員なんだよなぁ。よく考えたら分かることなので、黒猫が見落としていたのは意外だった。

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