毒舌クール系ギャルの霧切さんをナンパから助けたら、次の日から俺の家に入り浸るようになった件。
なかよしだんご
プロローグ
毒舌クール系ギャルの霧切さん
「ゆーま。放課後一緒に帰ろう」
午後の授業も終わりが近づき、残すところ現代社会のみとなったその時、クールな目つきで近づいてくる美少女がいた。
―――彼女は、
透き通るような長い黒髪に白い肌。そして、文句のつけようのないシャープな顔立ち。
ミニスカにルーズソックス、長い爪が特徴的なギャルではあるが、どこにでもいる
そして彼女の前ではいつもギャル仲間が集まっている、カーストの上位でギャルグループの中心的存在だ。
「ねぇ聞いてんの? おーい」
背は小さくもなく高すぎることもない一六五センチほどで、モデル顔負けのスタイルの持ち主。嫌でも惹きつけられてしまう。
その上、テストの成績も学年一位で先生からのウケもよく、天は二物を与えずということわざがあるがあれは嘘だと思えるほどのハイスペックぶりである。
こんな美貌の持ち主にも関わらず、彼氏はいないらしい。
そんな噂を耳にした学内の男子は美鈴を放っておくことはなく、告白されている姿を何度見たことがある。
恐ろしいことに告白してきた男子全員を――。
『キモイんだけど、ウチに話しかけないでくれる?』
というセリフ一つで玉砕してきた。
男子に対しての当たりが強く、近づいてきた男子をクズを見るような目つきで見据えるのが日常茶飯事となっている。
ただ、そのクズを見るような目で見られたいがために、勝率ゼロの告白に挑む男子生徒も少なく、本人は困り果てているらしい。
「えっ? お、おう。分かった。ちょっとボーっとしてて」
急な展開に驚きつつも平静を装いながら返事をした。
「そろそろ授業始まるから、それじゃあまた後で」
そう言って、彼女――霧切美鈴は悠然と自分の席へと戻っていった。
学校ではあんまり目立つことはするなとあれだけ言っておいたのに……まったく……。
クラスメイトたちの視線が俺と美鈴の方へ向けられる。
時が止まったかのように一瞬教室の中が静寂に包まれるが、しばらくして、各々噂話に花を咲かせ始めた。
「ねぇねぇ! あれ、どういうこと!?」
「なんで冴えないあいつが美鈴様と!? しかもめっちゃ笑顔じゃなかった?」
「いい雰囲気だったよね……」
「どういうことだ……俺、頭がおかしくなりそうだ!」
「俺の美鈴様がぁ……」
ほらね、言わんこっちゃない。
だから学校では話しかけるなとあれだけ言っておいたのに。自分の影響力をもっと考えてほしいものだ……。
ちなみに俺の名前は、
一年前の春に一人暮らしを始めたごく普通の高校二年生。クラスでは目立つことはせず平穏な学園生活を過ごしている。
愛想が悪いのが原因なのか、向こうから歩み寄ってくることはほぼなく、成績も中の中。不細工でもなくイケメンでもないし、運動神経も良くも悪くもないと言った中途半端ぶりで、冴えない男というレッテルを貼るにはふさわしい男だろう。
授業のチャイムが鳴ると同時に生徒たちはぞろぞろと自分の席へと戻っていく。
すると、ポケットに入れていたスマホが振動した。
『(美鈴)さっきボケーっとしてたけどちゃんと話聞いてた?』
美鈴からだ。
『(悠馬)おい、これどうするんだよ!?』
『(美鈴)何が?』
『(悠馬)いや、クラスで噂がたてられるだろ!! 俺にも心の準備というものが……』
『(美鈴)うっさい。別にいいじゃん(# ゚Д゚)』
『(美鈴)なに? それともウチとの関係がバレるのがそんなにいけないわけ? そのうちバレるってわかってるんなら別に今日バレたっていいじゃん』
『(悠馬)まぁ、そうなんですけど……』
『(美鈴)分かったら気にしない。それよりも今日食べたいものある?』
こうもむりやり話題を変えられるとは……まぁもう過ぎたことなのでうだうだ言うのも男らしくない。
俺はなんとか思考を切り替えることにした。
『(悠馬)特にないからなんでもいいよ』
『(美鈴)それじゃあ、ハンバーグでいい?(*'ω'*)』
『(悠馬)ありよりのあり』
『(美鈴)あっ、材料買わなきゃ、帰りにスーパー寄ってくけどいいよね?』
『(悠馬)了解~』
可愛い絵文字を据えたメッセージに自然と笑みがこぼれる。
ふと、彼女の方へ視線を向ける。
先ほどのことなど何もなかったかのようにつまらなそうな表情を浮かべながら黒板を見つめている毒舌クール系ギャル。
(よく考えてみたら俺が美鈴となぁ)
平穏で平凡な学園生活を過ごしていた俺が、こうして学園の美少女とお近づきになるなんてこと、誰が想像できただろうか。
そんな冴えない俺と美鈴が出会ったのは二か月前のこと――。
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