害虫の色を吸って駆除する者の話

まめでんきゅう–ねこ

ストロー

「俺は、ついにストローを手に入れたぞ!!


このストローは、生物の色を吸う事ができる。

色を吸われた生物は、白くなって動けなくなってしまうのだー!




あぁどうも音宮です。

このストローを使って、最近 浅草に出没する生物兵器という奴らを駆除しようと考えたんだ。


生物兵器っのーは、なんか強い生物の事です。今回 駆除の対象となる悪い奴らです」





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




音宮は浅草の奥にある廃墟ビル群へやって来た。



「ここが数多の生物兵器が生息している場所か。早速ビルの中へ入ろう」


彼はビルの中へ入っていった。








その直後!


「うぉ⁉︎…」


「!」



緑の単眼を持ったピンクの巨大なカップケーキが、音宮の目の前に現れた。


「さぁ来てやったぞ悪しき生物兵器め!」


カップケーキは音宮を睨みながら6本の足を素早く動かして、彼に向かって突進する。


音宮は言った。



「ストロー攻撃ぃぃ!」


そしてカップケーキの目にストローをぶっ刺し、息を吸う。


すると奴の体の色が消えていき、とうとう真っ白になってしまった!



カップケーキの動きが止まる。



「ふぅ、まずは1体目ってとこかな。こんなもんかw」















ズドカァァァァァァァァァァァァァァン



突然 耳元で何かが大爆発し、音宮は周囲の壁と共に外へ吹っ飛んだ。


「⁉︎…敵の攻撃だ!」


運良く鼓膜が破れなかった彼は、体勢を直して、爆発物の確認をする。



なんとそれは、巨大な蜻蛉だった!口から爆弾を吐いて攻撃してきたのだ!


「蜻蛉か貴様ァァァァァァァァァ」



音宮は雄叫びを上げながら、ストローを口に入れて、蜻蛉に突撃する。


この蜻蛉の生物兵器も、爆弾を2個連続で吐いて、迎撃してきた。



「おう⁉︎ストローで爆弾の色さえ吸えば、爆発を止められるのだが、残念ながらこのストローは生物にしか効果が無い!」



いつのまにか周辺の生物兵器たちも寄ってきたようだ。


とうとう音宮は囲まれてしまった。


彼は慢心からか、スマホや財布を持ってきてない。

ストローだけしか、今 手元に無いのだ!


「クソッ、ここまでか⁉︎」


ダッ



音宮は背後から音も無く突進してきたグローブをつけたペンギンに腹をぶん殴られるッ。



「ゔっ、来たか鳥」


咄嗟に彼はグローブをつけたペンギンの目にストローを刺し、色を吸い始めた。


「よし!」


ついでに色が抜けたペンギンを持ち上げ、蜻蛉に向けて投げる。



蜻蛉はあっさりペンギンを避けて、爆弾を吐いた。



その爆弾を蹴飛ばし、爆殺を試みる音宮。


ズドカァァァァァァァァァァァァァァン


蜻蛉は爆発に巻き込まれ、体の半分が消し飛んだが、なんとその半分を再生したのだ。


「んだと…⁉︎」



音宮は瓦礫の山を飛び越え、別のビルに逃げる。



蜻蛉は来ていないようだ。


「ハァ、ハァハァハァハァハァハァハァハァハァ。

なんだよ…体の半分が消し飛んだってのに、再生しやがった」



ズッ


「ハァ⁉︎」


音宮の右足に、目の飛び出た鯉が噛みついていた。



「んだよおい、って臭せーーー!何この悪臭!お前のか魚!」


彼は固い体を無理やり動かし、足を上げて、顔を下ろした。



そして鯉の色を吸う。

色が抜けた鯉を剥がし、壁に投げ捨てた。



「(生物兵器って怖い奴らだったんだな。早く帰ろ!

そうだ帰ろう、早くさぁ!)」


彼は蜻蛉に気をつけながら、来た道を戻る。



しかし、なんとそこに道は無かった。



「あれ、ここは確かさっき、蜻蛉と戦闘した場所…道が消えてビルになっている!

じゃあ別の出口を探すしかないのか…⁉︎」


音宮の足元に黄色いスライムのような奴らが大量にいた。


「ひぃっ⁉︎なんだこいつ⁉︎」


音宮は足で蹴りながら、なんとか先ほどのビルに入った。



「(怖い…生態系が俺をやりに来ている。

ゔっ、トイレ…行きたくなってちたぁ)」



恐る恐る、廃墟ビルの中を進んでいく。

角へつく度に、何か殺気を感じていた。



「トイレどこだトイレどこだトイレどこだトイレとごた」










奇跡的に生物兵器とは出会す事無く、トイレへ辿りついた。



「ふぅ危ねぇ」



急いでズボンを下ろしたが、恐怖心があって中々出せない。


「ふぅ、ふう」



視界はトイレで占めていたが、左端にガソリンタンクを背負った星が入っていた。



「⁉︎…」


彼の心臓が消えた(比喩表現)。


彼の心臓が止まった(そのまんま)。





「…ぐっ、ゔ」


音宮は一瞬 呼吸したが、すぐに息を止めて、星に気づかれないようにする。



やがて星はどこかへ行った。







「(……行ったか。ふぅ)」







トイレを出た音宮は、隣に熱を感じた。



隣には炎を纏ったまぁまぁ大きなトカゲが寝ている。

まぁまぁと言っても体高6mの巨大トカゲだが。


「(燃えてる…?)」




音宮は起こさないよう、慎重にその場を離れた。












その後 とんでもねぇ生物兵器たちとの戦闘を繰り広げ、なんとかビル群の外に出られた音宮。



浅草とは思えないほどの静かさだが、周りに生物兵器はいない。





「ハァ…良かった…」







その時、ストローが腕にくっついた。


「?…なんだ?」


ストローが何か少しずつだが、彼の胸の方に吸い寄せられているのがわかる。


「え…」



ストローの先が音宮の胸にくっついた。




その直後、ストローが誰も吸ってないのに、いきなり音宮の色を吸い始めだ!


「⁉︎」


ストローは彼の色を吸い上げ、そそくさと体を伸縮させて逃げていく。



色が抜けた音宮は、ビル群の前で立ち止まっていた。

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