第9話 探索任務
しばらく移動すると、タコみたいなシャドウが出て来るけどレベル22。弱い。というかレベルを把握した瞬間にライトさんのノンチャヒョウカセンで凍り付いた。ノンチャというのはノンチャージの略で、魔法は基本チャージしないと威力が高くならないが、ライトさんはノンチャで魔法の威力が上がるスキルを大量に取得しているのでノンチャで馬鹿みたいな火力が出る。
ただその分、MPの消費は早くなる。まあ1秒チャージで1発200万ダメージなのを、1秒間に3発撃って300万ダメージ出すみたいな感覚だからMP特化でも中々使い手はいないのが現状。ただしDPSは飛びぬけており、ライトさん以外にも少数ながらノンチャの使い手はいる。うーん、これはカチ勢の出番ないな。
「お、団子屋がある」
「何というか、普通に生活してるんだな……」
「……何で見知らぬ文字が読めるんだろ」
「気にしたら負けだと思うぞ。たぶん何らかの翻訳機が頭に付けられているんだと思うけど」
道中の和風建築物の中でも団子屋だったり玩具屋だったりがあるのを傍らに見つつ、ガンガン進む。先頭を進むライトさんとらんらんさんの後ろをユリクリウスと駄弁りながら歩くだけのクエスト。
拠点に近づくと、一斉にシャドウが出て来るけどほとんど20レべ代前半なのでカンストの120レべしかいないパーティーが苦戦するはずもなく、技や魔法の使用感を試すだけで終わった。レアドロップは何もなし。収穫もなし。つまらねえ!一応お金は入ったけど3000ゴールドかあ。
ただ、これでアブダクションが毎回発生するわけじゃないことを確認することが出来た。この後はふおにの森で検証をしていくようなので、自分とユリクリウスは撤退しよう。
「おかえりー。どうだった?」
「ステータスの暴力でクリアして来た」
「せっかく二刀流になったのに抜刀する必要すらなかった」
「あー、ドゥームズの探索任務とかだと魔法職の殲滅速度が一番早いだろうねえ」
クエストを途中で抜けて、チームルームまで移動するとエルフ耳のゼルさんが出迎えてくれた。うちのチームのエースで耐久寄りのキャスター/メイジだ。
「じゃあ、もうクエスト行けるってことだね。
やった。海底神殿には一回行ってみたかったし、行ってこよ!」
「海底ステージは確かに楽しみかも。景色とか綺麗そうだし」
「しょっくしゅ、しょっくしゅ、待っててねー」
「……俺、ゼルさんがガチの女性って信じられないんだけど」
「奇遇だな。自分もゼルさんの動画を見てなかったら信じてない」
ゼルさんはクエストにいけるようになりそうなことを告げると、一目散に惑星マリンの海底神殿へ行くと言ってチームルームを飛び出して行った。口ずさんでいる言葉を聞くに、海底神殿にいるアイツに会いに行くのだろう。
惑星マリンの海底神殿には、エロゲに出て来るようなローパーがいる。知性のない原生生物なのでシアリーを襲って来るし、地味に拘束攻撃は結構なダメージが入る。下手すればタコ殴りに合って死ぬだろう。30レべから40レべ程度の中級者までなら。
……これ、自身の性欲を満たすために自殺しに行ってない?流石に止めたいけど止める必要があるのかも謎。どうせ120レべなら推奨レベル36レべの敵の攻撃なんて1ダメだけだろうし、ゼルさんも自動回復装備は持っているから延々と触手に虐められるとかそういうシチュエーションを受けられるんじゃないかな。
何せ、動画投稿サイトへローパーに虐められる自キャラの様子を何本も投稿する1鯖でもトップクラスの変態だ。ついでにその動画にゼルさん本人の声が入っており、女性ということが判明している。触手で虐められる自キャラを見て第一声が「良いなー」は狂ってるんよ。このゲームのランカー達こんなのばっかか。
しばらくすると、ゼルさんからメールが届くけどローパーの触手に絡まれる動画を撮ってチームメンバーに送り付けていた。随分とこの世界への適合が早いっすね。どこで自立式のカメラ買ったんだよ。タキオン船団の技術力なら普通に売ってそうだし、その動画をメールに貼るのも出来そうだけど習得速度が異常!
「ゲームだと直接性的な描写はなかったけど、現実だと生々しいな」
「……自分も女性型のモンスターの攻撃でも受けて来るかー。アルラウネとか良い感じに拘束攻撃あったし」
「あ、それは録画撮れたら撮って」
「……なあ、今思い出したけどユリクリウスの好みって」
「ショタが男の娘のおねショタ」
「親友の縁切って良いか?」
自分もM寄りの人間だという意識はあるので、ドン引きすると共に少しだけゼルさんが羨ましい気持ちもある。ちなみにゼルさんはその後、延々と触手風呂に入ってました。そんなに死にたいのかコイツ。
いやまあでも死なないのは朗報か。自動回復速度が追い付いていればどんな敵地でも寝ることすら出来るんだな。特に痛みは感じないし、自分の身体がどうなっているのかは本当に謎というか真相を知るのが怖くなってきたよ。
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